SC相模原

SC相模原

MENU

NEWS DETAIL

03-13-2017

 試合結果 

01/J3第1節長野戦マッチレポート

20170312_MR_J301_012017明治安田生命J3リーグ第1節 2017.03.12 13:00KICKOFF@相模原ギオンスタジアム SC相模原0−1AC長野パルセイロ [得点]相模原:—/長 野:60分勝又慶典 |チームとして意図した守備と攻撃ができていた前半 SC相模原の安永聡太郎監督はハーフタイムに「セットプレーを取る」との指示を選手たちに送っていた。試合後の記者会見に臨んだAC長野パルセイロの浅野哲也監督も「セットプレーがひとつのポイントになると思っていた」と明かした。そして、ともに好機と捉えていたセットプレーを活かしたのは、ホームの相模原ではなく、アウェイの長野だった。 来る2017年シーズンの開幕戦で、SC相模原は4−1−4−1システムを採用した。GKには藤吉皆二朗、DFラインには右から辻尾真二、工藤祐生、梅井大輝、保﨑淳が並び、アンカーにはキャプテンの岡根直哉が起用された。その前にサムエル・アウベス、菊岡拓朗、千明聖典、呉大陸といったテクニシャンが顔を揃え、1トップは身体を張ることのできるFW久保裕一が務めた。 「良いゲームをしようと思うな」 独特な雰囲気の漂う開幕戦だけに、安永監督はそう選手たちに声を掛けたという。ところが、指揮官も驚くほど、SC相模原の選手たちは立ち上がりから躍動した。前線や2列目の献身的な守備からボールを奪うと、サイドを起点にして攻め込んでいった。両SBの辻尾と保﨑が高い位置を取ることで、相手陣内に押し込んでいく。 7分には、長野に右FKからマイナスに出され、MF新井純平に強烈なミドルシュートを浴びたが、これをGK藤吉の好セーブで逃れると、14分には高い位置でボールを奪った辻尾の折り返しを呉が狙った。 「相手が4−4−2のシステムだということを考えると、中を締めて突っ込んできたところを引っ掛けて出て行くというのが狙いだということは事前の情報からも予想がついていた」(安永監督) だから、SC相模原はシンプルな攻撃で相手陣内に迫った。ロングボールを用いることで1トップの久保が競り、前線でキープしてからサイドに展開すると、槍のような攻撃を仕掛けていった。両SBが高い位置を取るため、その背後を流れてきた長野のFW勝又慶典などに使われたが、これも想定内。再三、仕掛けた辻尾も「監督はガンガン行けって言ってくれている。祐生もカバーリングの意識は高いので、そこは何とかがんばってくれていた」と話してくれた。 CBで工藤とコンビを組む梅井も、前半は狙いどおりの守備ができていたと語る。 「ヤスさん(安永監督)は僕と祐生くんが引き出されないようにして、ぎりぎりまでドリブルさせて最後のところで、シュートだったり、クロスだったりを対応するようにというのは言われていた。中に祐生くん、オカくん(岡根)、僕の3人が揃っていれば、そんなにやられることはない。むしろ、今後は跳ね返すボールの質を考えていかないと。余裕があれば、つなぐということもやっていきたいと思います」 事実、守備時は岡根がDFラインまで下がることで、3人を中心にして相手のクロスを跳ね返していた。2列目の千明にしても、菊岡にしても、安永監督が「ボールを持ちすぎるな」と話していたことから素早くサイドに散らした。長野の浅野監督も「前線からの守備というのは、それほどハマらなかった」と話したように、相模原は狙いどおりにチームとしての守備と攻撃を遂行していたことになる。 20170312_MR_J301_02 |勝敗を分けたのは両者が狙っていたセットプレー ただ、その一方で勝敗を分けたのは、両監督が得点の好機と考えていたセットプレーだった。60分、サムエルが不用意なファウルでFKを与えると、そのシュートがクロスバーを直撃。相模原の選手たちは一瞬、ボールウォッチャーになると、佐藤悠希に折り返され、勝又に右足を振り抜かれた。 前半から長野はサインプレーを多用して、セットプレーではさまざまなバリエーションを見せていただけに、GK藤吉も「セットプレーは長野も研究しているという情報は入っていた。だから、不用意なファウルはやめようといっていた中での不用意なファウルだったので、もったいなかった」と悔やんだ。 その前段として安永監督は「ちょうどあの時間帯に選手の足が止まるようになってきていたので、交代させようか考えていた矢先だった」と話したが、まさに運動量が落ちていたのが右サイドに入っていたサムエルだった。FKを与える前のプレーからサムエルはボールを追いかけることができなくなっており、プレスが中途半端になっていた。相手に押し込まれた際は、相模原も陣形をセットすることで、前向きに守備を仕掛ける連動性ができていたが、サムエルが遅れはじめたことにより、意図したところでボールを奪えず、押し込まれる状況が続いていた。 0−1となり追いかける展開を強いられた相模原は、64分にサムエルを下げて普光院誠を入れ、運動量を取り戻そうとした。69分には菊岡に代えてジョン・ガブリエルを投入することで、さらに前線の高さを活かそうとした。77分に保﨑を下げて左SBに麦倉捺木を入れたのも、右の辻尾と同様に、サイドからの攻撃とクロスを意識してのことだった。 だが、試合終盤になり全体が間延びしたこともあり、ジョンや久保が競ってもセカンドボールを拾えず、相手の守備意識の高さも相まってゴールを奪うことはできなかった。 20170312_MR_J301_04 |セットプレーを奪う動きとセットプレーを活かす質 安永監督も把握しているように、セットプレーから喫した1失点の原因は明確である。選手たちも分かっているだけに、修正にはさほど時間は掛からないだろう。その一方で、自分たちも強みと考えていたセットプレーに関して言えば、長野がCK6本だったのに対して相模原はわずか1本。FKも含めシュートできた回数を振り返れば、セットプレーを“奪う”動きと、そのセットプレーを“活かす”質を模索していく必要がある。 ドリブルを得意としているように、自ら仕掛けられるため、セットプレーを“奪う”動きを期待されている呉はこう語る。 「もう少し割り切って自分が仕掛けて、CKを取っていくことも必要だと思う。中は中で受けたらチャンスになりますけど、オレがもっと仕掛けられれば、格段にCKを奪える回数は増えると思うので、そこまでどうやって持っていくか。そこをみんなで合わせていく必要がありますね」 194cmの長身を誇り、攻撃のセットプレー時には、まさに“高さ”という武器になる梅井はこう話してくれた。 「うちは、CKが1本しかなかったので、そういう意味では、ボールを奪ってからのクオリティを後ろも含めて考えていかなければならない。クリアするのか、つなぐのかも含めて、一つひとつの質を高めてはっきりしていかないと。それができれば、シュートで終われる回数も増えていくと思う。そうなれば必然的にセットプレーの回数も増えますし、今年の武器である高さを有効活用できる」 60分に失点した後はオープンな展開となったことに加えて、レフェリングにも苦しんだが、その中で常にチームメイトを鼓舞し、前向きな声を掛け続けたキャプテンの岡根は「ホンマに失点がもったいなかったことがすべてですよね」と悔しがると同時にこうも語ってくれた。 「ひとつ勝てば、チームの自信はつくと思うので、早めにひとつ勝ちたい」 新加入選手も多く、チームは構築している過程にある。自分たちが目指すサッカーに自信を持つためにも、何より必要なのはただひとつ。まずは内容よりも、勝利以外に他はない。 20170312_MR_J301_03