2015明治安田生命J3リーグ 第14節
2015年5月31日 13:00KICK OFF@相模原ギオンスタジアム
SC相模原 2−1 ガイナーレ鳥取
[得点]
相模原:7分井上平、64分樋口寛規
鳥取 :68分安藤由翔
|井上の先制点が前半唯一のシュート
開始7分、SC相模原は最終ラインから攻撃を組み立てると、DF工藤祐生が前線目がけてロングフィードする。ペナルティーエリア左で、その浮き球をうまくコントロールしたFW井上平は、相手DFをフェイントで交わすと、左足を振り抜いた。チームが標榜する狙いどおりの先制点だった。最終ラインから狙えるときは、シンプルに前線へとボールを供給する。それは前節、4−0で快勝したY.S.C.C.横浜戦でも意識していた攻撃の形だった。
ただし、その後、試合は膠着状態が続く。まだ5月だというのに、ピッチ上の気温は30℃を超え、試合途中には給水タイムが設けられるほどの気候だったことも影響した。
4−2−3−1システムを採用するSC相模原に対して、ガイナーレ鳥取は3−5−2システムを用いて戦ってきた。鳥取の松波正信監督も「ブロックを作って、ボールを奪ってから攻めていこうとしていた」と試合後に話したように、守備では両サイドも下がった5バック気味になり、SC相模原の攻撃を受け止めようとしていた。引いた相手に対してSC相模原は、最終ラインから右へ左へとサイドを変えながら縦に仕掛けられるタイミングを探していたが、なかなか綻びを見つけられずにいた。右では樋口寛規と森勇介、左では曽我部慶太と天野恒太といった縦の関係でサイドを突破しようと試みてはいたが、それでも決定機と呼べる場面は作り出せなかった。
結論から言えば、前半は互いにロングボールを前線に当てる蹴り合いのような展開となった。SC相模原はセカンドボールを拾えていたものの、ボランチからうまく配球することができず、効果的な攻撃を繰り出すことはできなかった。前半、SC相模原のシュートは井上が決めた1本のみ。対する鳥取もシュート3本と、互いに難しいゲーム展開となったことを数字が象徴していた。
|開幕戦以来となる樋口のゴールでリードを広げる
1−0で折り返した後半、辛島啓珠監督は、「試合の立ち上がりに注意すること」「相手陣内での攻撃の精度を上げること」を選手たちに意識させた。それでも「劇的な変化はなかった」(辛島監督)と言うが、高原直泰が中盤まで下がってゲームメイクに参加することで、多少、攻撃にリズムが出てくるようになる。さらに61分には、前半にイエローカードをもらっていた鳥取のDF小石哲也が2枚目の警告を受けて退場。数的優位に立ったSC相模原は、システムやマークなど、戦い方の修正を図っていた鳥取のスキを突いて追加点を奪取した。
64分だった。左サイドから高原がクロスを供給する。走り込んだ井上が頭で合わせたヘディングシュートは、GKのファインセーブに遭い弾かれたが、詰めていた樋口が押し込み、得点することに成功した。開幕戦以来となるゴールだっただけに、樋口の得点感覚を呼び起こす上でも大きなきっかけとなるに違いない。
そして、2−0となったタイミングで辛島監督は動く。65分、先制点を決めた井上を下げてレオジーニョを投入。高原が2列目に下がり、レオジーニョのスピードを活かそうとする狙いがそこには垣間見えた。実際、67分には、高原から展開されたボールを受けたトロが、レオジーニョにスルーパスを試みた。レオジーニョも反応していたが、あと一歩のところでパスは合わず。ただ、フィニッシュとはならなかったが、可能性を感じさせるプレーではあった。
|鳥取に2−1で勝利し、前回の借りを返す
ただし、その後がいけなかった。追加点から4分後の68分、スローインから途中出場していたFW田中智大にクロスを上げられると、MF安藤由翔に決められて1点差に詰め寄られてしまう。辛島監督も「相手に退場者が出たにもかかわらず、あの1失点は余計だし、守備のところも緩かった」と、リードしたこと、さらに数的優位に立っていたことで、綻びを作ってしまった守備に警鐘を鳴らした。
その後、押し込まれる場面はあったものの、結果的にSC相模原は2−1で逃げ切った。第1クールで対戦した際には0−2と負けた相手に今度はしっかり勝利し、借りを返したことは評価できるだろう。シンプルに攻めるときはシンプルに、つなぐべきときはつなぐという状況判断に加え、引いた相手をいかにしてこじ開けるかという課題はあるものの、第2クールの初戦を勝利で飾ったことは大きい。
次節も第1クールで0−1と惜敗したFC琉球が相手である。SC相模原は、鳥取に続き、前回対戦の借りをしっかりと返すことができるか。同じ相手に二度、負けないことが成長の手応えとなり、上位に食らいついていくことにもなる。
次節は累積警告により中盤の要であるトロが出場停止となる。新加入ながら途中出場で攻撃に変化をつけているMF飯田涼が先発するのか、もしくは不慣れなポジションながら健闘していたMF成田恭輔が出場するのか。再び今シーズン初のリーグ3連勝が懸かった試合となるだけに、チームとしての成長、進化、さらには総合力が問われることになる。