
《試合結果》
奈良クラブ 2-1 SC相模原
得点
7' 百田真登(奈良クラブ)
32' 百田真登(奈良クラブ)
29' 武藤雄樹(SC相模原)
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2025/112402/live/#live
シュタルフ悠紀リヒャルト監督

--試合の総括をお願いします。
まずは、奈良クラブのみなさん、おめでとうございます。
僕らは来週の最終戦、J2昇格プレーオフの可能性をつなぐために“絶対に勝たなければいけない”状況で、今日も本当に多くのサガミスタの皆さんが集まってくれました。それに応えられなかったことは、ただただ悔しいです。
途中、同点になった場面がありました。フットボールは“1点”の重さが本当に大きいスポーツで、あの得点が取り消された理由は正直、僕には分からないですし、非常に残念です。
僕自身、2023シーズンにAC長野パルセイロの監督としてこのロートフィールド奈良で敗戦し解任となって職を失いました。それくらい、選手もスタッフも人生をかけてピッチに立って戦っているのに、今回のようにネットを揺らしたゴールが取り消されて負け、目指していたものの希望が消えていくのは、当事者からすれば、見ているみなさんが想像する以上の悔しさがあります。1年間ずっと言い続けてきましたが、もっと公平なリーグ運営が行われれば、もっと良くなるのになと、今日あらためて思いました。
ただ最初に「おめでとうございます」と伝えた通り、奈良クラブの2得点は素晴らしかったですし、プレーオフ出場の可能性も残っていると思いますので、ぜひ頑張ってほしいです。
--0-2で試合を折り返しましたが、ハーフタイムはどんなことをチームに伝えましたか。
ゴールが入ると、その瞬間だけで見ている人の印象にバイアスがかかると思うんですが、前半から流れは僕らにあったと思います。相手GKの好セーブや、最後のクオリティの部分で決めきれなかっただけで、前半のうちからチャンスも多くつくれていました。
なのでハーフタイムで何か大きく修正したわけではなく、「このまま自信を持って続ければ、必ず追いつけるし、ひっくり返せる」ということを選手に伝えました。諦めることなく、自分たちを信じて後半に入っていこう、と。精神的なところの声かけが中心でしたね。そして、後半も本当によく戦ってくれたと思いますし、僕たちが勝っていても不思議じゃない試合だったと思います。
僕らにできるのは「勝ちに値するパフォーマンスを出し続ける」ことだけですし、今日はしっかりそれを体現してくれた選手たちを誇りに思います。これからバスで7時間くらいかけて帰るので、気持ちを整理する時間はたくさんあります。しっかり切り替えて、ホームで勝てるように、また頑張っていきたいとです。
--J2昇格の可能性は潰えましたが、ホーム最終戦でサポーターのみなさんにどんな試合を見せたいですか。
僕らとしては、ここ数試合で見せている姿を、もう一度しっかり出すだけだと思っています。前へ矢印を向けた、エナジーフットボールを、もう一度しっかり展開したいです。そして何より、どちらのチームにも公平なジャッジがなされることを願っています。
FW/11 武藤雄樹

--急遽、前半途中から出場しましたが、まずは試合全体の振り返りをお願いします。
僕たちは“勝たなきゃいけない”という状況で、前半からとにかく相手に圧力をかけていこうという狙いを持って入りました。ただ、立ち上がりにセットプレーから失点してしまい、さらにカウンターで追加点を決められて、試合を少し難しくしてしまいました。ただ後半は、もう一度自信を持ってピッチに立とうという監督の言葉もあって、気持ちの部分では盛り返せたところはあったと思います。
それでも結果的に負けてしまって、シーズン当初に掲げていた昇格という目標も断たれてしまいました。応援し続けてくれたサポーターのみなさんには、本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいです。
--自身が出るまでは、試合をどう見ていましたか。
最初は、西久保駿介を高い位置に出して、ロングボールも使いながら少しパワープレー気味に相手へ圧力をかけていこうという狙いがありました。ただ、いつもとは少し違う形だったこともあって、その狙いがありながらも後ろで引っかけてしまったり、バランスを崩した状態でうまくいかないシーンが多かった部分があったのかなと思います。
--奈良はボールポゼッション率がJ3で二番目に高いチームですが、今日は途中まで相模原のほうが高い数字でボールを保持していました。そこは狙い通りだったのでしょうか。
思ったより相手がボールを持ってこなかったという印象はあって、たしかにシンプルに蹴ってくるシーンも多かったです。でもそれは僕たちがしっかりプレッシャーをかけられていた部分もあると思います。逆に“持たされている”という感覚も特になく、相手が先に得点を取ったというだけで、押し込めている時間やチャンスシーンは前半からつくれていました。だからこそ、あの最初の失点は本当にもったいなかったなという印象ですね。
--ハーフタイムでは、監督からどんな話がありましたか。
特別、戦術的な指示があったわけではなかったです。ただ、「このままじゃ帰れないぞ」という強い言葉はありましたし、来てくれたサポーターのためにもゴールを見せよう、という思いを持って後半のピッチに入りました。そのメンタリティは、後半しっかりとピッチ上で見せられたと思いますし、実際に前半以上にチャンスも多くつくれていました。僕自身も、もう一つ二つ決められる場面があった中で、決められなかったので、悔しいし申し訳ないです。
--後半の早い時間帯に、西久保選手のクロスを頭で合わせて1点を返しました。ご自身のゴールを振り返って。
うまく相手の前に入り込んで、クロスに対してしっかり合わせられたゴールでした。自分としても得意な入り方、得意な形で決められたゴールでしたし、普段の練習から西久保とクロスの連係にはチャレンジしているので、ああいうシーンを出せたのは良かったなと思います。後半の早い時間帯に決められたので、「まだまだいけるな」という雰囲気もありましたし、実際に決められたシーンもありました。だからこそ、もう1点、2点取りたかったなという気持ちが強いです。
--コメントが難しいかもしれませんが、2点目も入っていたように見えました。
僕自身が一番近くで見ていたので、ゴールラインを割ったか割ってないかで言えば、割っていたと思います。ただ、僕もスライディングしていましたし、ラインズマンからしたら見づらい状況でした。J1ではないのでVARもないですし、しっかりネットに突き刺せればよかっただけの話で、そこはもう今さら何を言っても仕方ないことかなと捉えています。
--アディショナルタイムに見せた、反転のボレーも素晴らしいシュートでしたが止められてしまいましたね。
そうですね(笑)。あのシュートに関しては、すごくうまくミートしてファーまで持っていけて、正直「決まった」と思いました。自分がもっといいシュートをというよりは、もうキーパーを褒めるしかないですね。もちろん悔しいですけど、あれを止められたらちょっと仕方ないなという気持ちです。
--目標だったJ2昇格は叶いませんでしたが、次のホーム最終節をどんな試合にしたいですか。
とにかく勝つ姿を見せたいですし、自分がゴールを決めて、サポーターのみなさんと喜べるシーンを一つでも多くつくりたいです。
今シーズン、ここまでずっと一緒に戦ってくれた中で、目標を達成できなかった悔しさはありますし、悔しい思いもたくさんさせてしまいました。その分最後の試合は、少しでも「この一年間、応援してきて良かった」と思ってもらえるような、そんなゲームにしたいです。
MF/6 徳永裕大

--3試合ぶりの先発出場となりましたが、どんなことを意識して試合に臨みましたか。
今日は「大量得点で勝つ」というチームとしての明確な目標がありました。その中で自分としては、今日だけでなく夏以降、監督からも求められてきた“2列目からの飛び出し”だったり、ボランチがしっかり攻撃参加していく部分を、特に意識しながらプレーしました。
--ここ数試合と同じように、前向きに奪って攻撃につなげる意識は見えていましたが、2失点をした前半になりました。どう振り返りますか。
前半から、僕たちは勢いを持って入ろうというところでロングボールが多くなっていましたが、試合を通して「思ったより相手がつないでこないな」という印象があって、かなりシンプルに蹴ってくる場面が多かったです。その分、セカンドボールをしっかり拾って自分たちの攻撃につなげていこうという意識に、どんどん切り替わっていったところはありました。でもそれは僕らの前から圧力をかけるプレーがかなり効いていたということだと思うし、相手にとって嫌なことをしっかりできていたのかなと感じています。(西久保)駿介や(高野)遼も高い位置を取って、どんどん前に出ていく展開をつくれていましたし、試合内容自体もそこまで悪くなかったと思います。ただ、セットプレーでの1失点目や、カウンターからの2失点目というのは、本当にもったいなかったです。
--28分にはカウンターの大ピンチで、ジャストタイミングのスライディングで失点を防ぎました。ペナルティエリア内で勇気あるプレーだったと思いますが、怖くはなかった?
カウンターになって(加藤)大育が中にずれていくのが見えて、もともと彼がつくはずだったマークが空くのも、首を振った瞬間に見えていました。だから「これは、もう自分が戻らないとまずい」と思って、必死で戻りました。本当に歩幅が少しでも合わなかったら、間に合わなかったかもしれない。0.1秒くらいの差だったと思うので、先に足を出せて本当に良かったなと思います。
--前半から、惜しいミドルも含めてシュートを打ち、積極的に得点も狙っていましたね。
あそこからのミドルは自信があったんですけど、枠に飛ばすことができなくて……。僕だけじゃなく、前半も(中山)陸が相手と1対1に持ち込んだシーンがあったり、コーナーも何本もあったりと、前半からチャンス自体はしっかりつくれていました。なので、負けはしましたけど内容自体はそんなに悲観するものではなかったと思います。
ただ、僕らは決めきれず、相手はほんの2回のチャンスを2点にしてきた。そこが、J2昇格プレーオフ出場を最後まで争うようなチームとの本当に“差”なのかなと感じます。だからこそ、自分もしっかりあの場面を決めきる力を、もっともっとレベルアップしていきたい。まだ最終節がホームであるので、僕たちはブレずにしっかり勝って、サポーターのみなさんと一緒に喜べたらと思います。



