《試合結果》
SC相模原 1-0 松本山雅FC
得点
53'中山陸(SC相模原)
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2025/101907/preview/#preview
シュタルフ悠紀リヒャルト監督
--試合の総括をお願いします。
非常にいいゲームだったんじゃないのかなと思います。入りは山雅さんの勢いを受ける形で苦しかったですが、みんなでしっかりしのぎ、前半の途中からは点は取れませんでしたが我々のゲームだったと思います。
後半は入りもうまくいって先に点も取れて、そこからはまた相手に押し込まれる時間もありましたが、勝ち切ることができました。ただ、どちらにもチャンスがあって、どちらのゴールキーパーもビッグセーブを見せていて、ジャッジも素晴らしく、両チームストレスなく全員がフットボールに打ち込めたのではないかな、と。
また、山雅のサポーターの皆さんもたくさん来てくださって、それに対抗してサガミスタも声を張ってくれて、今日は会場全体が一体となっていました。我々は勝ちましたけれども、負けていたり引き分けだったとしても、今日はプロのフットボールの試合として、本当にいい1試合だったと言えるものだったんじゃないかなと思います。
--今日は先発を6人入れ替えましたが、その狙いを教えてください。
ここまでも先発を入れ替えることは多いので、「今節だけ特別」というわけではありません。毎週パフォーマンスやケガ、コンディションなど、いろんな要素をトータルで見た上で選手を選んでいますし、毎週が競争です。
今年はどのポジションもスタートから出てもおかしくない選手がたくさんいて、正直、序列をつけづらいというのはあります。また、波に乗ってずっと連勝をしていればある程度の固定も出てくるとは思いますが、チームも勝ったり負けたりもして調子の波が大きい選手もいる中で、監督としてしっかり見極めたうえでピッチに送り出さないといけません。そのために毎週スタッフと話をして、選手一人ひとりとも向き合いながら、“最適解”を出しているつもりです。
それでも負けたり引き分けたりが続くと「自分のセンスがなかった」と思うしかないんですが、今日は勝てたので、そういう意味では“センスあるスタメン”を送り出せたのかなと思っています。
--総括にもあった通り、序盤押し込まれたところを耐え、その後はどんどん背後を狙っていく姿勢が見えました。ここ数試合と比べても、FWにボールが入る回数が多かったかと思いますが、その手応えは?
立ち上がりはやはり、雰囲気を含めて山雅のゴール裏の圧力がすごかったですね。ノアム(バウマン)本人にはには聞いていませんが、逆のエンドでスタートしたことで山雅が自分たち(山雅側)のサポーターの方に向かっていくという構図になり、その勢いをかなり受けたんじゃないかな、と。それもあってなかなか押し返せない時間帯もありましたが、そこをしっかり耐えられたのがまず一つ大きかったと思います。
そのあと、相手の背後を狙うところについては、今週特に意識していたポイントでした。もちろん普段から狙ってはいますが、今週は「積極的に突いていこう」という共通認識がチーム全体にありました。おっしゃる通り、FW3枚にボールが入る場面も多くつくれていたと思います。
--西山拓実選手が、リーグ戦の出場は第22節・テゲバジャーロ宮崎戦、先発は第20節・福島ユナイテッド戦以来となりましたが、彼を起用した狙いを教えてください。
この5試合は、我々の掲げている「走る・戦う・助け合う」という部分の完成度が少し低かったというか……。シンプルに走りきれなかったり、戦いきれなかった場面が多かったと思います。チームとしてのシナジーというか、連動性の部分も少し欠けていました。そこからシーズンで初めての連敗を、しかもかなりのスコアでしてしまったことで、チーム全体に少し引きずっているような空気もあったと思います。その後の引き分けも、1-0で勝っていてしかも相手が10人の状況で、終盤に追いつかれるという、精神的にかなりきつい内容でした。そういった意味で、この5週間は本当に苦しい期間だったと思います。
その中で、もう一度「走る・戦う・助け合う」という原点に立ち返って、練習からその姿勢をしっかりと表現してくれている選手を中心にメンバーを組み直しました。今週のトレーニングでは、特に西山は戦う姿勢を見せてくれていました。もともと走力のある選手ですが、そういったところで今節はポジションを勝ち取り、本当にいいパフォーマンスを見せてくれたんじゃないかと思っています。
--今日は守備陣も集中したプレーを見せていた中、特に山内琳太郎選手が力強いプレーを見せていました。得点シーンも彼が前に飛び出してアタックして潰したところからでしたが、今日の彼のパフォーマンスの評価を聞かせてください。
山内に関しては、前節のガイナーレ鳥取戦のプレーが正直良くなかったと感じたので、それはストレートに本人にも伝えました。守備陣にケガ人が続いている中で、彼は「相模原を助けるために来た選手」のはずですから、まずはしっかり戦ってほしいと強く求めました。
もともと球際の強度が高く、対人にも強い選手なんですが、ここ数試合はその良さがあまり出せていなかった。相手との距離を詰め切れなかったり、守備の迫力を欠いていたりと、少し自分らしさを出せていなかったと思います。そこをしっかり課題として受け止めて、今日は勇気を持って前向きな守備を見せてくれました。危ないシーンもいくつかありましたが、3人のセンターバックが常に前向きで守備をできていたことが、クリーンシートで守り切ることにつながった思います。
これを手応えにしてもらい、「求められているのはこういうプレーだ」と感じたものを次の試合でもしっかり表現してくれたら嬉しいです。
--5試合未勝利を抜け出しましたが、この1勝をどう今後につなげていきたいですか。
ヴァンラーレ八戸戦は勝てなかったものの内容はいいものを見せられたと思いますが、それ以外の4試合はその良さが少し薄れてしまっていました。ですが今日、いい時の自分たちの感覚を持ち帰れたことは、非常に大きいと思います。
今年僕らが掲げていた目標からすると、正直、不甲斐ない順位や結果が続いています。指揮を執る立場として、大きな責任を感じていますし、悔しさや情けなさも日々強く感じています。もう一度立ち上がっていかなければなりません。選手たちにも伝えましたが、残りの6試合は、自分たちの価値をもう一度示していく試合にしたいと思っています。この5試合で失ってしまったものも多いですが、その悔しさをエネルギーに変えて、とにかく全員で頑張っていきたいです。
シュタルフ悠紀リヒャルト監督記者会見のコメント全編はYouTubeで公開中!
https://youtu.be/Vg-C8UR3Lh4?si=dbs5DdGM7VO8s_O4
MF/10 中山陸
--加入後2ゴール目を決めましたが、率直な気持ちを聞かせてください。
ボックスにどんどん入っていく動きは、監督からも指示されていた部分でした。それを意識してプレーできたことで、今回のゴールにつながったのかなと思います。
自分がチームに入ってからは3連勝もしましたが、そのあとは連敗してしまい、なかなか勝てない時期が続いてしまいました。その中で今日はチームとしても「勝ちにこだわる」という意識を強く持って臨んだので、本当に全員で取れたゴールだったと思います。
--ゴールシーンは、相手のディフェンスも目の前にいた中で、迷わずファーに走りこんでいましたね。
パスが出てこなくても、あそこに入っていけば何かしら起きると思って、とにかく走ろうと。信じて走った結果、ゴールにつながりました。
--試合全体の手応えはいかがですか。
前半は立ち上がりから押し込まれる展開でしたが、そこで0点に抑えられたことがすごく大きかったと思います。勝てない試合が続く中で本当に「気持ちを見せて戦おう」とチームで意気込んで臨んだ試合だったので、まずは最初に失点せず凌げたことが大きなポイントでした。
そのあとは自分たちがどんどん裏を狙って積極的に攻めるプレーを続けたことで、相手のラインも下がって自分たちがボールを回せる時間も増えました。チーム全体としても、今日は本当にいい試合だったと思います。
--背後への動きについては、個人としてもいつも以上に意識したのでしょうか?
相手を分析した部分もあって、チームとして自分たちのディフェンダーがボールを持ったときには裏へ走る、ということが徹底されていました。動き出しもそうですし、出し手が正確にボールを送ることも強調されていたので自分もそこは意識していましたし、全員しっかりと実践できていたと思います。
--この1勝を浮上のきっかけにしたいですね。
そうですね。(J2昇格プレーオフ圏内も)可能性がある限りは諦めたくないですし、もう1試合1試合勝っていくしかないので続けていきたいです。
MF/27 西山拓実
--試合を振り返って。
自分がスタメンで出た試合で勝ったことがなかったので、初めて勝てて良かったです。
--序盤は押し込まれましたが、集中した守備で貢献し、攻撃を活性化させる動きやパスで違いを見せていました。久しぶりのリーグ戦出場となりましたが、どんな意識でプレーをしていましたか。
チームとして攻撃も守備もとにかく前に前にという狙いがあった中で、立ち上がりは相手ペースになったんですが、そこでしっかり守って失点しなかったことが、一つ今日の勝利のポイントになったのかなと思います。
攻撃については前線の背後へのアクションや人数かけていこうという部分について、今週かなり意識して取り組んできたところでした。ディフェンスラインからのビルドアップをした時も、自分がセカンドボールを拾った時も、前の選手たちは連動した動きを見せてくれたので、そこにいいボールを配球しようという意識はずっと持っていました。何回かうまく出せなかったシーンもありましたけど、狙いとしては共有できていたと思います。
--1試合を通して、個人としても攻守ともに手応えを感じられたのでは?
全体的に見れば、攻撃でも守備でもハードワークできたし、自分としても良かったプレーが多かったんじゃないかなと思います。ただ、その中でもちょっとしたミスもあったり、最後の方は運動量が落ちてしまったりしたのはまだまだだな、と。
ただ3カ月ぶりの先発で、正直、最後までプレーできるか不安もありましたけど、フルタイムで出場できたのは一つ大きな収穫になりました。
--試合に出られない期間が長く続いていましたが、悔しい状況とどう向き合いながら練習に取り組んでいましたか。
この試合に臨むメンバーを選ぶ時に、スタッフやコーチ陣が自分を推してくれていたと聞いていますし、千明(聖典)さんは、毎日のように自主練習に付き合ってもらっていました。そういうサポートがあったからこそ、今日こうして結果という形で示すことができたと思います。そういう人たちに、少しは恩返しができたのかなと思います。
--今日は試合後、ファン・サポーターからもいろんな声をかけられたのでは?
3年相模原にいて、初めて試合後お立ち台に立ったし、アップの時もいつもは背番号順かポジション順にチャント(個人応援歌)が歌われるんですけど、今日は一番に自分の歌を歌ってくれていて「待っててくれたんだな」と感じましたし、すごく気持ちが高まりました。そういう意味でも、今日勝てたことが本当にうれしいし、プレーで恩返しできたんじゃないかなと思っています。楽しくプレーもできたので、これを一度きりで終わらせず継続していけるように頑張っていきたいです。
DF/20 山内琳太郎
--1試合を通してアグレッシブな守備を貫き、完封勝利を収めました。手応えはいかがですか?
今日は全体的に、後ろに下がらないディフェンスを意識して臨みました。これまでは、ボールを奪われた後に最終ラインが下がって吸収する場面が多かったんですけど、今日は前から取りに行く意識を強めました。チームとして完全に戦術を変えたわけではないですが、いつもより前向きに守備を意識できていました。得点シーンもそうやって前に出たところで奪ったところからゴールにつなげることができたので、良かったと思います。
--得意の空中戦でも今日はしっかりと競り勝って、ほとんどクリアできていたのでは?
最近は試合に続けて出られているおかげで、試合勘も少しずつ戻ってきています。普段から集中していないわけではないですが、今日は特に集中できました。いつも以上に試合に臨む準備もしっかりできていたからこそ、クリアできる場面も多く作れたのかなと思います。
--個で負けないだけでなく、最終ライン全員が連動し、隙の少ない守備ができていたと思いますが心がけたことは?
「ボールに強く出る」という狙いが明確だった分、カバーの動きもはっきりできていたと思います。自分もダイくん(加藤大育)やコウくん(綿引康)が出て行った裏のスペースをカバーできるようにうまくスライドできました。ただ、そこでセーフティーにクリアしなくちゃいけない場面で中途半端になってしまったプレーが何回かあったので、そこは次の課題だと感じています。
--シュタルフ監督は少し山内選手に“喝”を入れたという話をしていましたが、相模原に加入後一番いいプレーを見せられた試合になったのでは?
下がってしまう守備は自分の癖になっていて、ボールを奪った後、一番危ない場所からとりあえず下げてしまう場面が多かったんです。そこはずっと指摘されていたんですが、なかなか直せませんでした。今回は「とにかく前に」という意識でプレーしましたし、厳しい指摘も受けながら取り組んだので、その点は特に改善できたかなと思います。
加入してから一番のパフォーマンスを見せた手応えは、自分としてもあります。出た試合ではあまり勝てていなかったんですが、今日は自分の良さをいつもより多く出せたかなと思うので、今後にも生かしていきたいです。