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09-26-2025

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【大卒ルーキー対談】“崖っぷち”から“即戦力”へ。竹内崇人&杉本蓮「相模原に、恩返しを」

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取材・文=北健一郎、青木ひかる(SC相模原オフィシャルライター)

今シーズン、SC相模原に加入した、竹内崇人と杉本蓮。大卒1年目ながらもリーグ戦にコンスタントに絡み、存在感を発揮している注目の若手プレーヤーだ。

今でこそ、“即戦力”としてJリーグの舞台で堂々とプレーしている二人だが、思うように内定先が決まらず、大学4年生の12月にギリギリでオファーをもぎ取り、ピッチに立っている。

「拾ってもらった相模原に、恩返しをしたい」

強い思いを胸に戦う、ルーキーコンビに、学生生活の4年間、プロデビュー後の半年間、そして今後に向けての意気込みを聞いた。

ピッチ内外で成長した4年間

--「大卒ルーキー対談」ということで、お二人の大学時代の話から聞かせてください。まず、竹内選手は筑波大学、杉本選手は関西福祉大学で4年間プレーしましたが、大学選びの決め手は?

竹内 僕はサンフレッチェ広島ユースだったんですけど、実家は川崎なんですよ。なので、「関西か関東か」という選択肢があって、関東の大学で候補を探しました。

その中で筑波は推薦の人数が少なかったので、1年生で試合に出ている選手がいるところがいいな、と。ただ実力不足だとも思っていたので、ダメ元で希望を出しました。そしたら運良く(小井土正亮)監督に気に入ってもらえて、道が開けた。本当にラッキーだったなって思います。

杉本 僕の場合は高校でずっとレギュラーだったわけじゃなくて、途中から試合に出始めた選手だったので、進学先も選択肢が多くなかったんですよ。その中で、自分が出るイメージが沸いたのと、環境も整っていて「いい大学だな」と思えたのが決め手でした。

--関西福祉大学は、まだサッカー部ができて10年ほどで、わりと新しい大学ですよね。

杉本 そうですね。でも、サッカー部の環境はすごく整っていたと思います。ただ、田舎すぎるというところもあって(笑)。一人暮らしだったんですけど、周りは山しかなかったし、遊びに行く時も、電車で1時間半くらいかけて神戸に行ってました。

--大学生活の一番の思い出は?

杉本 思い出かあ。入学した頃は新型コロナウイルスが流行していたので、授業はずっとオンラインばっかりだったんですよ。

竹内 1、2年生の頃は家にいる時間が長くて、あとはもうグラウンドにいるみたいな感じだったよね。

杉本 サッカーでいうと毎年いろんなことがあって、パッとこれが一番っていうのは思い浮かばないですけど……。でも、2年生の時が一番なにも考えず、のびのびプレーできて楽しかったかもしれないです。

竹内 目に見える成績のところでうれしかったのは、新人戦での優勝と関東リーグで優勝できたことなんですけど……。

3年生になって有観客試合ができるようになって、2000人のお客さんの前でプレーできたのは、すごく思い出に残ってます。チームメートのみんなが集客に力を入れてくれて、自分たちで試合をつくる大変さを知りました。学生のうちから、家族以外のいろんな人に応援されながらサッカーができたのは、いい経験になりましたね。

杉本 ちゃんとしたエピソードだね(笑)。準備しておけばよかった……。でも思い出ではないですけど、大学4年間で成長できたところでいうと、高校の時よりプレースタイルがはっきりしたというのは、大きな成果でした。

高校の頃はトップ下でプレーしていて「なんでも、そつなくこなせる」選手だったんですけど、大学で過ごした4年間で、ドリブルやスピードで通用したことで、「これが自分の武器だ」と自信にもつながりました。

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毎晩の「反省会」で深まった絆

--お互いのことは、相模原に入る前から知っていた?

竹内 関東と関西だし、カップ戦でも対戦したことはなかったです。でも……。

杉本 他のクラブですけど、練習参加をさせてもらった時に一緒になったことがあったんだよね。

竹内 そうなんですよ。こうして一緒のチームでプレーすることになるとは思わなかったので、びっくりしました。

--まさかの再会だったんですね。

竹内 いろんなクラブの練習に行ったけど、全部ダメで。「もう、サッカー辞めるしかないかも」って思っていた時に、相模原の練習に参加させてもらいました。リーグ戦も終わっていて、シーズンオフに入る前の最後の2日間だったと思います。そこでどうにか認めてもらえて、オファーをもらうことができた。本当に「拾ってもらった」形です。

杉本 僕もまったく一緒で、滑り込みです。さっき言った通り、4年生の1年間は本当に苦しかった。自分が思ってる以上に周りも気を使ってくれていたと思うし、それもあって考えることが多くなりました。その中でも、家族は信じてくれていたので、どうにか踏ん張れた。相模原には本当に感謝してるし、期待に応えたいって気持ちでプレーしてます。

--お互いの第一印象はどうでした?

杉本 「芯がありそうな人だな」って印象でした。静かだけどブレないものをもっているというか、きっちりしてるんだろうなって。

竹内 僕は「すごく明るくて、“いいヤツ”だな」って思ってました。ただ……。

杉本 え、悪口?

竹内 いや、キャンプで同部屋だったんですけど、けっこうナイーブなタイプというか。落ち込みやすいよね?

杉本 バラさないで(笑)。

竹内 最初の方はやっぱりついていけないことも多くて、二人とも(シュタルフ悠紀リヒャルト)監督によく怒られていて。夜部屋に戻って反省会を開いてたんですけど、蓮はあからさまにしょんぼりするんですよ。

--感情が出やすいんですね。

竹内 僕もミスするとけっこうへこんじゃうタイプなんですけど、蓮は本当にわかりやすい。

杉本 まあ、そうすっね(笑)。お互いで励まし合ってたよね。

竹内 落ちるところまで一回落ちて、「大丈夫だよ」ってね。支え合いながら、今頑張ってます。

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「実は不仲説」の真相は……?

--ちなみに、二人が実は“不仲”なんじゃないかという疑惑があると聞いたのですが……。

杉本 でた!最近言われることは減ったけど、(西山)拓実くんとかいじってきます。

竹内 僕は今、実家に住んでいるので家が遠いんですよ。パッと会えない分、意外とオフの日に一緒に遊びに行くことがないんだよね。

杉本 そもそも、僕があんまりアクティブなタイプじゃないというのもあります。

竹内 「オフなにしてた?」って聞いても「寝てた」しか言わないよね。

杉本 地元も遠いし、こっちに友達いないから。しょうがないってことにしといてください(笑)。

--竹内選手は、オフの日は出かけることが多い?

竹内 そうですね。大学の頃はずっと家にいましたけど、プロになってからは積極的に外に出るようにしてます。映画を見に行ったり、カフェでのんびりしたり……。プライベートでいうと、そこが一番変わったかもしれないです。

まだ全然喋れないですけど、最近英会話も習い始めました。通訳のハリー(ビッソル)さんなしで、ケヴィン(ピトリック)とか、(ノアム)バウマンと会話できるようになるのが、ピッチ外での目標です。

杉本 英語は、喋れるようになりたいよね。僕も習いに行ってるとかではないけど、スマホのアプリとかYouTubeとかで、勉強はしてます。あとは本当に世間知らずなので、最近はちょっとでも気になったことは、スマホで調べるようにしています。社会勉強ですね。「家の中で」ですけど(笑)。

--逆に本当に仲良しだからこそ分かる、意外な一面はありますか?

杉本 さっき僕のはバラされたんで……。うーん、秘密主義だしクールっぽく見えますけど、引き出すとけっこう話してくれます。実は、「かわいい」ところがけっこうありますね。

竹内 なにそれ(笑)。

--「かわいい」エピソード、具体的に教えてもらえたりしますか?

杉本 それは言えないっすね!教えられないので、少しずつ探っていってみてください。

竹内 ちょっと、よく分からないです……。

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取り戻した自信を糧に、J2昇格へ

--そんな仲良しコンビのお二人ですが、加入から半年が経ちました。リーグ戦での出場時間も増えてきていますが、手応えとしてはどうですか?

竹内 去年の自分からは全く想像できないぐらい、充実しているなと思います。進路が全然決まらず自信をなくしていたところから、ようやく調子が戻ってきて、一番良かった時のプレーを出せるようになってきました。自分の力を信じて使ってくれる監督には、本当に感謝しています。

杉本 キャンプはかなり周りとの差を感じていたので、試合に出られるようになったのは、思ったより早かったですね。ただ途中出場の試合も多いので、出場時間を伸ばして先発争いに食い込めるようになるには、めげずにやるしかないな、と。

最近は自然とプレーも良くなってきて、少し余裕をもてるようになりました。「絶対勝つ」「自分がやるんだ」と強気な気持ちで試合にも臨めるようになったし、楽しみながらやれています。

--この半年でのベストマッチは?

杉本 アウェイの栃木SC戦ですかね。体も軽くて、自分の思うようにプレーできたし、特徴も出せたかな、と。負けている状況で投入されることが多いので、ピッチに立つ時はいつも「もう一度、みんなの戦う気持ちを盛り立てられるように」と意識しています。この試合は、これまでで一番チームの流れを変えられた感覚もありました。

竹内 僕はホームのギラヴァンツ北九州戦ですかね。ボランチができる選手が中盤に4人いたので、そこでポジションを入れ替えながら、うまく自分たちのペースがつくれました。自分は組み立てに関わりつつ、前に出ていくのが特徴なんですが、すごくやりやすかったです。

--2人が先発する試合もありましたが、感覚はどうですか?

竹内 細かくコミュニケーションを取らなくても、息が合うというか。蓮はドリブルがスーパーですけど、さらにパスもうまいのがすごいなと思いますし、自分は足の速い選手を生かすパスとかが得意なので、そういうところでも一緒に出ていると楽しいです。

杉本 (相模原に加入前に)一緒にプレーしたことあったんじゃないか、と思うくらいスムーズにやれますね。タッチパスで早い判断でボールを回せますし、その判断も臨機応変にスパッと変えられるので、本当にテンポよく自分のところにもボールが来る。僕以外の選手もすごくプレーしやすいんじゃないかなと思うし、本当に頼もしい存在です。

--課題だなと感じていることは?

杉本 試合には絡めることが多いんですけど、ゴールやアシストはまだ少ない。最後のクオリティの部分をもっと磨かないといけないと思ってます。周りの選手から吸収できる部分はたくさんあるので、結果に結びつけていきたいです。

あとは、体づくりですね。長い目で見たらすごく大事なことだと思うので、そこは課題かなと思ってます。

竹内 これは僕個人というよりもチーム全体のことですが、シーズンを通して相手にボールを持たれる展開が多かったので、自分たちがボールを保持して主導権をにぎる試合を増やしていきたい。

もちろん、そこからゴールやアシストという結果を出すのが大事だし、数字を動かすのが自分の役目だと思うので、そこにはもっとこだわっていきたい。ゲームコントロールをしながらも、ゴール前にも積極的に入ってしっかり結果を残せるように、残りのリーグ戦を戦っていきたいです。

--最後に、サガミスタのみなさんにメッセージをお願いします。

竹内 自分がプロになれたのは、このクラブがあったから。なので、今年J2昇格という結果で、恩返しがしたいです。チームの状態も良くなってきているので、ここから巻き返して目標をつかみ取れるように、一緒に戦っていただけるとうれしいです!

杉本 一つでも多く勝ち点を積み上げて、みんなで「ファミリア」を歌いながら、J2昇格を目指して頑張りましょう!これからも応援よろしくお願いします!


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