《試合結果》
鹿児島ユナイテッドFC 3-0 SC相模原
得点
21'河村慶人(鹿児島ユナイテッドFC)
74'河村慶人(鹿児島ユナイテッドFC)
80'アンジェロッティ(鹿児島ユナイテッドFC)
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2025/081626/preview/#preview
シュタルフ悠紀リヒャルト監督
--試合の総括をお願いします。
リーグ前半戦も負けましたが、その時「なぜ負けたのかわからない内容だった」と話しました。今日も同じように、内容では我々が勝利に値したチームだったと思います。
ただ、ハードな試合を戦ってわかってきたのは、J3というリーグは本当にジャッジで流れが変わるということです。今日も最初の裏抜けの場面で、かつて鹿児島にも所属していた河野諒祐が倒されましたが、カードも出ず、フリーキックにもなりませんでした。フットボールは流れのスポーツです。天皇杯では流れがぶつ切りにならない分、ある程度シミュレーションどおり、練習どおりに進められますが、J3では判定一つで大きく変わってしまう。もちろん自分たちが決められるチャンスを決めきれなかったこともありますが、選手は本当にかわいそうだと思います。
我々も数週間前の栃木SC戦で誤審があり、最後アディショナルタイムで劇的に勝って勝ち点3を取れた試合もありました。ただ、それを除くと毎度毎度「14人相手にしているのでは」と感じることもあり、J3は本当に難しいリーグだと感じます。
今日は鹿児島にとっては10,300人近くの観客が集まった、素晴らしい雰囲気での最高のゲームになったとは思うので、興行としては良かったと思います。ただ一方でスポーツである以上、公平な競い合いが行われないと意味がないと思います。そうでなければ、J3というリーグそのものの存在意義が問われると思います。
毎試合準備として、スカウティングでたくさんの試合を見ますが、結局「運がいい順」というか「レフリーに好かれているかどうか」なんじゃないかと感じてしまう。今日も試合前のアップ中に、審判が相手選手をハグする姿を目にしました。それを見ると「果たしてこの人はフェアに裁けるのかな」と疑念を感じてしまいます。また、この灼熱の鹿児島で飲水タイムがなかったことも、(チームを預かる)僕としては納得できません。
日本では負けたチームが声を上げると「負け犬の遠吠え」と受け取られがちですが、そうした声に耳を傾ける文化があれば、J3というリーグももっと良くなると思います。だからこそ、この場を借りて発言しました。
もちろん、これは鹿児島の勝利を否定するものではありません。相手のゴールは素晴らしかったし、3失点とも我々の一瞬の隙を突く鋭さはさすがでした。1点目も、我々が安易なオフサイドトラップをかけようとしたところを最後まで走られて、みごとに決められました。上位にいる理由がよくわかる試合だったと思います。ただ、0-3の試合内容だったとは感じません。それだけです。
--フラストレーションが溜まる試合だったことは伝わりましたが、3失点のシーンについては現時点でどう分析しますか。
前半の1失点目は、相手に与えたチャンス自体ほとんどなかったなかで、一瞬の隙を突かれました。ディフェンスラインが新しい顔ぶれだったことも多少影響があったかもしれませんが、ワンチャンスを決められたのは自分たちの責任だと思います。
ただ、先ほども言ったようにフットボールは流れのスポーツです。本来であれば我々がフリーキックを得ていたかもしれない場面もあったし、映像を見ていないので断定はできませんが、退場になってもおかしくないシーンもあったと思います。もしそうなっていれば、全く違う展開になっていたはずです。そういう背景を踏まえると、選手たちは本当にかわいそうだと感じます。
綿引(康)については今季初出場でしたが、非常にいいパフォーマンスを見せてくれました。結果だけ見れば「常田(克人)から綿引になって3失点」と言われるかもしれませんが、私は彼のプレーを称賛したいです。
2失点目、3失点目ももちろんダメです。でも、これも映像を見ていないので確証はありませんが、杉本(蓮)のチャンスの場面では相手DFの手に当たって、PKになってもおかしくないように見えました。そうした判定も含めて、流れがぶつ切りになると集中力が途切れ、その一瞬から失点が生まれてしまう。そこで「集中力が切れるのが悪いんじゃないか」と言われればそれまでですが、選手のことも責められない。フラストレーションが高まるのも当然だと思います。
--守備陣が新しい顔ぶれになったという話がありましたが、そこでの戸惑いや連携での課題感などはありましたか?
1失点目に関しては連携の問題も多少はあったかもしれませんが、一人がカバーに入ってついていけば、それで済んだと思います。なので、連携が良くなかったというよりも一瞬の隙を見せてしまったという表現が正しいです。それ以外の部分では前半も後半の立ち上がりも特に問題はなく、準備してきたプレスの形もきれいにハマっていました。内容としてはしっかり準備したものを出せていたと思います。あとはチャンスを決めきれなかったこと、そこが今日最大の反省点です。
--今日の試合は中断明けということで、約3週間を準備に使えたチームもある一方、相模原は天皇杯もあり、リーグ戦のためだけに時間を割けたわけではなかったと思います。この期間はどのように活用されましたか。
おっしゃるとおり、我々は天皇杯もありましたので「中断」という形ではなく、通常どおりの準備をしてきました。鹿児島の試合映像を分析して臨みましたが、中断期間中のトレーニングマッチなどは確認できませんでしたので、そこは多少不確かな部分もありました。
ただ、試合展開そのものは想定していたとおりでしたし、相手を分析したうえで、自分たちのストロングポイントを相手のウィークポイントにぶつけていく準備をしましたが、この結果になりました。
DF/54 綿引康
--昨シーズンはウイングバックでも出場していましたが、リーグ戦で久しぶりにセンターバックでプレーした感触は?
自分の特徴は周りを使いながらテンポを出して安定したパス回しの軸になることで、それはポジションが変わっても大きく変わりません。やりづらさも感じませんでしたし、思い切ってプレーできたと思います。
--昨シーズンは大きな怪我もありましたが、“怖さ”などはなかった?
普段から練習試合でも試合と同じような強度と気持ちでやっていたので、心配は全然なかったです。
--序盤から積極的に前線まで上がって攻撃参加をするプレーが印象的でしたが、意識していたのでしょうか。
そうですね。久しぶりに試合に出ることができたし、ここからスタメンを勝ち取る意味でも自分の長所をしっかり出したいと思って、攻撃参加を立ち上がりから積極的にやろうと臨みました。
--前半は特に失点こそしたものの隙は少なく、後半も綿引選手がいるサイドは大きなピンチも少なかったかと思いますが、残念ながら3失点という結果になりました。
ディフェンスとして3失点したのはもちろん良くない結果で、反省しなくてはいけません。どちらのサイドからやられたかは関係なく、チーム全体で守るなかで起きた失点です。なので後半の失点も右サイドだけの責任ではなく、僕のポジショニングやチーム全体のプレッシャーのかけ方がもっと適切であれば、防げた場面もあったと思います。
--常田(克人)選手も負傷し、次節はピトリック選手も出場停止となりました。そのなかで、綿引選手にとっては力を示すチャンスでもあります。この敗戦を次にどう生かしていきたいですか。
最近は守備が良い状態で、それを踏まえて自分も出場しましたが、この結果になってしまいとても申し訳ない気持ちです。ただ今出ていない選手も、普段の練習から努力しているし、コンディションの良い選手や素晴らしい選手がそろっているので、誰が出てもこのチームは強いと思います。持っている力をしっかり100パーセント出せるように、次節に向けてチーム全員で準備していきたいです。
MF/24 杉本蓮
--アウェイでの敗戦となりましたが、試合を振り返っていかがですか。
前半は相模原のペースで、自分たちのボールで繋ぎながらチャンスをつくれていたものの、得点を取れずに苦しい時間が後半にも続いてしまいました。後半の立ち上がりでも得点を意識して自分もプレーしましたが、なかなか結果に結び付かず、0-3になってしまいました。
--前半は、ベンチでどんなイメージを持ちながら試合を見ていましたか。
守備の部分については前半から準備していたことをやれていたので、自分が入る時も同じことができるようにイメージしていました。攻撃面では、相手のディフェンスが少し曖昧でルーズなところがあったので、そこのサイドバックとセンターバックとの間や裏のスペースを意識するつもりで、後半試合に向かいました。
--そのなかで、ピッチに立って2、3分で一つ大きなチャンスをつくりました。
いい形で前は向けましたが、あそこで1発で決めれるような選手にならないと、チームを勝たせられる選手にはなれないのかなと思います。そのあとも(高野)遼くんからのクロスを中心にチャンスがあったと思いますが、生かしきれなかった。ボックス内での勢いを出したり、中盤でのコンビネーションを工夫したりしないと、複数得点を取れるようになるには遠いのかなと感じています。
--ボールをもてていた分、より悔しさも増しているかと思います。個人として、チームとして、どんなことに取り組んでいきたいですか?
これまで失点は少なかったですが、今回の試合では大量失点となってしまいました。もう一度引き締めないと、同じことを繰り返してしまいます。守備面で集中力を高め、全員が責任を持って守ることが必要です。
個人としては、今回がやっと途中出場だったので、内容も大事ですが、ゴールを決めなければ勝つことはできません。一人ひとりがその意識を高く持たないと、難しい試合が続くと思います。チーム全体としても、そこは今後よりこだわっていきたいです。