《試合結果》
ジュビロ磐田 1-2 SC相模原
【得点】
23'川﨑一輝(ジュビロ磐田)
61'髙木彰人(SC相模原)
90+4'ラファエル フルタード(SC相模原)
シュタルフ悠紀リヒャルト監督
--試合を振り返って。
90分で劇的な逆転勝利を決めてくれた選手たちを誇りに思います。ジュビロさんはめちゃくちゃ強くて、前半は未来のジュビロの選手たちもピッチに立っていて、本当に動きもいいし、速いし、なかなか捕まえられず、手を焼いていました。
ハーフタイムで「俺らももう一度根性を見せよう」と。僕らはリーグ戦で悲惨な順位にいるので、「その悔しさもこの天皇杯という違う大会で晴らしていこう」、「自分たちのエンブレムの価値を取り戻していこう」と伝え、その気持ちが手繰り寄せた勝利だと思います。
負けている時間帯もありましたし、手を焼いた時間もいっぱいありましたけど、みんなが一丸となって勝利をつかみ取ってくれて、サガミスタにも届けることができたので、今日は本当によかったです。
中2日でリーグ戦があるので、この勢いをそこへ持っていけるように、まずは選手をしっかりと休ませて、リーグでも名誉挽回できるような戦いをできるように頑張りたいと思います。
磐田さんは伝統あるクラブで、応援の迫力がありますし、スタジアムも素晴らしかった。残りのリーグ戦での健闘を祈っています。
--1回戦の水戸ホーリーホック戦に続き、J2のクラブを撃破しました。今日の相手に対し、どんなゲームプランで臨みましたか?
細かいところはたくさんありますけど、大きなところで言うと、カップ戦は失点しないことが大事になります。前半に失点しまったので、ゲームプランは難しいものになりましたけど、カップ戦に関しては1点さえ取ればPK戦を通して勝つこともできるので、1失点も0失点も変わらないと選手にも伝えていました。
我々はリーグ戦での順位が伴っていないですし、得点を多く取っているチームではないですけど、数試合を除いて毎試合1点は取れています。今日も1点はなんとかもぎ取れる確信があったので、粘って1失点以内で抑えれば、僕らの時間はやってくると思っていました。後半、PKを獲得する前は僕らの時間帯でしたし、そういった流れのいい時間が来ることを信じてみんなで守っていました。
--PK獲得は、杉本蓮選手からのパスがきっかけでした。後半も彼の場所で1対1の優位性を作れていたように見えましたが、彼の評価は?
蓮は、練習参加で来た時から「僕らを楽しませてくれる選手」だと思っていて、クラブにお願いをして獲得してもらった選手です。まだまだ課題もありますけど、今日見せたようなプレーが彼の武器ですし、上のカテゴリーで実績のあるサイドバックを相手にもああやってチャンスメイクできることを示せたのは、本人にとってもよかったと思う。ただ、足をつるのが早すぎますし、守備で危なっかしい場面はありましたけど、これを自信にチーム内の競争を活性化させてほしいし、リーグ戦にも勢いをもたらしてほしいですね。
--終盤、2本のロングスローがチャンスを生み、そのうちの1本が決勝点に繋がりました。
際どいゲームはセットプレーで動くと思っています。セットプレーはCK、FKだけではなく、ロングスローやチャンスにはならなかったですけど、キックオフも準備していたものがありました。我々のクラブには素晴らしいスタッフがたくさんいて、ヘッドコーチの高橋健二さんがロングスローを担当しているんですけど、彼に助けられたゴールになったと思います。選手といい準備をして得点に繋げられたことはよかったです。
--チャンスは作れていた中で、流れの中からゴールは決まらなかった一方で、自陣ゴール前では集中して守備ができていたように見えました。今日の収穫と課題、それぞれを教えてください。
前半の髙木(彰人)のチャンスは狙い通りで、後半にも右サイドでローテーションしながらマッチアップをズラして突破するという、狙っていた形からチャンスを作れたことは手応えでした。そこを決め切る、決め切らないというのがサッカーの醍醐味で、FWたる選手たちが日頃の練習からいかに厳しい環境でゲームをイメージしながら自分のシュートスキルを磨いていけるかにかかっています。2、3回エリア内でフリーの髙木がボールを受ける場面があって、そこでは得点に繋げられなかったですけど、PKのシーンでは落ち着いて決めてくれました。ミスが起きるスポーツなので、大事なのは次のプレーに向けて集中力を高めること。それがリーグ戦に向けた課題でもあるかなと思います。
守備に関しては、僕らは組織的な守備が崩壊しているチームではありません。ここ数試合は失点が重なっていましたけど、事故みたいな失点だったり、交代カードを使い切っている時に怪我人が出てしまい、前回はやられた部分もありました。
僕らは前半戦だけの結果で順位表を作れば4位になるんですけど、後半での結果は最下位になります。逆転勝利も今回が初めてですし、後半の戦い方を意識して準備できたことが繋がったと思う。選手たちにも感じてほしいのは、流れがいい時間に攻めて、流れの悪い時間にしのぐという、流れの読み違いをしないようにしたい。
あとは頑張るところは頑張らないといけない。今日は交代枠を使い切ってしまっていましたけど、足をつりそうな選手も頑張って、なんとかゴール前で押し込むところとしのぐところはできていました。それを次の試合でも出せるように、頑張りたいです。
--3回戦ではJ1の川崎フロンターレとの試合になります。
正直、僕の頭には次の高知ユナイテッドSCのことしかありません。今シーズン、優勝を目標に掲げてスタートを切って、不甲斐ない成績しか残せていない悔しさしかありません。まだフロンターレのことは考えられないですし、とにかくどうやってこの順位を回復させるかに全集中力を向けたいと思います。リーグ戦で1つでも勝利を積み上げることができれば、それがフロンターレ戦への勢いにもなるはず。まずはリーグ戦に目を向けて、その日が来たら今日のように全力で勝利を目指して戦いたいですね。
FW/9 ラファエル・フルタード
--ラファエル選手の決勝点で3回戦進出が決まりました。今の気持ちはいかがですか?
チームを助けるゴールを決めることができたので、とても嬉しいですね。リーグ戦にも繋がっていくかなと思うので、続けたいです。
--右サイドのロングスローからでしたが、振り返ってください。
まずはPKで追いつけたことが本当に良かったと思います。その後は緊迫の中、試合が進んで、最後の最後にロングスローから決勝ゴールが生まれました。ロングスローは練習でやってきていましたし、試合でも何度かやってきました。その結果、成功に至ったと思いますし、次の3回戦に進めることはすごく喜ばしく思います。
--落ち着いた状態からシュートを決めたように見えました。どんなことを意識していましたか?
ゴールが入る前、逆サイドからもロングスローがありましたけど、あそこからいいボールが来ましたし、「ファーサイドで触れていれば」と思ってボールを待っていました。その数分後に逆から同じようなシーンが現れて、「僕は信じてボールは絶対に来る。俺が決める」と待っていたらその通り来てくれたので、それに尽きるかなと思います。シュートもうまく入ってくれましたし、神に感謝したいですね。
--ゴールを決めた後、シャツを脱いでいましたが喜びが爆発したのでしょうか(笑)。
そうですね。この間は水戸と対戦して、今回はジュビロさんと対戦しましたけど、やっぱりモチベーションは上がりますし、エモーショナルな気持ちになりました。あの時は頭が真っ白な感じになって、もう思わず脱いじゃいました(笑)。今日のゴール、勝利は仲間たちのおかげだと思っていますし、みんなに感謝したいですね。
--チームの順位が思うように振るわない中で、ここ最近ラファ選手はゴールを量産されてきています。今後へ向けた気持ちはいかがですか?
今、チームの順位は下がっていますけど、1個1個上がっていくしかありません。いい結果を望むためには、もう自分の力を全部出して、12月まで必死になって頑張りたいと思います。
--今日、ファミリアの時は最前線に出て踊っていましたが、そういった機会をもっと増やしていきたいですね。
気に入りました?
--はい(笑)。
何回も踊りますね。
MF/24 杉本蓮
--杉本選手のところで、何度も1対1の局面を作って、相手ディフェンスを剥がすプレーが多かったと思います。ご自身のパフォーマンスを振り返っていかがですか?
前半はなかなか自分の武器を出せていなかったので、スタッフから「後半は背後の動きをもっと増やしした方が自分を活かせるんじゃないか」と言われて、それを意識して自分自身、前でドリブルができました。
後ろの選手たちもやっぱりずっと繋いでるだけじゃキツいはずですし、相手にとっても低い位置よりかは高い位置で仕掛けられる方が怖いと思うので、なにかしら背後を狙うアクションをすることを考えていました。そこで後半はギアを1個上げられたのかなと思います。
--J2のチームを相手に戦って、ドリブルが通用した感覚はありましたか?
天狗になってはいけないので、喜んでいいか分からないですけど、「通用するな」とは思いました。そこは自信にして、自分自身もっともっと成長できるように頑張っていかないといけないと思います。それを試合で引き出すためにも、練習からより意識してやっていきたいと思います。
--ペナルティエリア内でも相手のことを最後の最後まで見て、集中しながらも楽しそうにプレーしているように見えました。
ボックス内は集中力を高めないと(決定機に)繋がらないですし、得点もできないと思います。どれだけ周りを見て情報を得て、どの選択肢いいのかというのを感覚的にやっています。
--ドリブルをしながらも、常に間接視野で状況を見て、仕掛けていた。
イメージはそんな感じでした。
--徳永裕大選手がエリア内で倒されてPKを獲得したシーンは、杉本選手のラストパスがきっかけでした。あの場面も、その意識でパスを出したのでしょうか?
そうですね。ボールを持った時にドリブル優先ではなく、ゴールに直結するプレーを考えています。そこで裕大くんがタイミングよく裏へ抜けてくれたので、そこにうまく流し込めたかなと思います。
--今日は杉本選手がボールを持つとサガミスタは湧いていて、期待感が溢れる感じがありました。
嬉しいですね。今日はスタンドが近かったですし、臨場感がすごかったですね。
--杉本選手は、昨シーズン練習参加した際にシュタルフ監督がすぐに獲得をお願いしたと伺いました。改めて、どんな経緯で今、相模原の一員になったか教えてください。
自分自身、怪我の影響もあってなかなか他のチームへの練習参加にいけていなくて、怪我が治って参加させてもらったクラブもいくつかありましたけど、コンディションも上がらず自分自身も自信をどんどんなくしていました。そんな時に相模原の練習に参加した時は自分のプレーを出せましたし、監督も熱い方でいいチームだなと思ったので。このクラブに恩返しをできるように、頑張りたいですね。
MF/27 西山拓実
--1回戦の水戸ホーリーホックに続いて、ジュビロ磐田まで破りました。率直な感想を教えてください。
次のステージに進めたので、それは良かったかと思います。
--スタメンでの起用は久しぶりでしたが、この試合に個人としてはどういう気持ちで臨みましたか?
勝ちたいと思っていましたし、それに貢献したいと思っていました。あとは今日はJ2のチームが相手だったので、自分がこれからステップアップしていく上ですごく大事になる試合かなと思っていました。
--前半はインサイドハーフで出ていて、後半はアンカーへポジションが入れ替わっていました。西山選手にどんな指示があったのでしょうか?
「変更」としか言われていなかったすけど、練習ではずっと自分がアンカーをやっていて、(徳永)裕大くんがインサイドをやってきていましたけど、昨日の前日練習では(ポジションが)逆だったので、「左サイドは左に流れて、右サイドは(福井)和樹と(田中)陸くんと裕大くんのところでローテーションの動きをしたいのかな」と思ってやっていました。
ただ、自分たちの力量不足もあって前半に監督が狙いとしていたことがうまくできず、ちょっと裕大くんもしっくり来ない感じがあるとは言っていました。それで後半にポジションが変わってからは、ずっとやっていた関係性もあったので、やりやすさが出てきました。
--アンカーになった後半は、相手のトップ下を担っていた角昂志郎選手の管理が重要なタスクになったのでは?
前半はマンツーマンでいこうという感じで、中盤の選手をインサイドハーフが捕まえるようにやっていましたけど、うまくいっていなかったんで、(後半は)自分がトップ下の選手を管理しながら、前の選手が出ていった時にボランチの選手のところにも出ていけるようにと、意識していました。
--前半はマンツーマンディフェンスの意識が強すぎたため、ワイドに入った選手についていきすぎたことで、間のスペースを使われることが多かったように見えました。
そうですね。前半はウイングバックが両方(相手のサイドバックに対して)出て、相手のダブルボランチに対してインサイドハーフが捕まえて、アンカーがトップ下を管理していました。ただ、相手のボランチが流動的に動いてきて自分たちは動きすぎて、みんなとの距離が遠くなってしまい、スペースを使われていました。
後半は、裕大くんを相手のサイドバックに当てて、ウィングバック(が前に出ていくこと)を我慢させようとやっていました。それで自分がトップ下を管理してるところから、相手のボランチが流れたところにいった方がスムーズだし、守りやすくなって、うまくいった部分が多くなりました。
--相手のサイドバックはほとんど攻撃参加せずに、幅をとったウイングが攻めてくることが多かったですよね。
思ったより(相手のサイドバックの立ち位置が)低かったので、ウイングバックから縦ズレして、センターバックが張っているウィングのところにマークへいく距離が広くなっていたので、センターバックもウイングバッグも我慢して、中盤から出ていく形に変えました。そこはしっかりと修正ができたかなと思います。
--後半は左サイドの杉本選手へボールを集めていたように見えました。そこは意図的にやっていたのでしょうか?
意図的ではなかったですけど、1回ボールを渡した時に「いけるな」という感覚がみんなの中に生まれたと思うので、「じゃあどんどん使っていこう」という雰囲気があったのかなと思います。
--試合の中で相手のやり方などを見ながら、戦い方を変えたことが最後の逆転勝利に繋がったのでしょうか?
そうですね。そこはうまくいった部分もあったけど、前半にも途中で1回(マンツーマンで)いくのはやめようと言ってそれもうまくいかず、あそこで2点目を入れられていたらゲームはより難しくなっていました。前半の途中にもう少し修正できればよかったかなと思います。
--磐田は後半、主力級の選手をどんどん入れてきましたが押され続けることはありませんでした。
こっちも後半に入ってきた選手たちが勢いを作ってくれましたし、みんなが戦い方をハッキリさせてやっていたので、慌ててもいなかったし、後ろがすごい安定していました。メンバーが変わったとかは関係なく、安定して戦えていました。
監督もミーティングで、この前の試合が終わった後に「前半だけの戦績だと上位いるけど、後半の結果が良くないから今の順位にいる」という話をしてた中で、今日は後半で逆転できたことはすごくよかった。トーナメントというのもありますけど、みんな集中して最後までやれていたかなと感じます。
--西山選手にとっても今日はフル出場で勝利に貢献して、アピールに繋がったのでは?
そうですね。今日勝ったことはよかったですけど、自分自身のプレーを振り返ると、良かったプレーが全然なかったなというのが正直な感想です。もっと練習しないといけないですし、リーグ戦ではアンカーとして全然出ていないので、本職としてやっているポジションで、1日でも早く試合に出たいなっていう気持ちはあります。
--今日の勝利のファミリアはどうでしたか?
ああやって平日のナイターゲームにもかかわらずあれだけの人数のサガミスタが来てくれて、個人的な感触はやっぱ全然良くなかったんすけど勝って、みんなでファミリアできたことはすごく幸せでした。
--3回戦は川崎フロンターレが相手です。J1のチームと戦えるというのは楽しみですか?
めちゃくちゃ楽しみですね。それもあったので今日は絶対勝ちたいと思っていました。ただ中2日でリーグ戦がありますし、“エナフェス”で勝って、流れをなんとしてもつかみたいので、今日のようにガムシャラに戦っていきたいと思います。