SC相模原

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07-12-2024

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シュタルフ悠紀監督インタビュー「攻撃をバージョンアップさせ、サガミスタと共に勝利に値するゲームを」

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7月13日の第21節・アスルクラロ沼津戦で就任後初めてのホームゲームを迎える、シュタルフ悠紀監督。試合に先立ち、SC相模原の一員になることになった経緯、J2昇格へ向けたプランを伺いました。

--SC相模原の一員になることになった経緯と、どんな内容のオファーを受けたかを改めて教えていただけますか?

諸事情でたまたま日本に帰ってきていました。そこから少し時間が経ったタイミングでクラブから連絡があり、「いまSC相模原はJ2昇格を目指していて、それは難しいミッションなのはわかっているけど、そのミッションを引き受けてほしい」と伝えてもらいました。たまたまフリーの立場だったということもありますけど、ミッションは難しい方がやりがいがあると感じる性格ですので、「やらせていただきます」と返事をして今に至っています。

--今までは奪った後にボールをすぐに失ってしまうということが課題としてありました。監督就任後、どんな取り組みをされていますか?

監督としてできることは、選手の選択肢を増やしてあげること。練習の時に見たような光景を見られると試合の時も判断のスピードが上がったり、ちょっとした余裕が生まれる。余裕ができればミスは減ると思っているので、そういったことが僕にできるのかなと。僕はまだ、相模原の全試合を確認できていないので多くは言えないですけど、カターレ富山戦も奪った後にチャンスへとつなげたシーンは何本かありましたが、それは奪った後の配置を少し調整していたことで、いい形でのカウンターにつなげられたと思いますし、スピード感を持ってファーストアタックするというのは自分が見てきたチームの特徴でもあります。そういったところをしっかり落とし込んでいけば、自分たちで作っていくゴールと、奪って早く畳み掛けるゴールの回数は増やせると思うので、そこは頑張ってやっていきたいと思っています。

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--SC相模原とはY.S.C.C.横浜やAC長野パルセイロの監督として対戦した経験があると思います。どんな印象でしたか?

昇格を決めた2020シーズンはユーリ、ホムロというブラジル人選手がいて手強い印象がありました。昨季で言うと、強度があまり高くない印象で若い選手がたくさんいてガンガン走ってくるのかと思いましたが、どちらかというと構える守備で、崩すのは難しいけど攻撃の怖さがあまりない印象でした。そこから今季引き受けて感じたのは、この1年でエナジーに満ち溢れたチームに変わったんだなということ。アグレッシブにボールを奪いにいけるし、走れて戦える。そこは今までクラブに携わってきた方が積み上げてきたものなんだなというのを感じつつ、自分は先ほどお話しした攻撃のエッセンスを注力することに期待されているんだと思っています。

--前節のいわてグルージャ盛岡戦は1-0で勝つことができ、2試合で1勝1分です。ここまでの取り組みを振り返っていかがですか?

攻撃のところはもっともっとバージョンアップさせないといけないと思っていて、先週の岩手戦はそこを重点的に取り組んで試合に臨んで、多少の手応えも感じられました。チャンスの数やボックス前へ一気に攻め入るスピード感は今までと比べても多かったんじゃないかなと思います。結果的にはウノゼロ(1-0)で今季の相模原らしい結果になりましたけど、3、4点取ってもおかしくなかった内容でした。むしろ3、4点取らなきゃいけないチャンス数だったと思いますし、守備でも2試合連続のクリーンシートを達成できて、それは今までの積み上げがあってのことですけど、うまく継承しアップデートできたと思っています。勝率を五分のところから60%、70%と上げていくための力に自分がなっていきたいですね。

--ここから複数得点を取れるようにするためには、どんなことが必要になりますか?

チャンスの数をもっと増やしたいですし、メンタル的なところで言えば打てるところでシュートを打たない場面がまだある。そこはトレーニングでシュートを多く打つようなメニューを取り入れたりしています。FWにも献身的なものが求められてきたんだろうなと感じるんですけど、それは当たり前で、守備の時の献身性とは裏腹に攻撃時は自己中心的なメンタリティも持ってほしいと思っています。「自分がゴールネットを揺らすんだ」という気持ちがないFWは怖くありません。みんなその気持ちを秘めているはずなので、そこを引き出すためのアプローチをしてあげたいと思っています。

それともう一つは、質ですね。これは永遠の課題ですけど前節、髙木彰人が(相手ゴール前に)抜け出したシーンや高野遼のヘディングシュートも決めてほしい場面でした。2本中1本は決定機をモノにできるようになりたいので、そこはひたすら反復して質を上げていけるようにサポートします。

--ここまでの2試合で、取り組んできた場面が現れたシーンはありますか?

いっぱいありますよ。それこそ先ほど挙げた高野のヘディングシュートは後ろからつないでコンビネーションで前進して、WBのクロスに逆サイドのWBが合わせるという、イメージ通りの攻撃でした。僕の率いるチームは良い守備からのショートカウンターやロングカウンターが多くなりますけど、ボール奪取からの惜しいシーンは増えてきていると思うので、そういう意味でも前進できています。前節に関してもクロス時はCBの裏を狙っていたので練習通りの得点でした。もっともっとゴールチャンスを増やしていきたいですね。

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--選手選考も頭を悩ませる部分の一つかと思います。監督が大事にされていることはありますか?

まずは自分の目を信じています。今まで試合に出ていた、出ていなかったは関係なく自分の目でいけると思った選手を起用しようと思っています。あとはコーチングスタッフの情報や意見も汲み取りながらですね。つまらない回答かもしれないですけど「ゲームに勝たせてくれるんじゃないか」と一番思わせてくれる選手をこの2ゲームで使ってきたつもりですし、今後も使っていくつもりです。

週半ばには「全員がライバルだ」ということを伝えて、毎週あるセレクションを経てポジションを勝ち取った選手が、選ばれなかった選手の分も全力で週末の試合に臨む。選ばれなかった選手たちは出ている選手をサポートする。

大前提は、走る・戦う・助け合う。この部分はみんなで大切にしてクラブが掲げている「エナジーフットボール」を表現していきたいと思っています。

--そういったチーム作りも含め、J2昇格に向けて大事になることを教えてください。

一番は一体感だと思っています。僕にとってはこのカテゴリーで指揮を執って計6シーズン目になりますけど、年々力の差がなくなって拮抗したリーグになっている。それは日本全体のフットボールがレベルアップしているからで、よりいい選手がJ3のチームでもそろっています。そこに対して新しい高卒選手や大卒選手が毎年加わってきて、どんどん層が厚くなっている。

そのなかで差を生み出していかないと上にはいけないと思っていて、その差をどこで出すかだと思います。それを財力で出せるクラブは、財力でトップレベルの質の選手を集めればいいし、そうじゃないチームは、一体感や相乗効果で差を出していかなくてはいけません。いかに選手の特長を足し算じゃなくかけ算でかけ合わせていけるかだと思っています。途中就任という難しさはありますが、一人ひとりとの信頼関係を築かなければいけないですし、早くチームに馴染んでいけたらと思っています。今まで一緒に仕事をした選手やスタッフは一人もいませんが、みんなに早く認めてもらえるように新人の僕が誰よりも頑張っていきたいと思います。

この2ゲームはいい滑り出しができたと思っていますけど、今後転んでしまった時には一体感を失うことなく苦しい時間をいかに短くできるかが大事になります。そこをいかに早く抜けるかで最後の結末が大きく変わってくるので、みんなで困難をサクッと乗り越えられるようなチームワークが必要だなと感じています。

--今週末は、監督就任後初めて相模原ギオンスタジアムでの試合になります。今季はホームで無敗の記録が続いていますが、サガミスタへ向けた意気込みを改めて聞かせてください。

プレッシャーはすこし感じていますが、むしろ自分はプレッシャーがかかった時ほど力を発揮するタイプだと思っているので、それをポジティブなエナジーに変えてアスルクラロ沼津を倒す準備をします。

あと、僕もギオンスでは無敗なんですよね。なので僕も負けたくありません。これまではアウェイの地でしたけど、ホームになったギオンスで勝てるよう、いい準備をするに尽きると思います。ただし勝負は時の運の部分でもあります。僕らが目を向けるべきはホームゲームで絶対勝つ、絶対負けないとかではなく、勝利に値するパフォーマンスをホームアウェイに関係なく出し続けること。

ホームゲームは残り10試合ありますけど、そこで勝てていてもアウェイで勝てなければ僕らが行きたい場所に行けないかもしれない。どんな試合も相手より勝率が高い試合をしていきたいです。今節の相手は前節、首位の大宮アルディージャに3点取って勝って波に乗っていると思いますけど、その前の試合ではY.S.C.C.横浜に敗れていて、力が拮抗しているリーグですのでタフなゲームになることは間違いありません。勝つために必要なものを選手に渡して、送り出して応援したいと思っています。

そしてホームで負けてないのは、サガミスタの力も大きいと思っています。僕はそれを前回の山雅戦をテレビ越しに見た時も感じました。中断期間に入る前に、ホームでは沼津とツエーゲン金沢という難しい2チームとの試合が控えていますけども、選手、スタッフ、サガミスタのワンチームで勝利に値するゲームをして、勝ち点3をしっかり取りにいきたいと思っています。

--富山戦でも感じられたと思いますが、サガミスタの温かさも背中にワンチームで戦いたいですね。

そうですね。富山戦では弾幕を出してもらってビックリしましたし、最後に「コイツが来てよかったな」と思ってもらえるような仕事をしたいと覚悟を決めています。みんなから必ずそう言われるように、自分はやるだけですね。

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