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09-27-2020

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KITAKEN MATCHREPORT Vol.33 前半戦総括『粘り強く、我慢強く』

KITAKEN MATCHREPORT Vol.33
前半戦総括
『粘り強く、我慢強く』

17試合を終えて7勝5分5敗の勝ち点26。18チーム中8位。リーグ戦の折り返し地点となったガイナーレ鳥取戦を終えて、三浦文丈監督は「思い描いていた勝ち点と順位ではない」と振り返った

「J2昇格」を掲げて臨んだ2020シーズンは波乱万丈の幕開けとなった。最大の要因は言うまでもなく新型コロナウィルスだ。当初、3月8日に予定されていた開幕戦は延期に次ぐ延期でおよそ4カ月遅れの6月27日に始まった。

無観客で行われた相模原ギオンスタジアムでの1節、Y.S.C.C.横浜戦はチャンスの数で上回りながらも0-0のスコアレスドロー。アウェイの2節、藤枝MYFC戦で3-2で初勝利を挙げたが、そこから2試合連続で引き分けた。

負けないけど、勝てない。そんな、もどかしい試合が続いた。

7月末には右サイドから仕掛けるドリブルで攻撃を牽引していた松田詠太郎が所属元の横浜F・マリノスに復帰することに。J1クラブから呼び戻されるのは、松田の未来を考えれば喜ばしいものの、相模原は重要なカードを失うことになった。

中3日、あるいは中2日で試合がやってくる超過密日程は怪我人を招いた。とりわけ影響が大きかったのはセンターバックだ。開幕からコンビを組んでいた田村友、キャプテンの富澤清太郎が相次いで離脱した穴を埋めるのは簡単ではなかった。

「粘り強く、我慢強くやろう」

三浦監督は試合前のミーティングで常にこう声をかけている。実際にボールを相手に回されて、自陣に押し込まれる時間が目立った。理想通りの試合展開ができたことはほとんどなかったといっていいだろう。

7節では敵地に乗り込んで無敗で独走していたブラウブリッツ秋田に挑むも1-3、9節ではカターレ富山に今季ワーストと言っていい内容で0-3の完敗を喫する。大きく崩れてしまうのではないかという不安がよぎった。

それでも、相模原はしぶとく勝ち点を拾っていく。前半戦17試合で連敗は1回だけ(6、7節)。勝っていた試合で追いつかれたたこともあったが、それと同じように、先制された試合を引き分けに持ちこむことも多かった。

何度もチームを救ったのが新戦力のブラジル人FWホムロだ。精度の高いシュートや、サイズを生かした空中線の強さでJ3得点ランクで4位につける8ゴールを挙げた。トリッキーなテクニックで前線の司令塔役となっている。

タイでのプレー経験もあるホムロは、1年目から日本のサッカーに順応している。攻撃面のみならず、前線から献身的にボールを追いかけるタスクもこなすことで、三浦監督やチームメートからの信頼は厚い。

8月末には日本代表でも活躍したレフティの藤本淳吾が加入する。京都サンガF.C.を契約満了になった後、桐光学園で体を動かしていた藤本は、公式戦から離れていたブランクを感じさせないプレーでチームを活性化する。

14節の福島ユナイテッドFC戦はセットプレーから2点が生まれて3-2で勝利。「上位のチームを引きずりおろしたい」と強い気持ちで臨んだ15節のロアッソ熊本戦は0-2で落としたものの、17節の鳥取戦はアウェイで貴重な勝ち点3をつかんだ。

鳥取戦は今シーズン初めて3バックで戦った。昨シーズン、大怪我から長い時間のリハビリを経て復帰した梅井大輝とミルトンと大卒ルーキーの白井達也による最終ラインで完封勝利をしたのは大きな自信になったはずだ。

これから富澤、田村といったレギュラーが復帰してくれば、梅井、ミルトンも含めてセンターバックの層は一気に厚くなる。連戦でローテーションができるようになれば怪我人のリスクも抑えられる。

三浦監督が後半戦で追い上げるために必要だと語った“ラッキーボーイ”の台頭もあった。鳥取戦で初先発した才藤龍治だ。これまで試合途中からジョーカーとして送り込まれてきた27歳はFC今治戦でゴールを決めたことでチャンスをつかんだ。

才藤がDFラインの背後を何度も狙う動きや、コンタクトの強さを生かしたポストプレーで攻撃の起点になったことで、技巧派のホムロや和田昌士が前を向いてプレーできるようになった。

「過密日程の影響で怪我人が増えたり、レンタルで来ていた選手が所属クラブに戻ったりといったことがあった中で、この順位にいるので、まだまだ可能性があるんじゃないかと思っています」

J3リーグは残すところ17試合。ここから、J2昇格に向けて本当の勝負が始まる。



取材・文 北健一郎(SC相模原オフィシャルライター)