SC相模原

SC相模原

MENU

NEWS DETAIL

10-11-2015

 その他 

第17回10月11日「J3第33節vs福島戦マッチレポート」

2015明治安田生命J3リーグ第33節 2015年10月11日 13:00KICK OFF@相模原ギオンスタジアム SC相模原0−2福島ユナイテッド [得点] 相模原: 福 島:20分茂木弘人、70分齋藤恵太 201501011_MR_J333_01 |最終ラインを変更して臨むも20分に失点 福島ユナイテッドの栗原圭介監督は、試合後の記者会見の第一声で、「選手たちの動きに関しては、ここ最近の試合では一番良くなかったと感じています」とコメントした。敵将の言葉は「ただ勝負、しっかりと点を取って勝つということに関しては、結果を出してくれてうれしく思います」と続くのだが、裏を返せば、ここ数試合で最もパフォーマンスの悪かった相手に、SC相模原は0−2で完敗したことになる。 前節、アウェイのレノファ山口戦で0−5の大敗を喫したSC相模原の辛島啓珠監督は、森勇介の出場停止もあって最終ラインを変更して試合に臨んだ。工藤祐生が第16節のグルージャ盛岡戦以来となる先発復帰を果たし、安藝正俊とともにCBでコンビを組み、森が欠場した右SBには寺田洋介が起用された。 トロ、北原毅之のダブルボランチと、工藤、安藝の両CBを中心に守備意識を高く持ったチームは、うまく試合に入ったかに見えた。試合序盤に関して言えば、8分に何でもない横パスの処理を誤った安藝が、MF安東輝にボールを奪われてピンチを招く場面があったが、それ以外はハイボールにも競れていたし、相手のクロスボールもしっかりと弾き返せていた。 しかし20分、斜めのパスに最終ラインはあっけなく崩されてしまう。中央から左サイドへ斜めにパスが通ると、MF星広太からの折り返しをFW茂木弘人に決められてしまう。GK佐藤健が「マークのズレをつかれた」と悔やんだように、CBがサイドにつり出されると、対応が後手に回り、肝心の中央に走り込んできた茂木をフリーにしてしまった。 201501011_MR_J333_03 |前半最大の決定機も活かせず、悪循環に陥る 悪い流れは続く。26分には高原直泰と2トップを組むタレスが負傷。急遽、服部康平が出場するアクシデントにも見舞われた。ただ、高原、服部の2トップとなり、より前線のターゲットが明確になったSC相模原は、ボランチの北原を中心に長いボールを入れることで打開しようとした。 SC相模原に好機がなかったわけではない。35分には、北原の縦パスから高原、服部、井上平とつなぎ、ゴール右へ走り込んだトロへとボールがわたる。トロはシュートではなく、中央でフリーになっていた曽我部慶太へのパスを選択。しかし、曽我部のヘディングシュートはゴール左に逸れ、前半最大の決定機をゴールに結びつけることはできなかった。 逆に42分には福島のFW齋藤恵太にドリブルからミドルシュートを放たれる。これは曽我部のボールを奪われてのショートカウンターであり、言ってしまえば、ミスによる自滅で窮地に立たされる機会が多かった。攻撃でチャンスを作れないのも、1本目、2本目のパスまではつながるが、その次、さらに先で綻びやズレが生じる。そのためボールを失わずとも相手を崩すにはいたらず、一から再び攻撃をやり直す悪循環に陥っていた。 守備においても同様である。試合の中においてCBがサイドにつり出される状況はある。だが、その際に空いたスペースをケアする選手がいない。そこは連動であり、意識であり、周囲のコーチングによってカバーできるところでもあるが、その危機感が希薄なため、先制点を奪われた格好だ。 201501011_MR_J333_02 |守る意識の高まった福島を崩せずに敗戦 辛島監督は「(先制点を奪われ)福島は逆に守ってカウンターというのがはっきりした」と語ったが、福島は守備においても組織的かつ連動していた。後半に入り、ポゼッションでは確実にSC相模原が上回っていたが、チームとして追い込もうとする福島は、ゴール前へ侵入する芽を確実に摘んでいた。 67分にはトロのボール奪取から曽我部が中央をドリブルで駆け上がり、服部にラストパスを出すショートカウンターを仕掛けたが、フィニッシュまで到達できなかったのは、福島の対応力によるものだろう。SC相模原は逆に70分に、久々の先発出場となった工藤が致命的なミスを冒してしまう。ビルドアップを狙い縦に入れようとしたパスを齋藤にカットされると、そのままドリブルで持ち込まれ、痛い2失点目を奪われた。 72分には須藤右介を、87分には成田恭輔を投入したが、守り切る意識が固まっていた福島の牙城は崩せず。0−2で福島に敗れる結果となった。 201501011_MR_J333_04 |福島に初めての白星を献上する結果に……。 福島にとっては地域リーグなども含め、SC相模原に勝利した初の試合だった。栗原監督は「クラブ史上初めてSC相模原に勝つことができました。自分が監督に就任してからも、そういう話をずっとしてきていて、勝ちたい、勝ちたいという思いでいて、ようやく今日勝つことができました」とうれしそうに会見場を後にした。 今シーズンも初戦はホームでSC相模原が2−0と勝利し、2戦目となるアウェイでは1−1と引き分けていた。そして3戦目となる今シーズン最後の対戦で、SC相模原は福島に勝利を与える結果となった。その経過を考えると、シーズンの序盤こそ、SC相模原は総合力で上回っていたが、他チームが試合を重ねるたびに戦術理解やコンビネーションを深めていく中で、SC相模原はそれを積み上げることができていない。シーズンも終盤になってなお、攻撃の形は見えず、守備も不安定だ。試合によって戦術や狙いもまちまちで、明確な武器がない。言わば、チームとして立ち返る場所がないため、敗戦した後も切り替えられず、修正するのにも時間がかかってしまう。 だが、今日の敗戦を見る限り、個々のミスが多いのも事実である。3人目の動きではなく、チーム内における一対一の関係においても、第33節という状況でイージーなパスミスなどが多々生じている。個々が個々のプレーに責任を持ち、次へつなげていかなければ、シーズンの残り5試合は単なる消化試合に終わってしまう。次節はアウェイで迎えるFC町田ゼルビアとの相武決戦である。このままでは相手とのチーム力の差、個々の差がもろに出る可能性もある。 マッチデープログラムのインタビューにも掲載したが、北原がこんなことを言っていた。 「ポジションが安泰だと思ったことはないですし、常にその試合に懸けている。この試合で壊れてもいいと思うくらいの気持ちでやっている。腐って手を抜いて練習しても自分には何も返ってこない。だから、チームがネガティブな雰囲気のときほど、盛り上げようと思っています」 最後に心情として、この懸念が杞憂に終わることを願いたい。