2015明治安田生命J3リーグ 第3節
2015年3月29日 13:00KICK OFF@相模原ギオンスタジアム
SC相模原 0−2 ガイナーレ鳥取
[得点]
相模原:
鳥取:15分畑田真輝、41分中山仁斗
|前節に続き、立ち上がりに痛恨の失点
試合開始からわずか4分だった。SC相模原は、ガイナーレ鳥取に左サイドでボールを回されるとDF馬渡和彰に折り返される。CBの工藤祐生と小谷祐喜が足を出すが、ボールが流れると、フリーになっていたMFフェルナンジーニョにシュートを放たれた。相手エースのシュートは、MF須藤右介のプレスもあり、わずかにゴール右へ逸れたが、あわや失点という場面だった。
辛島啓珠監督は「(試合の)立ち上がりにフェルナンジーニョのシュートが外れ、(DF陣は)目が覚めて、もう少し、ぐっと(チームのパフォーマンスが)上がるかなと思った」と振り返ったが、守備の修正は成されていなかった。
15分、SC相模原は再び左サイドでボールを奪われると、中央のフェルナンジーニョにパスを通されてしまう。縦パスを受けたFW中山仁斗が、DF工藤を背負いながら反転を試みようとする。そのボールはこぼれるが、走り込んできたMF畑田真輝に、右足を豪快に振り抜かれ、SC相模原は先制点を許してしまった。それは、4分に許した決定機と似た形からの失点だった。
守備の要を務める小谷は、「僕らが引いたスペースを使われてしまった。一度、やられた時点で、ボランチと話をして、僕らが引きすぎなのか、それともボランチも下がって固めたほうがいいのか、チームとしてのプレーをはっきりさせなければいけなかった。先制されたシーンは、その前と全く同じ形を作られてしまった」と猛省した。
前節の長野戦に続き、試合序盤、立ち上がりでの失点だった。辛島監督も「立ち上がりの部分に関しては、いつも選手たちに言っている。前節のこともあったので、先制点は重要だということは言っていた」と、注意を促していたにも関わらず、追いかける展開を強いられたことを悔やんだ。
|引いた相手に効果的なサイド攻撃を仕掛けられず
ただ、開幕から2連勝の好調を示すように、SC相模原も決定機は作り出した。失点から少し時間を遡るが、9分、左SB大森啓生のクロスがDFに当たりこぼれると、先発出場のチャンスをつかんだMFレオジーニョが拾い、トラップでDFを交わしてループシュートを放った。
流れの中からゴールを決めるのが難しければ、今シーズンのSC相模原にはセットプレーという強みもある。23分には左CKからFW井上平が、25分にはFKから小谷が、さらに26分には右CKから須藤が、それぞれヘディングでゴールを狙った。
しかし、この試合に限って言えばゴールは遠かった。むしろ、時間が経つに連れて、際だったのは、過去2試合で武器となっていた効果的なサイド攻撃が仕掛けられなかったことだ。3バックを採用する鳥取は、リードを奪ったこともあり、両ウイングバックがリスクを冒さず、主に5バックのような布陣を形成した。井上やレオジーニョがDFの裏を狙って走り込んだり、森がサイドを突破しようと試みたが、なかなか崩し切れない。それならばとCBやボランチから高原や井上へ長いボールを入れようとチャレンジしていたが、守備ブロックを形成する相手にこれも弾き返されてしまった。
それでも28分には、自陣でトロがボールを奪うと、素早くレオジーニョに繋ぎ、カウンターに打って出る。レオジーニョはスピードに乗り右サイドを疾走したが、肝心のラストパスが、中央を走っていた高原に合わない。38分には井上がミドルシュートを放つも枠に飛ばず、ゴールネットを揺らすことはできなかった。
41分には、自陣エリア前でファールを犯すと、フェルナンジーニョのFKから中山に追加点を決められ、SC相模原は2点差で試合を折り返すことになる。
|序盤の失点をなくし、いい守備からいい攻撃へ
辛島監督は54分にレオジーニョを下げるとフェアー・モービーを投入。システムを公式戦初の試みでもある3−4−3に変更した。DFラインはモービーをセンターに、工藤と小谷が両脇を務める。これにより森と大森は高い位置に張り出し、工藤と小谷から、それぞれ両サイドに縦パスを入れ、右ならば森と曽我部、左ならば大森と井上といた縦の関係での突破を試みようとした。
結論から言えば、システム変更してもなお、引いて守りを固める鳥取を攻略するのは容易ではなかった。辛島監督は、さらに69分にはトロを下げてMF鈴木健太を、75分には須藤に代えてFW服部康平をピッチに送り込む。試合終盤は早いタイミングでクロスを放り込み、それこそ85分には工藤の左クロスに服部が合わせようとしたが、惜しくもタイミングが合わず、フィニッシュすることができなかった。
途中出場した服部は、「2点取られていたので、自分が得点を取ろうと思って出た。15分の時間でしたけど、ものすごくチャンスはあった。祐生くんからすごくいいボールが来たのに、先にボールに触ろう、触ろうという気持ちが強すぎてしまった」と奥歯を噛みしめた。
課題は明確である。いい守備からいい攻撃をテーマにしているだけに、試合立ち上がりでの失点は避けなければならない。また、両SBの攻撃参加によるサイド突破が攻撃の生命線であることは確かだが、勝利すればするほど、または試合を重ねれば重ねるほど、相手に警戒、研究されてくる。そうしたとき第2、第3となる攻撃のバリエーションを築いていく必要がある。81分に、モービーの縦パスを前線で受けた高原直泰が、驚異的なキープ力から好機を演出したように、ロングボールやシュートカウンターも得点の可能性を漂わせてはいる。だが、それには失点をゼロのまま、試合を進める必要がある。相手が精神的に優位に立ち、守備的に戦われれば、いかなる状況でも苦しくなるのは明白だ。それだけに、やはり、いい守備からいい攻撃が、今シーズンのテーマなのである。