
《試合結果》
SC相模原 0-0 ロアッソ熊本
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2026/080815/
シュタルフ悠紀リヒャルト監督

--試合の総括をお願いします。
このゲームに先駆け、熊本で大きな地震があり、たくさんの方が被災されています。今、本当に大変な時期を過ごされていることは、メディアを通しても伝わってきています。そんななか、(試合について言えば)もちろん熊本の人にとっては熊本が勝てればベストかもしれませんが、我々もしっかりと真っ向から迎え撃って熱いゲームをすることで、現状から少し離れられるような非日常を届けられたらという気持ちで臨みました。
試合については、まず、6月の百年構想リーグ最終戦(プレーオフラウンド第2戦)で3ー0で勝った熊本とこうしてまた開幕戦で戦うことになり、短期間で同じ相手に2回連続で勝つことは簡単ではないですし、非常に難しいゲームになることは想定していました。
僕はJ3クラブの監督を務めて今年で計9シーズン目になりますが、熊本はその間のほとんどでJ2にいた、力のある強いチームです。そうした相手に、2連勝をすることができれば良かったですが、残念ながらたくさんのお客さんの前でゴールを生み出せなかったことは心残りです。
ただ、スコアは0ー0でしたけど、見ている人たちに僕たちの「エナジーフットボール」を届けるという部分では、前回対戦以上に選手たちが躍動してくれたと思うので、そこは誇らしいです。もちろん課題をブラッシュアップしながらですが、「今日のようなパフォーマンスを残り37試合でも続けていくことができれば、結果はついてくる」と思えるようなゲームをしてくれた選手たちに感謝しています。
--8月1日に行われた天皇杯神奈川県予選決勝での敗戦から、選手たちにどんな言葉をかけて今日の試合に臨みましたか。
もちろん言い訳はできませんが、天皇杯は体調不良が多数出るなどのイレギュラーでコンディションが整っていない選手が多いという背景がありました。ただ、大切なノックアウトステージでああいう負け方をしてしまったことは、今でも選手全員が悔しく思っています。応援してくださる方々の期待を裏切るスタートになってしまったことも、本当に申し訳ない気持ちをみんな持っていました。だからこそ、「エナジーフットボールは健在だよ」というところを届けたいという思いで準備してきました。
試合前に選手たちに伝えたのは、「我々のエナジーフットボールは、自分たち次第のフットボールだ」ということ。積み上げてきたことを出せば、どんなチームが相手でも、自分たちの土俵に引きずり込むことができる。「だからそれを示す試合にしよう」という話をしました。
今日初めて来てくださった方も、去年から、あるいは何年も前から応援してくださっている方もいたと思います。そういう方々に「これで僕らは勝負するんだ」という姿をしっかり届けようと選手たちを送り出しました。そこは達成できたんじゃないかなと思っています。
--今日はトップ下の位置に前田泰良選手を起用しました。狙いと評価を教えてください。
一番大きいところは、やはりコンディションの良さですね。
天皇杯での敗戦は、僕たちのエナジーフットボールはコンディションが整わないと機能しないということを再確認できた試合にもなりました。だからこそ、技術や特徴で違いを見せられる選手という以上に、まずはボディコンディションの部分で、しっかりと戦える土俵にいるかどうか。そこは選手をセレクトする上で、僕が一番目を光らせないといけないところだと思っています。選手ももちろん試合に出たいので、みんな準備してくれていますし、万全な状態をつくる努力もしてくれていると思います。でも、その選手が本当に万全なのかどうかを見逃さないようにしたい。それが、僕個人としての天皇杯の教訓です。
そういった意味で、前田はまずコンディションが非常に良かったこと。加えて、僕らが「ハンティング」と呼んでいる前からの守備でのストロングを持っているので、ボールをつなぐスタイルの熊本に対してハマるのではないかという2つの考えで、彼をスタメンに選びました。期待通り迫力のある、前田らしいプレーをたくさん見せてくれました。フィニッシャーとしてのクオリティも持っているので、願わくばどこかで1本ネットを揺らしてくれたらより良かったですけど、それでもよく頑張ってくれたと感じています。
--熊本の前回対戦との違いはありましたか。
主力として出ていた選手が何人か移籍したり新しい選手が入ったりして、前回とはスタイルも少し変わっていたところもありました。前回は我々のハイプレスから2得点していたので、もしかしたらそこも含めて、前半はロングボールが多かったり、少し対策してきたのかなとは感じました。ただ、熊本の良さを今日はほとんど出させることなく、「勝たないといけなかった」と言える内容にできたことは、本当に選手たちを称賛できるゲームだったと思っています。
前回対戦では中山陸が今日とほとんど同じようなシチュエーションでゴールを決めましたし、奥山洋平もラストワンプレーで同じような形で決定機を迎えました。そこを決めるか決めないかで、勝ち点1なのか3なのかが変わってくる。そこをしっかり持ち帰って、次は決められるようにまた練習するだけかなと思います。
--今日の開幕戦には8000人近くのファン・サポーターが集まりました。スタジアムの雰囲気をどのように受け止めましたか?
もう最高ですね。本当に最高の一言だと思います。
このクラブに来てから何度か8000人ぐらい入った試合も経験させてもらいましたけど、バス入りのところの人数は、もしかしたら過去一なんじゃないかというぐらいでした。そういう景色を見たり声を聞いてやる気が出ない選手はいないですし、「来てくれた皆さんに喜んでもらいたい」「また来てもらいたい」という気持ちは、選手を躍動させる大きな要因になると思います。それだけに、勝てなかったのは悔しいです。
百年構想リーグでは、ベガルタ仙台のような歴史あるクラブのスタジアムに行って、地域に根付いた姿を見て、我々はまだまだだなと思っていました。でも今日の開幕戦を見て、我々にもそのポテンシャルはあるなと再確認できました。現場のリーダーとしては、足を運んでくれた皆さんに、やっぱり面白いフットボールを届けたい。今日みたいに仮に勝てなくても、見ていてワクワクするものを見せたいと思っています。映画だって全部がハッピーエンドではないですけど、「いい映画だったな」「来て良かったな」と思って帰れることはあると思うので、そこは目指したいです。
スタッフも集客をすごく頑張ってくれたと思いますし、スポンサーの皆さんもそこに乗っかってくれたと思います。みんなで相模原を、フットボールでもっと盛り上げていけたらなと思っています。
--今日はギオンスタジアムをはじめ、全国の試合会場で募金活動など、熊本へのさまざまな支援が行われました。そのなかで、実際にこのタイミングで熊本と対戦することになった相模原だからこそ、感じることもあると思います。サッカーファミリーとして、被災された方々にどんなものを届けられるのか、また、サッカーを通してどのように寄り添っていけると考えていますか?
難しい質問ですが、自然災害だったり、戦争だったり、いろいろな喜ばしくない出来事があった時に、何を感じて、どういう行動を取るのかは、一人ひとりが決めることだと思っています。
物品を売ったところから寄付するのも、募金するのも、そこに志があれば素晴らしい活動だと思いますし、だからといって募金をしない人がダメだとも思いません。大切なのは、熊本や相模原だけではなくて、世界中の人がお互いに思いやりを持って、必要とされる時に手を差し伸べることだと思います。
僕自身は、Jリーグというプロリーグで、相模原というプロクラブの指揮官を務めさせてもらっています。じゃあその自分に何ができるのかと考えた時に、やっぱりこのゲームをいいものにすることだと思いました。もちろんプロの勝負なので、手加減はないですし、変に気を使うことも違うと思っています。プロフェッショナルとして最大の準備をして、相手へのリスペクトを持ちながら最大のパフォーマンスで向かっていく。そして真剣勝負をする。それを見た人たちに何かが届けばいいなという思いで、今日のゲームに臨みました。
Jリーグとしても、サッカーファミリー全体で各地から熱いゲームを届けることで、大きなエナジーを生み出せると思っていますし、スポーツを通して思いを伝えていくことが、我々の宿命というか、役割なのかなと思います。なので次のゲームでも熱い試合を届けて、その日やその1週間につらいことがあった人が、僕らの試合を見て少しでも元気になれるようにしたい。それが我々の存在意義だと思うので、これからも徹底的にいいものをつくっていきたいと思っています。
MF/4 島川俊郎

--試合を振り返って。
引き分けで終わりましたが、前に行く意識だったり、いいサッカーを見せるんだという覚悟だったり、そういうものは伝わったんじゃないかなと思います。
--百年構想リーグで取り組んできたことを、どれくらい表現できたと感じましたか。
「どれくらい」というのを言葉にするのは難しいですが、表現はできたと思います。ただ、0ー0なので、得点のところはもっと枠内シュートの回数を増やさないといけないし、もっとゴールに近い位置でシュートを打たなきゃいけない。今、みんなそれぞれすごく反省しているだろうし、悔しい思いも抱えていると思うんですけど、これはもうサッカー選手にとって一生の課題だと思うので、「こういうゲームもある」と捉えていきたいです。
--攻撃の部分では、本当にいいシーンがたくさんあったと思います。そのなかで、より改善していきたいことは?
百年構想リーグでは、相手も僕らの戦い方に対応しきれずに試合が終わることもあったと思いますが、これからは対策されることもあると思います。そういったなかで、先ほども話したことと重なりますが、ゴール前をこじ開ける力だったり、人数をかけることだったり、そこの質がこれからはより求められるんだろうなと感じた試合にはなりました。
MF/15 前田泰良

--開幕戦で先発を勝ち取りましたが、どんな気持ちで試合に臨みましたか。
シーズン始動から体も動いていて調子は良かったんですけど、結果というところではなかなか出せていませんでした。練習試合でも点を取れていなかったので、そこはあまりアピールできていなかったかなと思います。
先週の天皇杯はベンチスタートだったんですけど、開幕戦でなんとかチャンスをつかめたらと思っていたので、選んでもらえたことは素直にうれしかったです。勝利という結果につなげられなかったのは悔しいですけど、「エナジーフットボール」という部分では、自分の役割は出せたんじゃないかなと思います。
--個人としては、特にどんなことを意識してプレーをしていましたか。
まず守備のところでスイッチを入れることだったり、動き回って相手のキープレーをつぶすところはずっと意識していました。攻撃では、どんどん足を振っていこうというのも意識していました。ゴールにはつながらなかったですけど、求められている役割というところでは、最低限はできたのかなと思います。
--前半も枠外とはなってしまいましたが、得意のミドルシュートを打つシーンもありました。
数もそうですし、枠をしっかり捉えて決め切るところまでつなげて、やっぱり結果にこだわって今年はよりやっていかないといけないと思っています。今日は結果にはつながらなかったですけど、また練習して、チームの結果につながるような得点、アシストを決めていきたいなと思います。
--コーナーキックでも、いいチャンスを何度もつくれていました。
ある程度狙いを持ちながらやれた感覚はあります。相手がゾーンで固まって守っているシーンもあったので、少し立ち位置をずらしたり、相手の出方をうかがう意味でも変化をつけながらやっていました。惜しいシーンもあったんですけどゴールにはつながらなかったので、中にいる選手とも合わせながら、得点につなげていきたいです。
--悔しい部分もあると思いますが、チームとしては攻守ともに1試合を通しての手応えもつかめたのでは?
個人的にはすごくポジティブで、エナジーあふれるプレーをみんなが見せていたと思います。ただ、みんなも思っている通り、最後のシュートの質だったり、決め切る部分の課題は明確です。勝ち点を落としてしまったという捉え方もできますけど、そこはいい課題だと思うので、これをプラスにつなげていけるようにしたいです。次の試合ではしっかり決め切って、勝てるようになっていきたいです。



