
《試合結果》
SC相模原 4-1 FC琉球
得点
24' 中山陸(SC相模原)
31' ラファエル フルタード(SC相模原)
47' 浅川隼人(FC琉球)
73' 前田泰良(SC相模原)
81' 藤沼拓夢(SC相模原)
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2025/111602/preview/#live
シュタルフ悠紀リヒャルト監督

--試合の総括をお願いします。
今日の試合だけにフォーカスすれば、準備してきたことを選手たちが本当にしっかり出してくれて、前半のうちから「2点じゃ物足りない」と感じるくらいのいい内容を体現してくれました。そこにホームの雰囲気にも後押しされて、後半の苦しい時間帯もしっかり乗り越え、途中出場した前田(泰良)と藤沼(拓夢)が起用に対して素晴らしいゴールで応えてくれて、もう一度流れをたぐり寄せて勝ち切ることができました。
本当なら、試合が終わって喜びを爆発させたいところなんですけど……。自分たちの力ではコントロールできない他会場の結果があり、複雑な思いが入り混じっていて、正しい言葉を絞り出すのが少し難しい状況です。ただ、僕らが果たさなきゃいけない“宿題”として、J2昇格という目的を達成する上で今日は勝つことが絶対条件でした。その中で、勝点3を積み上げること、なるべく多くゴールを取ることの両方を、選手たちが本当によくやってくれたと思います。
--4得点を取れた要因はどこにあると感じていますか。
積み上げてきた「前への推進力」や「ゴールに向かうプレー」という部分が、今日はしっかり得点として形になったんじゃないかなと思います。もちろんスーパーゴールもあって、毎週ああいうゴールが決まるわけではないですけど、それ以外のシチュエーションでもたくさんチャンスをつくれていました。
1試合を通してチャンスの数を増やし、ゴールに向かう姿勢を出し続けることによって複数得点は必ず生まれると思っていて、シュートを打つ意識も含めてずっと働きかけてきたことではありますが、それがリーグ戦終盤に差し掛かった今、ようやくこうして実を結び始めた。それが今日の結果につながったと思います。
--ここ数試合、「前向きに奪う」ことはできてきていた中で、今日は奪った後の攻撃についても厚みがありました。その手応えは?
毎週こういった攻撃のトレーニングを積み重ねてきているので、本当はもっと早い時期から、今日みたいな攻撃をたくさん出したかったという思いは正直あります。今日は出ていくスピード感も含めて悪くなかったと思いますけど、それでも、もっとクリーンに、より確率の高い形でチャンスにつなげていかないといけない。2点目も、意図したパスがラファエル(フルタード)につながったわけではなく、運の部分もあって決まったゴールなので、そういう意味ではまだまだ改善の余地があります。
トップスピードを出した上での攻撃は本当に難しくて、パスが少しずれただけでチャンスにならないですし、全速力で走りながら足元でボールを扱って、並走している選手の前のスペースに“ピタッ”とパスを通すのは、やった人にしかわからない難しさがある。それでも、こういうスピードが上がった状態の攻撃が一番チャンスを作れるのは間違いないので、チームとしてこれからもそこにチャレンジしていきたいです。方向性としては非常によかったですし、やってきたことが形になり始めている手応えはありますがまだまだ伸ばしつつ、残り2試合少しでも多くゴールを取って、これまで少なすぎた得点を積み上げて、見ている人たちを喜ばせたい。そこに向けて、最大限の準備をしていきたいと思います。
--前半はミラーゲームの戦いを制し、ほぼワンサイドでゲームを進めていました。ただ後半は相手も修正し、ズレを作られた中で失点をしてしまいましたが、どう振り返りますか。
僕もまだ映像を見直していないので、要因はもう一度ちゃんと探っていかないといけないんですけれども、後半は相手がビルドアップにより人数をかけてきて、前線の選手が落ちたり、ボランチの平松(昇)選手だったり、石浦(大雅)選手だったりが、最終ラインに近い位置に落ちたことで、ボールを出し入れされるシーンが増えました。そこに対して前半で結構疲れが出ていたこともあって、前向きに守備で出ていく部分をあまり積極的に出しきれなかった。その結果、前は数的不利な状態で追う形になってなかなかハマらないし、後ろも押し出すのが遅れて間に合わなくなってしまい、無理に押し出せば背後を狙われて、ロングボールを入れられる。そういう流れの中で、後半の立ち上がりから失点してしまったので、そこが難しかった部分かなと思います。
そこはもっとスピーディーに整理して、(前から)行くところと行かないところを明確にしたり、行くのであれば前半と同じように、相手の枚数に関係なくしっかり押し出していく。そういう守備ができれば、そもそも流れを渡さずに、90分を通して試合をコントロールできる力もついてきたはずだと思います。そこは反省点ですし、次に必ず生かしたいなと思います。
--相手に流れかけたペースを引き戻すように、途中出場の前田泰良選手のスーパーゴールが決まりました。交代の意図も含めて評価をお願いします。
前田は、もともと僕らのスカッドの中でもシュートスキルがものすごく高い選手なんです。で、コーナーキックのタイミングで、ラファエルと中山陸を交代させて、藤沼拓夢と前田を入れました。傍から見たら、「ラファエルはパワーもあってヘディングも強いし、中山陸はキッカーでもあるのに、この交代?」と思われたかもしれません。実際、得点につながった西山(拓実)のコーナーキックも含めて、あまりない采配だったと思います。
ただ、藤沼はもともと身体能力が高くてヘディングも強い選手で、最近は練習でもすごくゴールの感覚が良く、それが今回の抜擢につながりました。前田に関しても、今話したように常にゴールを狙える選手なので、攻撃としてはパワーアップだと思って送り出しました。ラファエルは少し不満そうにピッチを後にしていましたけど、前田があのゴールを決めてくれたおかげで、怒られずに済むのかなと思います(笑)。
--藤沼選手のゴールも素晴らしかったですね。
まさに、彼の特徴がしっかり出た場面だったと思います。もともと僕が来る前はFWを主戦場にしていた選手だと思うんですが、守備の連続性や動き出しの部分で、彼のスピードがなかなか活かしきれない試合も多かった。そこで、そのスピードを最大限にチャンスメイクやゴールにつなげられるように、今年はウィングバックにコンバートしました。本人もすごく前向きにチャレンジしてくれて、天皇杯の川崎フロンターレ戦やヴィッセル神戸戦、そしてテゲバジャーロ宮崎戦のファーストタッチで決めたゴールなど、本当に僕らをときめかせるようなパフォーマンスをたくさん見せてくれました。
今日は、琉球がボールを失った時に背後に大きなスペースができるのはわかっていたので、そこを彼がスピードで突き抜けてくれたらと思っていました。ずっと背後の取り方をウィングバックの位置で取り組んできたので、サイドの景色で覚えたその感覚を、9番の位置でも発揮できたのは本当に嬉しかいし、かれの頑張りが報われたのかなと思います。本人は多分FWの方が好きだと思うので、好きなポジションでこうしてチャンスをものにできて、「本当におめでとう」と伝えたいです。
--J2プレーオフ出場については、(試合前に)7位のツエーゲン金沢が勝利し、得失点差を考えると非常に難しい状況になりました。ただ、今日のこのゲームは今後につながる、ファン・サポーターをワクワクさせる内容と結果だったかと思いますが、どう受け止めていますか。
「この試合にとにかく勝つ」ことが唯一、自分たちでコントロールできる条件の1つでした。僕たちよりも上位に立つツエーゲン金沢さんの会場、福島ユナイテッドさんの会場、ガイナーレ鳥取さんの結果というのは、僕らがどれだけ頑張っても、どれだけ努力しても影響を及ぼすことができないものです。だから選手にも試合前には「僕らは僕らの条件をクリアしよう」と伝えて、複数得点が取れればもちろん良いけれど、たとえ1点差でもいい、とにかく勝ち点3を必ず取って、自分たちにできることをやり切ろう、という気持ちで臨みました。
ただ、残りの試合で仮に僕らが残り2勝し金沢さんが連敗したとしても、勝ち点差は56で並び、得失点差を考えると、J2昇格は非現実的な状況になりました。このチームをJ2に導くために私は呼ばれましたし、そのミッションが“計算上は残っている”とはいえ、現実的には達成できなかった。申し訳なさも感じていますし、責任も強く感じています。
それでも、自分の立場として残りの2試合をどう捉えるかを考えた時に、最大限このクラブに何かを残さなければいけない。天皇杯ベスト8という結果は残せましたが、リーグの順位としては全く物足りません。なので、残り2試合で1つでも順位を上げる、1つでも多くゴールを決める、1つでも多くの笑顔を生み出す、そしてこの1年間信じてついてきてくれた選手たちを、少しでも上手くさせてあげる。自分の役割はそこにあると思っています。そのために、自分を奮い立たせて、これまで以上に頑張りたいと思っています。
シュタルフ悠紀リヒャルト監督記者会見のコメント全編はYouTubeで公開中!
https://youtu.be/MNzYZubVvA4?si=QMKuzh5rNUkbHw8D
MF/97 藤沼拓夢

--起用に応え、“藤沼選手らしさ”あふれるゴールで、相手を突き放しましたね。
ボールを持った瞬間に、「ゴールまで行こう」と決めていたので、最後まで行ききれて良かったです。
--交代でラファエル・フルタード選手に代わって、1トップに入りました。FWの位置で出るのは、久しぶりなのでは?
1トップは、シュタルフ監督になってからは初めてですね。練習試合でも、3分くらい試しにやった程度です。ただ、もともとやっていたので、その時の感覚を頼りにプレーしていました。楽しかったですけど、いつも出ているウィングバックとは体力の使い方も筋肉の使い方もまた全然違うので、久々だった分、すごく疲れました(笑)。
--最前線でプレーする上で、ウィングバックでの経験を生かせたことはありますか?
やってみて思うのは、ウィングバックって攻守にひたすら上下動しなきゃいけなくて、本当にキツいんですよね。そのポジションで自分がプレーすることで、たとえば前の選手がイージーにロストすると「なんでだよ……」ってなる気持ちも味わいました。
だからこそ今日は、後ろの人たちが必死に守ってくれたボールは「絶対大切にしないと」って思えたし、前からの守備についても絶対にサボれないなって意識は、以前よりも増しました。
--1点に満足せず、最後まで裏抜けを狙い続ける姿勢にもワクワクしました。残り2試合も、どこで出るのか楽しみです。
裏に抜けるのが自分のいちばんの持ち味なので、そこはウィングバックの時も意識していましたし、FWになれば抜けた先はもう“ゴール”なので、そこは思い切って狙い続けました。一つ、泰良からいいパスが来て外しちゃったのはもったいなかったですけど、抜け出しのところまでは良かったかなと思います。
久々に一番前で出れて本当に楽しかったですし、まずはその気持ちを大事にしつつ、次はどこで出るかわからないですけど、出たポジションでしっかり自分の持ち味を出したいと思います。
MF/27 西山拓実

--前半からペースをにぎっていた中で、うまくスペースに抜け出したところからポケットに侵入しPKを誘発しましたが、あのシーンを振り返って。
自分は左のボランチにいることが多いので、どちらかというと左サイドのユニットの背後を狙う場面が多いんですけど、あのシーンでは相手のセンターバックがグッと食いついたのが見えて、(田鎖)勇作も低い位置にいたので、「前のスペース空いてるな」と思って走り込んだら、ダイくん(加藤大育)がすごくいいボールをくれました。
あと、シュタルフ監督からは今週の練習で「お前はドリブルができるから、ペナルティエリアに入ったら落ち着いてそれを出せばいい」と言われていたのを思い出して、そのままドリブルした結果、PKにつなげることができました。
--失点シーンについては、相手が少しズレをつくってきた所をうまく使われてしまいましたね。
そうですね。前半は相手も[3-4-3]で、富所(悠)選手のところがちょっと自由に動くだけでそこまで可変してなかったので、ほぼほぼマンツーマンで自分たちがついて、ある程度潰せていました。
ただ後半、ボランチの選手が最終ラインに落ちて、ウイングバックが高い位置を取ってきたところで、シャドーが外につられて、相手の前線3枚にフリーで持たれてしまった。自分たちボランチもそこまではついていけないのでプレスが中途半端になってしまい、スペースを使われてそのまま背後にパスを出されてしまいました。前半はハマっていた分、ちょっとした相手の変化に素早く対応しきれませんでした。
--失点後、相手に流れが傾きかけたところで、追加点を奪い、もう一度流れを引き戻しました。そのあとの試合運びはどんな意識でプレーしていましたか。
1トップに(藤沼)拓夢くんが入ったことで、攻撃については「奪ったらとにかく背後を狙う」という意識が統一できていたと思います。守備については自陣でしっかりブロックを敷けば守れる感覚もありました。ただ、時間が経つにつれて疲れも出てきて、奪ったボールをなかなかつなげられなくなってしまって、相手ボールの時間も続いてしまった。そこで1本、2本でも前につなげれば、もっと簡単に相手コートへ入れたと思うので、そこは修正ポイントかなと思います。
--「先発で出て勝ったことがなかった」と話していたところから、4試合で3勝1分と絶好調ですね。
うれしいです。ただ、自分が出たからどうこうというより、ここ数週間はチーム全体がすごくアグレッシブで、「みんなで戦う」というところをもう一度見つめ直せた期間になりました。そういう時にたまたま自分が出れているだけで、みんなが頑張った結果だと思います。
今日も4点取れたのは良かったですけど、4-0にできた試合だと思うので、そこは反省しつつ残り2試合につなげたいです。
MF/15 前田泰良

--交代直後のファーストプレーで、勝利を引き寄せるスーパーゴールを決めスタンドを沸かせましたが、ゴールシーンを振り返って。
先週からメンバーに入れてもらっていて、チャンスが来たら一発決めてやりたいという気持ちをずっと持っていました。今日はコーナーキックのこぼれでしたけど、自分の武器であるシュート精度を信じて、思い切り振り抜くことができて、ファーストタッチでゴールを決められました。
結構強めのボールが跳ね返ってきたので、しっかり当てられれば強いシュートが打てるなと思っていました。とりあえず「枠に持っていきたい」という気持ちだけでしたけど、うん。普段のシュート練習でもああいうボールはありますし、日頃の練習の成果が出たかなと思っています。
--前半はほぼワンサイドで試合を進めましたが、後半、相手も修正してきた中で立ち上がりに失点し、流れが傾きかけていましたが、得点後はどんなことを意識してプレーしていましたか。
後半、琉球さんがポジションの取り方だったり、段差をつくったりしながら、数的優位をつくってきて、僕が入った右サイドのところでも、相手のボランチが落ちてきてズレをつくろうとしている印象がありました。そこは監督からも「はっきり掴みに行け」という指示があって、僕が入って明確に誰を掴むのかを整理できたことで、チームとして押し込む時間にもつながったと思います。
途中交代のフレッシュな選手が入って結果を残せるチームは強いですし、その中でうまく試合に入れて、いい結果で終われて良かったです。
--「いい守備から、いい攻撃」を体現し、天皇杯を勝ち上がって行った時のようなチームの雰囲気に戻っているように見えますが、今のチーム状況をどう感じていますか。
本当にチームの雰囲気も良くて、全員が“勝つ”という1つの目標から逆算して、普段から取り組めていると思います。欲を言えばもっと前から……もちろん精一杯やってはいましたけど、全員が今くらいの士気の高さでやれていれば、また違った位置にいたのかな、という思いも正直あります。
J2プレーオフ出場は厳しい状況ではあるけど、僕たちは残り2試合を勝つだけです。そこに向けて、しっかり続けてやっていきたいと思います。



