《試合結果》
SC相模原 3-1 Y.S.C.C.横浜
【得点】
7'オウンゴール(Y.S.C.C.横浜)
11'ラファエルフルタード(SC相模原)
75'高井和馬(SC相模原)
79'福井和樹(SC相模原)
シュタルフ悠紀リヒャルト監督
--試合を振り返って。
僕にとってはここ(ニッパツ三ツ沢球技場)は監督デビューをさせてもらっただけではない、非常に特別な場所です。ドイツで高校生のスタートを切りましたけど、2年生で日本に帰ってきた時にはなかなか2年生の自分を受け入れてくれるクラブがなかった中で、今Y.S.C.C.横浜で代表をされている吉野次郎さんが僕を拾ってくれました。そんな特別なクラブと特別なスタジアムで対戦するということで、試合前にはいろいろ思い返すことがありましたけど、なにはともあれしっかり勝てたことは非常に良かったです。
内容はまだまだな部分もたくさんありますけど、選手たちと試合前に「今の課題である複数得点をクリアしよう」と共有して、先制されてしまいましたけど、後半に得点を追加で決めて今季初めて公式戦で3ゴールを奪えたことは非常にポジティブな部分でした。普段のJ3の試合とは違いますが公式戦はこれで5試合負けなしで、選手たちの自信にもなってくれたらなと思います。
Y.S.C.C.横浜さんは昨シーズンまで同じカテゴリーでしのぎを削った神奈川の仲間でありライバルで、今日も簡単にはやらせてくれなかったですけど、結果がすべての決勝戦でしっかりと勝てたことは本当に良かったなと思います。今日は天気にも恵まれてたくさんのサガミスタが応援に来てくれたことは嬉しかったので、次の上位のFC大阪戦でもギオンスに集まってもらって、彼らを撃破できるようにまた力を貸してもらえたらなと思います。
--今日はリーグ戦で先発出場の機会が少ない選手が多くスタートからピッチに立ちました。
選手にも伝えたことですけれども、スタートからたくさんの時間リーグ戦で出ている選手と、そうではない選手の差は、時にはほんと紙一重だったりします。その紙一重の部分で一番大きい要素は、選ぶ段階でどの選手が我々を勝たせてくれるのか、我々に勝ち点3を持ってきてくれるのかというものが、最終的な判断基準になります。今日は「“自分を使えば試合に勝てる”というのを結果で証明していこう」と伝えた上で普段はサブだったり、出場時間が短い選手を中心に送り出しました。
僕らにとっては連戦でしたし、コンディション面も含めて彼らの方が勝ちに近い20名だと思って今日はセレクトしました。その期待に応える結果を出してくれたので、良かったと思います。
--同点ゴールを決めた後の前半戦は決定的なシーンをあまり作り出せなかった印象があります。ハーフタイムで与えた指示と、徳永裕大選手に代えて三鬼海選手を入れた意図を教えてください。
徳永に関してはアクシデントでした。空中戦の競り合いで少しアフター気味に頭に(ダメージが)入って、最初は行けそうでしたけど、ちょっとめまいがするということで大事を取って交代をしました。彼のパフォーマンスが前半良くなかったわけではないです。
前半、同点になった後にチャンスをなかなか作れなかったのは、自分たちが積み上げてきている、繋がりを持って前進させる部分がうまくできていなかった。それは仕組みの問題というより、一人ひとりの判断スピードだったり、技術的なスピード感での意思疎通で多少のズレが生じてパスがなかなか繋がらなかった。ロングボールで何回かチャンスを作ってたシーンもありましたけど、負けたら終わりという硬さから先制されたりセーフティーファーストなプレーを選手たちが選択したのかなと捉えています。
後半、裕大のところはアクシデントでの交代でしたけど、三鬼を入れることによって後ろの仕組みをズラして、多少ボールを握れる時間帯が増えればいいなという狙いはありました。
3点目はスーパーゴールですし、なかなか入るようなゴールじゃないと思いますけど福井がよく決めてくれました。2点目についても、今我々がやっているサイドでの崩しからペナルティエリアへなだれこむ形で最終的には和馬決めてくれました。
--2点目の崩しはどんな狙いを発揮できましたか?
スタートではパワーFW系の小笠原(佳祐)とラファエル(・フルタード)を並べて、4バックの前のスペースでタメを作ってそこから押し上がっていくような形を準備していました。ただ相手がそれに慣れてきたり、2人が疲れてきたりして(交代しましたけど)前半から2人が役割をこなしてくれたおかげで相手のディフェンダーも結構消耗したと思います。髙木(彰人)も高井も、そういうところを突くのが非常にうまい選手だと思っています。今日はイスマイラも控えていましたけど、今日の相手ディフェンダーの表情とかを見ると、「高井が決めてくれそうだな」と思って送り込んだら、大事な2点目を決めてくれたので、本当によくやってくれたなと思います。
--公式戦で連勝を収めることに成功しましたが、来週末のFC大阪戦や天皇杯1回戦の水戸ホーリーホック戦へ向けてはいかがですか?
僕を含め、開幕に向けてハードルを上げすぎていた部分があるのかなと思っています。うまくいっていない部分はたくさんありますけど、うまくいっている部分もあるので、そこをよりフォーカスをしたい。できることや、選手のいい部分をもっと引き出せるようなアプローチをみんなで取るようになってからは結果も上向いてます。
次のFC大阪戦に向けても、自分たちの良くなかったところはもちろん改善しますけども、良かった部分に意識を向けて、それをさらにブラッシュアップして僕らの武器をもっとストロングに変えていくことができれば、全然勝てると思います。相手はフットボールじゃないようなフットボールをする特殊な相手ですけど、ギオンスでは我々の土俵でサッカーをして、僕らのフットボールの試合に巻き込むことができれば、試合を優位に運べると思うので、まずはそこへまたいい準備したいなと思います。
水戸戦に関しては、天皇杯はこうして上のカテゴリーのチームと対戦できたり、優勝したらヴァンフォーレ甲府さんみたいにACLに出られたりと、普段のリーグ戦とは違った楽しみ方がサポーターにあるのと同じように、我々にとっても刺激的な大会になります。天皇杯で1試合でも多く勝ち進みたいし、この仲間たちと1試合で多く試合をすることによって僕らも磨かれると思いますし、そこでの経験値がリーグ戦にも生きてくると思う。水戸さんはリーグで調子が良さそうですけど、アウェイに乗り込んで、しっかり勝ちたいなと思っています。
FW/9 ラファエル・フルタード
--日本に来て初ゴールを決めましたが、今の気持ちを教えてください。
とても嬉しいです。初めて日本に来て、まだアジャストしていないのかなと自分の中では感じていましたけど、それを吹き飛ばすゴールになったんじゃないかなと思います。試合になるべく数多く出ていければ選手との連係や監督が要求していることによりアジャストできるんじゃないかなと思っているので、とにかく試合に出続けることを大事にしたいですね。
--ゴール以外でも前線で泥臭いプレーもいとわず、存在感を強めていたように見えました。ご自身のプレーをどう振り返りますか?
個人としては今日が相模原に来て一番出来が良かったんじゃないかと思います。ハードワークをしてチームのために戦うことが一番だと思うので、そこを続けられるのがベストです。今後もっといいプレーをしたいので、今日の仕事をより続けていきたいですね。
--ちなみに、勝った後のファミリアではラファエル選手は前に出ていくタイプですか?
この前のガイナーレ鳥取戦では前で踊りましたけど、今日はちょっと恥ずかしかったです(笑)。ブラジルでああいう感じで踊ることもないんですよ。でも、これからは前に出てもすぐ戻らないで1分くらいは踊るようにします(笑)。
FW/80 高井和馬
--勝敗を大きく左右する2点目を高井選手が決めましたが、ゴールシーンを振り返ってください。
(右サイドを)突破した時に前で誰かが潰れてくれたので、「後ろにボールがこぼれたらラッキーだな」と思ったらこぼれてきたので、あとは決めるだけのゴールでした。
相手はオープンに前から来てくれていましたし、相模原のスペースがすごく合った中でうまく右サイドで崩してくれたし、僕のマークを彰人が引き連れてくれたので「あそこが空くかな」と思っていました。
--得点を決める上で、どんなことを意識されていましたか?
耐えていたら点を取れるだろうなと思っていたし、チャンスの数も僕だけで3、4本はありました。そういうところを全部決められなかったのは反省点です。ただ今日のように絶対に勝たなければ試合で先制されて難しい展開になった中でも、勝てたことは良かったと思っています。
--リーグ戦の前々節で終了間際にゴールを決めましたが、前節のガイナーレ鳥取戦ではメンバーから外れていました。悔しい思いをされたのかなと感じるのですが、今日の試合に懸ける思いはいかがでしたか?
前節メンバーから外れて、当然悔しい気持ちはありましたけど、その気持ちをどう見せるかと言われたらこういう試合でしかありません。今日も短い時間ではありましたけど点を取れて、以前も言いましたけど「俺を出せば点を取れるよ」ということをもう一度証明できたなと思います。もっともっとそれを見せていきたいと思っていますし、だから点を決めても正直うれしい気持ちはありませんでした。ちゃんと喜べるようにしたいですね(笑)。
MF/22 福井和樹
--スーパーゴールを決めてみせましたが、振り返っていかがですか?
前半、自分はシュートを打てていなくて、後半は「今日シュートを打たないとまずいな」と思っていた中でスローインの時に(三鬼)海くんがいいボールを投げてくれたので、その時には打つことしか考えていませんでした。それで思い切って足を振ったらいいところへ飛んで、気持ちいいゴールになりました。素直に嬉しかったですね。「やっと取れたな」と思いました。
--GKの位置も見ながら、打ったのでしょうか?
ちょっと前に出ているかなと思っていたので、ニアに打つよりファーに打った方が入るかなと思って、ちょっとアウト回転をかけてファーに逃げるようなシュートを打ったらいい感じにいってくれました。思い切って打つという選択が良かったのかなと思います。
練習試合では点を取ってきていましたけど、公式戦では全然取れていなくて「やっと入った」という気持ちなので、ここからどんどん決めていきたいと思っています。
--今シーズンは今日のようにウイングバックやインサイドハーフでプレーされていますが、ここまでの自分のパフォーマンスはいかがですか?
自分の走力や対人の強さを生かして、与えられた役割を全うしながらチームに貢献することは大前提として、あとは自分も点を決めたらチームは勝てると思っています。ただ、ここまではいいところまでいっても最後の質が悪くてクロスを弾かれることも多かったので、今日の結果にはホッとしています。
--あと一歩でゴールやアシストに繋がりそうな場面は確かに多い印象がありますが、そこを突き詰めるために取り組んできたことはありますか?
今はウイングバックでプレーすることが多いので練習からクロスにこだわったり、中に入った時にシュートを決められるように、両方の質を高めながらチームに貢献できるように突き詰めてやっています。
--来週末のFC大阪戦や天皇杯1回戦の水戸ホーリーホック戦と、強敵との試合が続きます。今後へ向けてはいかがですか?
自分の大学の同期や、去年先輩だった選手でFC大阪に移籍した選手もたくさんいるので、絶対に負けたくない気持ちがあります。水戸にもユースで一緒にプレーしていた選手がいるので、そこにも必ず勝ちたいですね。上のカテゴリーの相手ですけど、走って、戦って、助け合って、自分たちのサッカーをしたい。たくさんの方が応援に来てくれると思うので、サガミスタを喜ばせたいですし、上へいけるように頑張りたいなと思います。