SC相模原

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11-24-2024

 試合結果 

【11/24鳥取戦】試合結果・監督・選手コメント

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《試合結果》

SC相模原 1-0 ガイナーレ鳥取


【得点】
90+3' 伊藤恵亮(SC相模原)


■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2024/112405/live/#live



シュタルフ悠紀リヒャルト監督

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--試合の総括をお願いします。

前節、プレーオフの希望が途絶えてしまい、みんなでその悔しさを噛みしめて、この試合に向けて準備をしてきました。この試合に勝ったからといってプレーオフに進めるわけではないですけど、「最後に根性を見せて、来てくれた人に最後だけでも笑顔にして帰そう」ということを試合前からも選手に伝えましたし、選手もそこは気持ちを表現してくれたんじゃないかなと思います。

拮抗したゲームだったと思いますけど、選手は本当に集中して試合に入れていたのかなと思います。決定的なチャンスはお互いに少なくて我慢比べのようなゲームにはなりましたけど、最後にどこかで一発取ってくれると信じていましたし、願っていましたし、祈っていました。それが届いて、伊藤(恵亮)のゴールで今シーズンの幕を閉じたことはよかったと思います。

--試合後のセレモニーでは、明後日でこのクラブの監督に就任して5カ月が経つという話をしていました。その中で、掲げていた昇格というミッションを達成できなかった要因はどこにあると感じていますか?

一言で言えば、我々に力が足りなかったということになります。セレモニーでのあいさつでも言いましたけど、できることを最大限のスピードと精度で進めさせてはいただいた中で、やっぱりゴール前の攻防での1プレーが響いたと思います。瀬沼(優司)のあいさつにもありましたけど、「この1プレーが」とか、「この一つの笛が」とか、この一個の瞬間が我々のほうに傾いていたら、違う状況で今回のセレモニーを迎えていたと思います。そこが残り2ゲームまでプレーオフへの希望を残せた要因だったと思っています。

でも裏を返せば、そこを突き抜ける強さがなかったわけで、そこが今シーズンは足りなかった。守備でも今日もほとんどチャンスを許さなかったけど、危ないシーンはありました。そういうのが入ってしまえば今日の試合はわからなかったと思います。

振り返れば悔やまれるシーンは本当にたくさんありましたけど、今シーズンで言えば、一つ違う結果を招いたと思う。プレーオフとの勝点差は「5」あったので、それらの2個が変わっていれば、結果も変わっていました。際どいシーズンだったと思いますけど、荒波を乗り越えるにはもっと強くならないといけなかったと感じています。

--夏の新加入選手をチームに融合させていく中で、堅守がベースとしてあったチームに攻撃の手法を植えつけてきたと思います。ベースにあった守備ではなく攻撃面に力を入れた理由は?

プレーオフもそうですし、試合に勝つためには、点を取らないといけません。W杯でも1試合も負けていないけど敗退するチームがあるわけで、フットボールはネットを揺らさないと他力になってしまう。昇格したければ自分たちの力でネットを揺らす術をたくさんもっておかなければいけないと思います。そういったところを自分がバージョンアップさせていかないといけないと思ってやってきました。

タイムラグがありましたけど、就任してからそれまでの試合を見直す中で、足りなかった部分を上乗せしないといけないと思ったので、そういうアプローチを取りました。おっしゃる通りで、もっともっと守備を強固たるものにする選択肢もあったかもしれないですけど、そうすると、一つのセットプレーや、アウェイのFC琉球戦のように一つの笛でPKになるとか、不確定要素に流されてしまうのではないかなと自分は思います。

それに、ゴールを取る瞬間が一番おもしろいと思います。今日も恵亮がゴールを決めたからこそ、盛り上がったと思います。これが0‐0で終わっていても久しぶりのクリーンシートになって一つの成果になりますけど、それで終わっても楽しくないというか。フットボールに対する個人的なロマンチックな考えもあるかもしれないですけど、主導権を握って、相手を崩して、みんなでボールがゴールラインを割るように前進させていくことを植えつけたかったので、前者のアプローチをしました。ただ結果的には(昇格につなげるほど)勝ち切れなかったので、そこに対しては大きな責任を感じています。

--これまでY.S.C.C.横浜、AC長野パルセイロで指揮を執ってきた中で、SC相模原はどんなクラブだなと感じましたか?

タイの世代別代表も挟んでいますけど、それぞれのクラブ、地域にそれぞれの文化があります。サガミスタの文化もそうですし、どことも比較できないのがフットボールの良さでもあり、おもしろさでもあると思うので一緒なことを探すのがむしろ難しいと思います。

シーズン途中からの就任も私にとっては新しいチャレンジでした。(J3で指導をして)6シーズン目を迎えた中でたくさんの選手を見てきましたけど、今シーズンは良くも悪くも一緒に戦った選手が一人もいなくて、そういった意味でも非常にチャレンジングな1年でした。

(サガミスタの中には)クラブと共に成長していって、結果のみではなくプロセスも楽しんでいける文化があるのかなと感じています。勝った後に踊る「ファミリア」の名の通り、非常にアットホームな、ファミリー感のある雰囲気だと思いますし、それが良さでもあるし、あたたかさでもある。その中でもサガミスタに関係なく、自分がリーダーシップを取って強さを作っていかなければいけないと思います。それを今シーズンはできなかった悔しさが大きい。

就任当初、最初のゲームから(自分への)弾幕を掲げてくださったり、先週、プレーオフを逃した監督へ試合前にエールを送ってくださったことは胸に響いていますし、感謝の気持ちでいっぱいですけど、だからこそ悔しい。「この人がここに来てよかった」と言ってもらえるような仕事をしようと思い、150日間を駆け抜けてきましたけど、そうは思ってもらえないかもしれない結果だったことに、悔いが残るシーズンでした。

--攻撃の内容は向上したが、ゴール数は伸びなかった。今シーズンは終わってしまいましたが、今後も突き詰めていけるとしたら、どんな部分をブラッシュアップしていきたいと感じていますか?

ひとまずは「この5カ月で」という話をして相模原に来て、昇格というミッションを達成できなかった身なので今後についてはわかりませんけど、クラブとしては自分たちでネットを揺らす術は、昇格を目指すのであれば引き続き突き詰める必要があるんじゃないかなと思います。偶然の昇格ではなく、必然の昇格をするには守備だけではダメで、攻撃をもっとパワーアップしないといけないと思います。もっとスピード感を持って進めながらやれればよかったんですけど、負傷離脱を含めていろいろな要因がある中で、ゴールを奪う回数は(自分が就任してから)4、5点くらいしか増えていないと思います。チャンスと比例して見ると本当に少なすぎるので、そこを突き詰めていかないといけないシーズンだったと思います。

--就任後から最も伸びた選手を挙げるとするなら?

選手それぞれに個別でアプローチをしてきました。サッカー選手としてのキャリアはまだまだ続くので、自分と関わった選手が自分と関わる前よりもいい選手であってほしいというのが、指導者としてのポリシーでもあるしプライドでもあります。そういった意味では、一人ひとりに少なからず成長するきっかけを与えられたと思います。

一人の名前を挙げるのは本当に難しいですけど、いろいろな成長があったと思います。メンタル的にタフになった人もいるし、ポジションをコンバートされて攻撃をけん引してくれた長谷川(雄志)もそうですし、苦しんで最後に決勝点を取った伊藤もそうですし、全員ですね。瀬沼に関しても切れ味のある瀬沼を見せることができたし、三浦(基瑛)も最後は立て直してノーミスなゲームをしてくれました。

サガミスタも含め、みなさんはここで行われる90分での取り組みしか目にしないと思いますけど、我々はここでいいものを作り上げるために毎日切磋琢磨して、意見を言って、自分を磨く努力をしています。誰か個人というよりも、私を含めた全員が前進できたと思います。

攻撃に関してもう一つ言うとすれば、昇格争いをするチームには絶対的なストライカーがいますが、私はそれを生み出せなかった。最後に恵亮がゴールを決めたことで、5ゴールでチーム内のシーズン最多得点者になりました。良く言えば全員が点に絡めたということになりますけど、その基準が5ではなく10であれば、きっと景色は違ったと思います。アタッカーはそういった部分を悔しく感じたと思うし、そういう悔しさを励みに一人ひとりがさらなる成長につなげてくれたらいいなと思います。

--今シーズンが終わって、監督の中に悔しさ以外の感情はありますか?

無念というのか、僕は日本語が母国語ではないので適切な言葉を見つけるのは難しいですけど、昨年に日本を発ってタイに行った時はJリーグに戻ってくるつもりはあまりありませんでした。その中で自分の力を必要としてくれたクラブに偶然に声をかけていただいたので、本当に覚悟を決めて臨んだシーズンでした。自分が指導者として培ってきた経験、学んできた知識、フットボールへの情熱など、全てをぶつけた150日間でした。

先週のFC大阪戦でプレーオフへの可能性が途絶えた時は悔しさもそうだし、無念もそうだし、申し訳ない気持ちもそうだし、空っぽな心というのか、どう表現したらいいかわからないものでした。情けなさもあります。(プレーオフ圏内との差が)小さな差だったからこそ、その差を埋められなかった不甲斐なさが、悔しさとして強く残っています。

--昇格という高い目標を掲げ、残留争いとなった昨シーズンよりも勝つことが多かったシーズンだと思うが。

職業柄いろいろなところを見ているんですけど、今日のように最後のゴールが決まった瞬間や、試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間にパッと顔を上げて、サガミスタの表情も目に浮かぶ中で、喜んで抱き合っている姿、ガッツポーズしている姿、ハイタッチしている姿を見て、「よかったな」と瞬間的な喜びはあります。

フットボールを楽しむ側としては過程を楽しんでほしいので、最終戦までハラハラドキドキを持続させられなかったことはエンターテイナーとして不甲斐ないと思います。YS横浜戦、福島戦での2連勝や、アウェイで上位を引きずり下ろしたり、一時は2位になれたりと、いいシーンはあったとは思います。そのいいシーンを楽しんでもらえたのであれば救われます。

今日は3,775人がスタジアムに来て、その何人かが「あいつが監督として来ておもしろかった」と思ってもらえたら、本当に救われますけど、自分はプロなので。自分に対するハードルもありますし、自分として行き着きたい場所もありますし、達成したい目標もあります。そういったものに対する自己評価としては、物足りないと感じています。もっともっといい結果を届けたかったという気持ちが大きいですね。

--ホームタウンの中で、SC相模原が存在価値をより高めるために必要なことは?

ハードルを取っ払って言うと、サッカー専用スタジアムや僕らが毎日行き来するクラブハウスが街中にあり、そこにサポーターや地域の方と交流する場所が必要だと思います。距離的にギオンスは素晴らしいですけど、ピッチと観客席の間にはトラックがあるわけで、一体感をもっと高められるような箱があり、そのスタジアムの近くに選手は住んで、街で見かけられ、声を掛けられることが増えると思う。そこで「この前は不甲斐なかったぞ」なのか「ナイスゴール」、「また来週がんばっていこうぜ」という声がある。そういうのがヨーロッパでは当たり前で、生活の中心にSC相模原がある未来を僕は夢に描いています。

その実現が難しいことはわかります。今は我々は練習会場を転々していますし、公開練習はありますけど、その場所もその時々で違ったりと、いろんなハードルがあると思います。DeNAさんや相模原市の方を含めて、いろいろな人が一生懸命に頑張ってくれている中で、僕の管轄はチームなので「成績をもっと出せよ」という話ですけど、同時進行でそういうものも増えればピッチ内の選手たちの後押しになることは間違いありません。これまで率いたYSにしても長野にしても、専用スタジアムで距離感がもっと縮まる部分がありましたし、ハードルは高いですけど、そういったものを市を挙げてやってほしいなと思います。

相模原市は人口だって少なくないし、非常にポテンシャルが高い地域だと思っています。みんなが「俺たちの街」と言えるものが増えていけば、フットボールに興味のない人もここに週末に足を運んで美味しいものを食べて、飲んで、勝ったら喜び、負けたら悔しさを噛み締めて、また新しい1週間がスタートしていく。そうなれば、もっと相模原もより盛り上がると思います。

FW/39 瀬沼優司

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--最後は勝利で終えることができましたが、今日の試合を振り返っていかがですか?

自分たちが目標としていた昇格には届きませんでしたけど、「1年間応援してくださったサガミスタのみなさんと笑顔で終わろう」という監督からの声がけの下、1週間準備をしてきました。試合前の円陣でもそういった声かけをして試合に入って、内容面ではもっと良くできるところなど反省点はありましたけど、最後に勝って終われたことは良かったなと思います。

--今シーズンは瀬沼選手から見て、どんな1年になりましたか?

選手一人ひとりの成長も感じたシーズンでもありましたけど、一番強く感じたのは、もったいないシーズンだったなと。試合後のスピーチでも話しましたけど、防げた失点を防げていたら、もっと勝ち点を積めていました。(攻撃面でも)自分自身も含めて決めるべきシーンで決めていれば、もっと上の順位にいることができたと思います。今シーズンに限らずJ3は本当に(各クラブに実力の)差がないと感じますけど、自分たちは勝負どころを全部制していれば昇格できたと思っています。

大宮アルディージャのように内容や調子が悪くても勝っていく必要がありますし、昇格することだけがSC相模原の今後の目標ではありません。J1にいつか昇格して、J1で戦っていくクラブになることが目標なわけなので、運良く勝つのではなく、勝つべくして勝てるチームになれるように、自分たちは成長することが必要だと思います。

--チームとしての地力が必要になる。

そうですね。例えば今シーズン、負けたチームともう一度戦ったら勝つことはできると思うし、逆に勝った相手ともう一度対戦をして勝ち点3を取れるかと言われれば、「絶対に勝ち点3を取れる」と断言できないと個人的には思います。何度もやっても内容も結果もついてくることは当たり前ですけど、うまくいかない時でも勝つ力をつけてリーグ内で突き抜けて、自動昇格することを目指さなくては先がないのかなと感じています。

僕はこのクラブのことが好きなので前回J2に昇格した時もずっと気にしてチームを見ていましたけど、2020年の時もすごく勢いがあって素晴らしかったと思います。(シーズン終盤の追い上げで)まくって終わるのではなく、今シーズンの大宮が発揮したような力が必要なんじゃないかなと思います。簡単なことじゃないですけど、そうなれるくらい成長しなければいけない。

今シーズン、勝負どころで全部自分たちの方に結果を手繰り寄せることができていたら、少なくともプレーオフ圏内にはいることができたと思うし、2位は全然狙えたんじゃないかなと思います。そこに持っていけるように成長したいし、個人的にもまだまだだなと痛感したシーズンではありました。

--ピッチ外の部分でSC相模原が地域に根づいて、チームとしての輪が大きくなっていくにはどんなところが必要になると感じていますか?

選手はピッチで示すだけですし、それが選手としての仕事だと思っています。今シーズンはキャプテンを任せていただいたので、オフ・ザ・ピッチでも自分なりに考えて行動しましたけど、選手である以上、ピッチで示すことが一番だと思います。自分たちが強いチームになっていけば自然に応援する人が増えて注目度は高まっていくはずです。クラブも努力をして変化していこうとしている途中だとは思いますけど、その中で自分たち選手が強くなって、勝っていろんな人の興味を惹きつけなければいけない。営業の方が頑張ってお客さんを集めることも大事ですけど、一番必要なことは現場の選手がやることだと個人的には思います。

--スタッフの方たちがお客さんを呼んできてくれて、その試合でいいものを見せることができれば、チームとしての輪もより広くなっていくんじゃないかと。

もちろんそうやって人を集めてくださって、今日のようにいい雰囲気になれば最後に背中を押されて勝ちにもっていくことができると思いますけど、まずは自分たち選手がもっと成長して強くならなければいけない。自分はまだまだだなと痛感するようなシーズンでした。

--自分に矢印を向けていく。

そうですね。選手は選手に矢印を向ければいいと思います。来シーズンも全員同じメンバーが揃うとは思わないですし、自分も来シーズンのことはわからないですけど、ここに残って戦うと決めた選手たちがもっと成長していかないといけない。自分たちはJ3にいますけど、若い選手たちはいい選手ばかりで、J1を目指して成長していかないといけない。僕もいろんなチームに移籍をして、いろんなカテゴリーを経験していますけど、相模原の若い選手たちならきっかけがあればできると思っています。だから、低いところを見ないで高いところを見てやってほしいなと思います。

--来シーズンのことは今の時点でどうなるかわかりませんが、「来シーズンも瀬沼選手に残ってほしい」という声がサガミスタから多く挙がっています。

まだその話はしていなくて来シーズンのことはなにも決まっていません。ここは生まれ育った場所で好きな場所なので、自分にとっては特別なクラブです。自分が試合に出て活躍することはもちろんですけど、出ていなくても違った感情が入ってきます。

ここに来る前からSC相模原のことは応援していたので、どうしても思い入れはありますけど、プロとしてどこから必要とされているのか、自分は来シーズンどこでプレーしたいのかを考えて、決断する必要があると思います。いたらこのクラブのために今シーズン以上に頑張るというのは当たり前なことで、いなかったとしても、クラブができた時からずっとサガミスタであることに変わりはありません。自分の中で納得のいく決断をしたいなと思います。

FW/17 伊藤恵亮

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--最後に伊藤選手がゴールを決めて、勝つことができました。

最終節でしたし、僕らが勝って示さなければいけないと思っていた中で0-0だったので、「自分が点を取ってチームを勝たせる」と思ってピッチに入りました。だから勝てて良かったですね。

--ゴールシーンは高野遼選手からのクロスをうまく右足で合わせる形でした。

遼さんにボールが入った時に、相手の3バックの間が空いているように見えたので、そこにうまく入った時、遼さんがいいボールを上げてくれました。まだ(映像を)見返していないのでわからないですけど、うまくインサイドに当たって流し込むことができました。

--ボールを受ける前の動きをもう少し詳しく伺ってもいいですか?

相手のセンターバックとセンターバックの間を広げるために、一度ニアに走るフリをして、そこからプルアウェイをしました。自分の前にスペースを作りたいと思って、そういう動きをしたんですけど、遼さんのボールが良すぎて、気がついたら足に当たって入っていたという感じでした(笑)。

--今日のゴールでチーム内のゴール数は伊藤選手が単独トップになりました。

チームで一番点を取っているということは喜ばしいことですけど、FWで出ている中でシーズンを通して5点というのは、他のチームと比べると多い方ではありません。どちらかと言えば少ない方なので、悔しいシーズンだったなと振り返って思いますね。

--試合終了直後、前田泰良選手が感情をあらわにする一幕もありましたが。

泰良も出場機会がなかなかありませんでしたけど、最後に一緒のタイミングで出させてもらって、交代するタイミングで「俺らで絶対になんとかしよう。点を絶対取ろう」と話していたので、アイツが感情をああやって出していて心にグッと来るものはありましたね。

--そうした場面は大学時代でも見たことはありましたか?

元々感情を出すタイプの選手ではありますし、喜怒哀楽をいろいろ見てきましたけど、アイツがあそこまで感情を出していたのは久々に見ました。

--前田選手をはじめ、昨シーズンから一緒にプレーしてきた同期の選手が多いですが、選手一人ひとりの変化は感じますか?

みんな少しずつ成長していると思いますし、「一人の選手としてチームの力になる」と思ってプレーをしてきた中での今シーズンの結果だとは思います。(成長が)まだまだ足りなかったというのが結果として出てしまったので、ここからまた一人ひとりが成長して、昇格という目標に値するような選手になっていかなければいけないなと思います。

--シーズンを振り返って、昇格のために悔やまれる部分はどんなところにありますか?

勝てそうな試合を落としてしまったりということが今シーズンは多かったと思います。そういった、どっちに転ぶかわからないような試合で1点を取れないということが多かったので、そういったところを踏まえると悔しいシーズンだったなと感じています。

--監督は会見で「昇格争いをするチームには絶対的なストライカーがいる」と話していました。

自分が絶対的な存在になるといった思いはあまり持っていなかったですけど、チームが勝つために自分がなにをできるか考えて1年間やってきました。試合に絡めない時期もありましたけど、そういった時でも自分に必要なこと、チームに必要なことを考えてやってこれたからこそ、ここまで来ることができたのかなと思います。

--昨シーズンは出番を求めて栃木シティへ期限付き移籍をして、復帰した今シーズンは飛躍の1年にもなったかと思いますが。

今シーズンはプロ2年目のシーズンで、「相模原で覚悟を持ってプレーする」という気持ちで戻ってきました。1年目の栃木シティや前監督からも吸収したものはありますし、シュタルフ監督からもいろんなことを学んで、少しずつ選手として成長できたのかなと思っています。来シーズンはJ2昇格という目標を成し遂げられるように、またやっていきたいなと思います。


MF/15 前田泰良

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--この最終節に、9月28日の第30節・大宮アルディージャ戦以来の出場機会を得ました。どんな気持ちでピッチに立ちましたか?

しばらくリーグ戦には絡めていなくて昇格の可能性は前節で途絶えてしまいましたけど、「最後にチームとしてしっかり勝利して終わろう」というのは全体で話していました。その中で僕にもチャンスが回ってきたので、結果を残して今シーズンを終えたいと思っていました。僕が出場してから伊藤(恵亮)選手が決めてくれて勝てたことは、本当に良かったなと思います。

--監督からはどんな指示があったか教えてください。

僕の前に田中陸選手と橋本陸選手が代わって、橋本選手は背後に抜ける動きが得意な選手なので、自分が足元で受けて(橋本選手を生かす)という関係性については言われていました。あとは、ダイナミックにシュートを打ったり決定的なパスを出すことを言われていました。

--東洋大の同級生でもある伊藤選手の得点で勝てて、喜びも一際強いのでは?

そうですね。大学から一緒にやってきた仲ではありますし、ピッチに入る時も「俺らが流れを変えて、結果を変えよう」と話していました。「どちらかにチャンスが一本来るだろう」ということも話していて、恵亮の方にチャンスは来ましたけど、ちゃんと決めてくれて、それで勝てたので良かったですね。

--85分には前田選手にも惜しいシーンがありました。

アディショナルタイムを入れて、十数分の短い出場時間でしたけど、まずはチームが1点取って勝てたことがなによりよかった。個人的には惜しいシーンをしっかりと決めてヒーローになれるようにしたい。全体的には悪くなかったと思いますけど、「悪くなかった」で終わらせないように、より頑張っていきたいと思います。

--前田選手は昨シーズンの終盤戦に2列目にコンバートされ、今シーズンは開幕スタメンの座を勝ち取り出番を得ていました。そこから監督交代や出番が遠のくこともありましたが、この1年を総括していかがですか?

前期は多く出場させてもらっていて、監督が代わってからはチャンスをつかむことが少なくなり、厳しい世界だなとは感じていました。その中でも自分でチャンスを手繰り寄せて監督の信頼を得ていく難しさはありましたけど、どんな監督にも使ってもらえるような圧倒的な力を見せていかなければいけないなと思いました。個人的に、後期は厳しい時間でしたけど、前向きにやり続けて最後に報われればいいなと思ってやってきたので、最後は勝利という形で終わることができて、とても良かったと感じています。

--試合が終わった直後は地面に突っ伏して感情をあらわにしていました。どんな気持ちからだったのでしょうか?

キツかったのもありますけど、悔しい思いをたくさんしてきた中で、最後に自分が出場してチームの力になれたことが本当に良かった。そういった回数をより増やしていけるようにしたいし、本当に嬉しかったですね。