《試合結果》
ヴァンラーレ八戸 0-0 SC相模原
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2023/120202/live/
戸田和幸監督
--試合を振り返って。
すごく締まったいいゲームだったと思います。八戸さんは連勝していて、タフで走れるチームなので「難しい試合になるな」と思ってここに来ました。相手の土俵でも腰を引かずに前に出て、しっかりプレーできることを目指して、その上で自分たちがやってきたことを表現できるように試合に向かいました。
「しっかりプレーできるようになったな」という感想を持ったので、試合が終わった後、選手にはそのまま(感想を)伝えましたし、締まった試合だったということも言いました。残念ながら点は取れずに終わりましたけど、勝てれば最高だったと思いますけども、できるようになってきたことが個人としてもチームとしてもすごく見える試合だったと思います。
1年目の選手がこれだけ多くて、新卒の1年目もいれば社会人からプロになって1年目の選手もいて、今日のスタメンにはそういう選手が3人いました。シーズンのなかでもがきながら、うまくできない試合も多かったと思いますけど、前を向いて課題に全力で取り組んで、今日の試合がある。「個人的には満足している」と言うと選手には失礼かもしれないですけど、すごくよい試合だったのでうれしく思います。
ただ勝って終われなかったことに関しては、「宿題として持ち帰れ」ということだと思うので、シーズンとしてはこれで終わりですけど、個人としてもチームとしても次にしっかりとつなげられるように、「(会見中の)いま、シャワーを浴びたりいろんなことをしている時間も含め、この集団で過ごせるわずかな時間も大切にして次に向かおう」という話をしました。
サポーターの人たちも本当に忍耐強く、愛情を持って、情熱を持って毎試合毎試合、勝てていない時期も含めて我々をサポートしてくれました。そのことに対しての感謝を伝えた上で、一緒にチームを、選手をサポートしてシーズンを戦ってくれました。そのなかで選手は励ましを受けて、少しずつ少しずつたくましくなっていったものが今日はたくさん見られました。「これは我々にとっても財産になるから、また来シーズンよろしくお願いします」とサポーターの人たちには伝えました。
今季の順位が下の方なのはもちろんわかっています。結果責任を負うのが監督なので、しっかりと受け止めて、できるようになってきた選手たちが自分たちにとってはすごく誇らしく思える部分はあります。「甘やかしている」と言われるかもしれませんけど、あとはリーグでどれだけ勝ち点を取るところまでもっていけるか。それは僕自身も宿題として持ち帰った上で、次に向けた準備をしたいと思います。積み上げてきた部分が多かったと思うので、勝てなかったこと以外はよい最終戦だったと思います。
--厳しいシーズンを過ごして、監督自身の感想は?
自分の評価を自分でするのは難しいですね。先ほども言いましたけど、監督の評価は結果なので、それに関してはあまり言えることはないですけど、プロカテゴリーの監督を初めて挑戦することになりまして、使った選手たちもみんな若いなか、「僕も含めてチャレンジャーだ」という号令をかけてやってきました。
勝てていない時期が長かったので、「僕が」というより、「選手たちがよく下を向かずに、挫けずにここまでやってきてくれたな」と思います。そこに対してなにができたか正直わからないですけど、僕が伝え続けたことは一貫していて「必ずできるようになる」ということと、トレーニングでひたすら自分の能力を高めて、チームとしての連係を作って、毎試合毎試合やっていくだけでした。そういう意味ではあまり他のことは考えずに、自分の質をどれだけ高められるかということと選手一人ひとりを引き上げるためのサポートができるかをずっと考えて、繰り返しやってきました。
もう少し目線を高く、視野を広くしていたら(周りから)言われたことがいろいろ入ってきたりとかがあったかもしれないですけど、そういうことは「このカテゴリーで監督に挑戦する」と決めた時に、自分のなかでは離そうと思っていました。いま自分がやるべきことにできる限りフォーカスして、選手たちを励まして1シーズンやってきたことはあります。
いま振り返れば、あのタイミングは結構しんどかったと思いますけど、この世界は厳しい世界なので、いつクビを切られていてもおかしくないですけど、そういったことを考えるより目の前の選手たちをどれだけその気にさせられるかということと、どれだけ毎日のトレーニングを高い質のものにできるかということと、そのなかで選手が成長して試合で躍動できるかの繰り返しでした。駆け抜けた感じがあるし、終わって時間が経ってから今年を振り返ることになると思うんですが、サポーターの方たちとの関係も含めて、土台のようなものを作れた感覚は少しあります。
そのなかでまた来季チャレンジを続けられるので、これから(シーズンオフに入るため)少し空きますが、非常に刺激と責任を感じています。挫けそうな瞬間があったかと言われたらないと思いますし、「絶対に自分はできる」と言い続けて、信じてやってきたので、「自分はできる」ということのなかにいろいろなものが含まれますけど、一人でやる仕事ではないですし、実際にプレーするのは自分じゃないので「監督とはどういうものか?」ということを考え続けて、試行錯誤をし続けて、ひとまず1シーズンを終えて、僕のことを見た人たちの意見をもらいながら振り返りたいと思います。
MF/14 安藤翼
--昨日、今季でチームを退団する選手も発表されたなか、試合前のロッカールームではどんな声かけがされて試合に臨みましたか?
「このメンバーでできるのはラストになる」とみんなで話していましたし、チームとして積み上げたものがあるので、全員が成長できたシーズンだと思っています。そのなかで勝てていない時期もあって悔しい時間を過ごしましたけど、「いまこうして戦えることに感謝して立ち向かっていこう」と(橋本)陸や監督を中心に話をして「今日は気持ちのゲームになる」と言ってました。スコア自体は動きませんでしたけど、気持ちと気持ちがぶつかるいいゲームだったと思います。
--ドリブルで仕掛けていくシーンもありましたが、試合を振り返っていかがですか?
今日はシュートもなく、足を振ればよかったかなと思いました。そういうチャンスもあったので、後悔はしてないですけど、打ちきれなかった部分があった。入る時は入るし、入らない時は入らないのですが、前への意識は今季通して自分のなかで意識していましたし、今日は「(古巣の)八戸を倒したい」と気合いが入っていたので、そういうプレーができたと思っています。
--安藤選手がボールを持つと、相模原の攻撃により怖さを感じられました。
感覚は悪くなかったですけど、八戸もタイトな守備がウリのチームでもあるので、「もっともっと人数をかけて崩せれば」と思う部分はありました。
--ゴールを決められなかった宿題が残ったかもしれないですが、チームとしての成長を感じた部分は?
ゴールに関しては今日のゲーム以前に、シーズンを通しての課題だと思っています。毎試合毎試合そこに向かってチャレンジしていくだけだと思っていますし、勝つためには決められる時間に決めなければいけない。前節もそうでしたけど、後ろがゼロで耐えてくれている分、前の僕らが1点を取っていればと思います。でも、チームとしての攻撃は全然悪くなかったと思いますし、あとは質ですね。それはいつどんな時も必要になると思うので、自分を含めて「オフシーズンにいろんなことをしっかり考えて、やっていきたい」と感じるゲームでした。
--試合を終えて、チーム全体ではどんな話がありましたか?
監督からは「1年間積み上げてきたものがあるし、選手に感謝している」と伝えてくれました。「今年積み上げてきたものが2年目に出る」と戸田さんは言っていました。今週出た課題を来週また直していくというサイクルの積み重ねになります。「今日の攻撃も悪くなかったと思うけど、質を来季の練習から高めていく」とも言われていて、本当にその通りだと思うので、今季は終わってしまいますけど、また次のシーズンに向けてやっていきたいです。今季は1年目の選手もいますし、僕らみたいな選手も、ベテランの選手もいたなかで、選手一人ひとりがいろいろなことを感じたシーズンになったと思います。
--安藤選手は今季が始まる前に「今年ダメだったら引退しよう」と強い覚悟を決めて臨んでいました。結果としてはキャリアハイを更新する10得点を決めましたが、どんな1年になりましたか?
自分のなかでの覚悟が強かった分、前期はうまくいかなかった部分もありましたけど、すべてを捧げるつもりでやれたと思う。やっぱりうまくなりたいし、よくなりたいという思いが常にあるなか、「今年結果が出なかったら厳しいかな」と思っていて、戸田さんをはじめ、コーチングスタッフだったり、たくさんの人の支えがあって2桁得点ができたと思います。ただ「もっと点を取れた」とも思うので、そういう悔しさと自分のなかでできた感覚もあったので、いろいろなことを感じるシーズンになりました。
FW/29 齊藤聖七
--前節、短いながらも出場機会を取り戻して今日は66分からの出場でした。どんな思いでこの最終節のピッチに立ちましたか?
なんというか、「チームを強くしたい」「変えたい」という思いで夏に加入して、なかなかチームに貢献できなかったので、すごく悔しく、申し訳ないとずっと思ってこれまで過ごしていました。普段自分が得意としていないようなプレーもしながら、反骨真をぶつけようと意識を変えて取り組んできたなかでの試合でした。最終節はスタートではなかったですけど、途中から時間をもらえて、いろいろな感情が混ざって、どう表現すればいいかわからないですけど、最後の試合は自分の色も自分の色じゃないプレーも出せたのでよかったと思います。
--特にアディショナルタイムに突入してから、ゴールへ向かっていく野心のようなものを齊藤選手から感じられました。
ゴールへ向かうプレーは、監督から常々言われていたことで、最後にシュートを打ったシーンは(加藤)大育くんが自分の前を斜めに走っていったのも見えていて、「その裏にチップキックで出そうか」とも思いましたけど、シュートを打つ選択に変えられたので、戸田さんが自分に伝えてくれたものを最後の試合で表現できたと思います。
--シュートを打つ前に、綿引康選手からクサビのパスを受けた場面は齊藤選手の良さが出た場面だったようにも見えました。総じて手応えを感じる試合になった印象ですか?
でも、自分に求められていることは数字なので、その点で見ればまだ全然です。ピッチ状態が悪いなかでも康くんからの浮き球を収めることは自分のストロングだし、自信を持っている部分なので、あれを得点につなげられていたら文句なしだったと思います。
--齊藤選手にとっても今季がプロ1年目で、清水エスパルスユースから流通経済大を経て清水エスパルスのトップチームに入団しました。夏には初めての移籍も経験して、濃い1年を過ごしたのではないでしょうか?
プロの厳しさを強く感じる1年でした。大学生の時は、清水で開幕戦から試合に出て活躍するイメージを持って入団しましたけど、それがうまくいかず出場機会を求めて相模原に移籍してきて、自分が思い描いていたような移籍にはならず、シーズンを終えてしまいました。自分のなかでより一層の覚悟を決めて2年目から戦わないといけないと思います。
--そういった厳しさやよかったことも含めて、全部が新鮮に感じられたと思います。この1年を経て自分のなかでなにか変化を感じることはありますか?
選手が一番感じていると思いますけど、プロの世界というのは本当に厳しく難しい世界で、うちのチームにもセヌさん(瀬沼優司)や(岩上)祐三さん、竹重(安希彦)さんというベテランの方たちがいますけど、彼らの立ち振る舞いを見ているとこれだけ長くやれていることにすごく納得がいきます。清水にいた時も権田(修一)さんや高橋(祐治)さんといった偉大な方たちの背中を見ながら今年1年を終えられました。もちろん、満足のいく結果ではなかったですけど、そういう方たちの姿勢を間近で見ることができたので、自分に足りないものや刺激を毎日感じながらプレーした1年でした。今年感じたことを来年に生かしていきたいと思います。
--少し聞きにくいですが……同時刻にキックオフしていた東京Vvs清水のJ1昇格プレーオフの結果は見ましたか?
はい、見ました。
--試合終盤に清水が昇格のチャンスを取り逃がす結果となってしまいましたが、所属元の選手としてはなにを感じていますか?
長い間、自動昇格ラインにいて力の差もあった試合もあり、レベルの高さを自分は肌でひしひしと感じていました。自分もJ1に相応しいチームだと思っていましたけど、これもまたプロの厳しさ、難しさなのかなと思います。でも自分のやることはJ1だろうがJ2だろうが変わらないです。今年は自分も含めですけど、1年間戦っていた選手は悔しいと思うので、まだまだですけど、自分もそこに割って入っていけるよう、これからまた頑張っていきたいです。
--来季、どこのチームでプレーするのかまだわからない部分はあると思いますが、最後に改めて意気込みを聞かせてください。
自分のなかではすごく濃い1年になったので、このシビアな世界で生き残るために、いろんな方から吸収したり自分で学んだりして、自分のキャリアを成功に導けるよう努力していきたいです。