《試合結果》
SC相模原 1-1 テゲバジャーロ宮崎
【得点】
34'北村知也(テゲバジャーロ宮崎)
43'松澤彰(SC相模原)
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2023/061123/live/#live/
戸田和幸監督
--両チームともにたくさんのチャンスを作った試合になりました。戸田監督は今日の引き分けという結果をどのように受け止めていますか?
勝ちだけを目指してやってきたので、残念な気持ちがまずはあります。それだけを考えてやってきましたから、(先週の)松本戦のあと、選手にも言いましたけど、結果の責任は僕にあるので、それはちゃんと伝えた上で、少し休みを与えるんですが、「自分は勝つためにできることをすべてやることをみんなに約束するので、もっと猛烈に練習を一緒に頑張ってもらえたら」という話をしました。
試合の入りは、よかったように感じました。相手がどのようにプレーをして、どういうふうにすると困るのか。16番の石津(大介)選手のところが一つポイントになると思ったんですけど、その前に2人の中盤のセンターのところもうまく隠しつつ、クロスから入って、あとはどれだけブロックを揺さぶったり攻略できるかというところで、選手にはプレーしてもらいました。うまくいった場面ももちろんありましたし、そこが前半の一つのポイントだとすると、そこに入ったところの対応が「いけるな」と僕が思った時、選手からすると石津選手の動きがファジー(曖昧)なので、捕まえきれないというのがあったと思うので、そこは少し直しましたけど、そういったものも含めて最後までよく走ってくれた。
あとは、例えば「奪ったあとの1本だけでなく2本を大事にしよう」という話をしました。スピードを上げずに、まず2本をしっかりつないで攻撃に入ることと、どういった形で攻略しなければいけないかをハーフタイムに確認して、交代選手がパワーを出してくれたので、よい場面もありました。失点の部分がおそらく選手とチームにとって少し難しさを生みかねないものだったと思いますけど、そんな時こそ励ますべきだと思いました。その後の古賀(貴大)のパフォーマンスと、彼がどのように試合にもう一度挑戦したかという部分と、チーム全体でサポートして励まして、みんなでゴールを目指して勝ちにいくというところが逆に良く見えたと思ったので、そういう意味ではポジティブな部分もありました。
ただ勝ち点を3つ取り切れないことに対しては、素直にそこに対しての悔しさとまたしっかりと振り返りをして、自分の仕事の質を上げられるよう努力したいです。
--綿引康選手を天皇杯の北海道コンサドーレ札幌戦では3バックの右に、今日は4バックの右センターバックとして初めて起用しました。どのような意図があったのでしょうか?
綿引をあの場所(センターバック)に使ったのは、単純に彼がグングン成長しているからです。ヘディングの競り合いについてもうまくこなしつつ、1対1の部分も松本戦も札幌戦も今日も見事だなという場面がありました。恐れずに、しっかりと相手に向かったり、外したり、前進するプレーもしてくれるようになっています。札幌戦の綿引と山下(諒時)と温井(駿斗)の(DFラインの)ユニットをそのまま継続したいなと。今日の試合は5枚(5バック)はいらないかなというところで、右のセンターバックに起用しました。
マッチアップに関しては南野(遥海)になるか、石津(大介)になるか。そこは伝えた上でコミュニケーションを取りながらやっています。パフォーマンスに関しては不満はありませんし、すごくたくましくなっている選手なので。彼にとっては今日は古巣との対戦でしたから、「目一杯力んでいけ」と言ったんですけど、最後まで躍動していました。自分からすると、成長がすごくうれしいなと感じています。
--同点ゴールの場面では宮崎がGKからビルドアップをしようとしたところへ、吉武莉央選手がプレスをかけにいったことがファウル獲得につながりました。
GKを使ってボールを動かして前進するのはよくわかっていました。どの形で、例えば中盤の選手がサポートに入ったり、そのボールに人を出していくかはわかった上で、あそこまで吉武は出たと思うので。もちろんスリッピーなグラウンドだったので、しっかりプレッシャーをかけた時に、GKへのパスが少し浮いたり、少しズレたり、速過ぎたりという時に不安が生じると思うので、そこは常に狙えるように松澤(彰)にも藤沼(巧夢)にも仕事としてお願いはしていました。あの場面では吉武が思い切って前に出てPKをとってくれました。難しい形で失点して、選手たちからすると不安もあったと思うんですけど、もう1回プレスから相手の自由を奪ったり、チャンスを作ったりすることで同点にしてくれたので非常にありがたかったですね。
--これまで何度かキックオフプレーで相手にボールを簡単に失って、相手に流れを渡してしまったことがあったと思います。今日は後半のキックオフで古賀選手のキックから相手陣内でのスローインを獲得して、戸田監督が拍手をしていたのが印象的でした。
毎試合毎試合、いろいろな事象が表れるので。長くフットボールをプレーしていても、経験していないことととか、対応の方法がわからないこととかがあるんだなというのを、悪い意味じゃなくて一緒に彼らとプレーをしながら感じてきました。そういう意味ではスローインもキックオフもそうです。一つ一つ、自分たちの側に良いことが起こるように続けてきたので、入りの部分がよかったのは一つの成果でしょうし、そうしたものを忘れずに、生きた経験を自分たちに肉付けしていけば、彼らは成長するしかないので。今までリーグ戦の中でうまく立ち振る舞いができない部分が、自分も含めてあったと思うんですけど、きちっと共有して確認してトレーニングしてやってきているので。
あとは、単純にズレるみたいいなことはまだまだ多いです。最初に「奪ったあとの1本だけでなく2本を大事にしよう」と話したと言いましたが、蹴ったボールがズレるのはまだまだ多いですが、試合の中で蹴ったボールがズレても落ち込んでいる暇はないので、次に向けてアクションを起こさなければいけません。ガッカリして動きが止まるような選手はもういなくなったと思います。あとは1人1人のレベルを上げられるように、自分はサポートして、とにかく次の試合に勝つためにできる限りのことをしなければと感じています。
--57分にボランチの吉武選手を牧山晃政選手に、64分に安藤翼選手とデューク・カルロス選手を投入しました。1-1の状況で、かなり早い時間帯から選手交代をしていきましたが、どのような狙いがあったのでしょうか。
単純にパフォーマンスやフィーリングのところでうまくいっていないなと感じたので。自分にとってはすごく重要な選手として認識して仕事してきていますけど、エンジンになるべきポジションのところでエラーが増えてしまうと、なかなかチームとして機能しきれないところがあります。天皇杯もスキップして準備してもらったのですが、今日のところは仕方ないなと思って代えました。
あとはパワーをどうやって使いながらゴールに向かうかというところを考えました。試合中に佐相を右サイドバックに移ってもらいましたが、カルロスの状態もすごくよくなってきているので、右の攻撃が活性化されたり、プレスもしっかりできた部分があったので、こういったものを次につなげるようにしたいです。佐相が(累積警告で)次に出られないので、彼が今まで頑張ってくれた分を、他の選手でカバーする、あるいはそれぞれの特徴と能力で違うものとして出していけるように。カルロスは非常に真面目で、こちらが伝えた課題も取り組んでくれて、フィジカルもよくなっていますし、今日も惜しいシュートを打ったり、どんどん状態が上がっています。
何回言うんだよという感じかもしれませんけど、毎回毎回勝つために僕はやるだけなので。選手が僕に対してどういう感情を抱いていたり、信頼があるのかないのかはわかりませんが、僕は彼らの目を見て一生懸命伝えて、続けることしかできませんから。ただ、彼らの目は生きているし、試合を見ていても誰もプレーすることを恐れないで諦めないで走って、練習でやってきたことが見える形でやってくれています。次こそは、と思っています。
DF/5 綿引康
--フル出場した天皇杯から中3日で今日の試合も先発でした。この試合に向けて、どのように準備してきましたか?
カテゴリーが違うチームでしたけど、やることは変わらないので、一試合一試合全力で戦うことを意識しました。
--札幌戦は3センターバックの右。今日は4バックの右センターバックでした。初のセンターバック起用を告げられた時の心境を教えてください。
正直驚きましたけど、状況とかを見て「もしかしたら、センターバックもするかもしれないな」と思っていたので、心の準備はできていました。あとはいつも通り自分の個性を出していければなと思っていました。
--戸田監督は「違う選手になってきた」と綿引選手のことを話していました。自分の成長をどの部分で感じていますか?
守備の面でも前に力強くいけたり、対人でも結構自信もついてきて、そういうところでは評価されているのかなと思います。あとは奪ったあとのボールを前につなげるところとかもやっていければもっとレベルアップできるのかなと思います。
--宮崎は石津大介選手が降りて南野遥海選手とコンビネーションを使う攻撃が多かったです。CBの綿引選手と山下諒時選手の間ではどのように対策しようと狙いを持っていましたか?
前半の方はマークが曖昧でやりづらかったですけど、(一人がマークに)行ったらもう一人が下がるみたいな相手に向かってマンツーマン気味に思い切りいってみようというのがありました。
--南野選手にマンツーマン気味にマークをついているように見えました。それは試合のなかで修正した形だった。
そうですね。
--試合のなかで話し合って修正するというのは簡単ではないと思います。
諒時が結構リードしてくれたので、そこはアイツに任せて、あとは自分が対人の面で貢献できればと思っていました。そこはお互い話し合ってできたと思います。
--右サイドバックから左サイドバックをやるようになって、3バックの右でプレーして、今日は4バックのセンターバックでプレーしていました。これだけユーテリティ性を持ってプレーすることは、相模原へ移籍してくる前には予想できていましたか?
自分はどこでもできると思っているので、そういうところで戸田さんに取ってもらったところもあると思います。一つひとつのポジションでもっとクオリティを上げていきたいです。
--前へどんどんプレスにかけにいく分、背後にスペースが空いて宮崎はそこを狙ってきました。ハイラインの背後はどのように管理しようと考えていましたか?
後ろが空いてしまうのは仕方ないので、そこは自分たちセンターバックが一人が出たら一人はカバーすることを徹底してしました。
--何度かディフェンスを突破された場面はありました。ただ最後は古賀選手が立ちはだかっていたように見えました。
そうですね。古賀にはここ2、3試合何本も助けてもらっているので、僕たちも古賀を助けられるような守備ができればと思います。
--前半の失点後、落ち込んでしまても仕方がない部分はあったと思います。その後、気持ちを切り替えしてよくプレーできたなと感じましたが。
あのキャッチも簡単ではないので、仕方ないと切り替えました。チームでもそんなに落ち込んでいなかったので、前を向いてできたかなと思います。
--今日は古巣戦ということで一番気合いの入っていたなか、最後まで勝利を目指した結果引き分けに終わりました。
悔しいですね……。次は絶対に勝ちます。
--宮崎でチームメイトだった選手とは試合後話しましたか?
話しました。懐かしいメンバーでやっていても楽しかったです。
--サポーターも来ていましたが頑張っている姿、成長した姿は見せられましたか?
そうですね。でも、もっともっと成長した姿を見せたいので、ここから頑張ります。
GK/31 古賀貴大
--今日の1-1という結果をどのように受け止めていますか?
スコアだけ見れば1-1なので、僕のミスがなければ勝ち切れたゲームなので反省点が残りますけど、後半を見れば僕もシュートを止めることができましたし、勝ち切れなかった苦しいゲームではありますけど、いいものは残せたかなと思います。
--相手は古賀選手を目掛けてCKを蹴っていたように見えました。自分としてはどんなことを考えてプレーしていましたか?
ああいった事故狙いの戦術を理解した上で対応しなければならなかったシーンでした。そこの中で相手の思う壺というか、パンチングで逃げてもよかったですけど、ゲームを締めたいという気持ちもあって、キャッチを選んだんですけど、それが失点につながってしまったので、そういうところを強かに対応しなければいけないと思います。
--一方であのCKをキャッチできていればその後の攻撃にもつながり、試合の流れを自分たちにもっていけたと思います。表裏一体だとは思いますが、これからも理想は高く持ってやっていきたい?
はい。3試合連続で僕のミスから失点することが続いてしまいましたけど、「こういうチームのサッカーをやっていく上で必要なミスだった」と思えるように僕はこれからもチャレンジし続けますし、そういうところをもっと練習からやっていきます。
--後半のキックオフプレーで古賀選手のフィードから前線の松澤彰選手のところでマイボールにできました。あの場面は戸田監督も拍手を送っていて、チームとして狙いを持ったプレーだったと思うのですが。
そうですね。僕らの強みは前からのプレスで、ゲームの入りは相手陣地で彰も競れますし、僕も蹴れるというので、札幌戦でも同じことをやりましたけど僕がうまく蹴れなくて、それもあった上で今日は同じシーンをやって、うまくいってよかったです。
--ハイラインの裏を突かれてピンチになる場面が後半はありました。その度に古賀選手が1対1で素晴らしいセーブをしていたシーンを振り返ってください。
ハイラインのなかで背後があるというのは前半からも話していました。そのなかで1対1の想定はしっかりとしていて、準備もトレーニングからやってきたので、自信を持って対応することができました。トレーニングで取り組んだことがゲームでも出せたので、非常によかったです。
--試合後のヒーローインタビューの際、茨城県のサッカーチームの子どもたちが古賀選手に声援を送っていました。
やはりサッカー選手である以上、子どもたちに夢を与えなければいけません。そのためにピッチで表現しなければいけないと思っているので、ああやって子どもたちが反応してくれたことは素直に嬉しいですね。
--GKという勝敗に大きく関わるポジションの選手として、次の試合に向けてどのように臨んでいきたいですか?
今はとにかくチームが勝ちを欲しているし、サガミスタのみなさんも勝ち点3がほしいと思うので、とにかく勝つために日頃から取り組んでいきたいです。
FW/18 松澤彰
--チームとしては水曜日の北海道コンサドーレ札幌戦から中3日の試合でした。松澤選手としては1週間空いて臨んで、どんな形で試合に入りたいと考えていましたか?
札幌戦に行けてない分、みんなよりは元気なはずなので、より勢いを持ってプレーしようと思っていました。
--前半からお互いアグレッシブなプレーが多かったです。そのなかで松澤選手はプレスの一番手として、相手のディフェンスへどのように圧をかけようと考えていましたか?
練習でやっていたんですけど、相手の左センター(バック)の方から僕がプレスをかけた場合は、そのまま僕らの右サイドの方で相手を追い込んでボールを取る意識でやっていました。チーム全体ではそれをやり続けようという感じでした。
--結果的にゴールは、相手GKのビルドアップに対して吉武莉央選手が追い越してプレスをかける形からPKを獲得しました。
相手のボランチ2枚が結構技術があって、ストロングの部分だったので、そこの部分をうちのボランチ2枚がマンツーマンでつく感じになっていた。そのまま相手のボランチに入ったあとに莉央がGKへ自分でいけると判断してプレスしてくれたおかげでPKを取れました。チームの決まりごとを全体でしっかりとやれたと思います。
--PKの蹴り方は助走が短めでタイミングはゆっくり入る感じでした。普段からそうした蹴り方なんでしょうか?
バラバラですね。自分のやりたいように蹴る感じなので、あんまり決まってはないです。
--結果的にはGKにコースは読まれていましたけど、シュートの力で入りました。
カズ(佐相壱明)が「スパイク拭いとけ」って言ってて、本当にそのおかげで芯をしっかりと捉えて滑ることなくいいボールを蹴れました。ちょっとカズには感謝してます。
--蹴る前に手で拭いたんですか?
そうですね。カズが蹴る直前で「拭いとけ」って言うので、インサイドで蹴る部分の芝とか水分を拭いておきました。本当に助かりました。
--ゴールを決めたあとのガッツポーズは見ている方もめちゃくちゃ熱くなりました。どんな気持ちでしたか?
「ゴール一つでみんなの士気が上がるなら」と思って、特に古賀ちゃんはここ3試合の失点の仕方が悪い感じになってしまっていたので、それを鼓舞する意味でも自分が燃えておかないといけないと思って、叫んでいました。
--チームの流れを変えるためのパフォーマンスでもあった。
そういうイメージでやっていました。
--ベンチに下がったあとも、ピッチの外に出てきたボールを松澤選手が飛び出して拾って、スローインを投げる選手に渡そうとしていて、めちゃくちゃ戦っているように見えました。
でも、ボールボーイの子も戦ってくれていたので「いつもサポートしてくれてありがとう」と言いたいです。
--結果的に1-1と、勝ち切ることはできませんでした。勝つためにはあとなにが必要だと感じていますか?
(チームとしては)やれていることはやれているし、足りないところは足りないと自分たちでわかっているので、それを詰めていくこと。個人としては、山雅戦もそうですけど、シュートを打ててない。今回もPKでの一本でしかシュートを打ってないので、僕がシュートを打つことが多くなればチームもいい波に乗れていると言う証拠なので、自分がボールをもらえるシーンを作り出すことをもっとしないといけないと思っています。