《試合結果》
SC相模原 2-1 福島ユナイテッドFC
■得点
74'吉武莉央(SC相模原)
89'藤沼拓夢(SC相模原)
90+4'上畑佑平士(福島ユナイテッドFC)
■Jリーグ公式ホームページ試合結果
https://www.jleague.jp/match/j3/2023/031221/live/#live/
戸田和幸監督
--試合を振り返って。
まずはホッとしています。毎試合毎試合メンバーも変わりながら、チームは進んでいくので。誰が出ても、チームとして常に目指す方向に向かっていくことを確信できたと思います。こうやってチームが一体感を増していく。僕は選手と抱き合うことはあまりないのですが(笑)、うれしかったです。僕にとってはプロの監督として初勝利なので、記念の日といいますか、「勝たせてくれてありがとう」という気持ちはあります。まだまだチームとしてやるべきことは多いですが、勝ちながら着実に進んでいければ良いなと思います。
--公式戦出場が1年5カ月ぶりとなる竹重安希彦選手を先発GKとして起用しました。
(竹重は)チームキャプテンなのですが、年齢、キャリア、人間性と最初から「彼しかいないな」と思っていました。彼は声で励ますことも、動かすこともできて、他の選手からすると安心感につながるし、シュートを打たれる本数が減ります。GKの能力としては、シュートを打たれた時にどう対応するかは大事なんですが、全体をオーガナイズして侵入されないシュートを打たせないことも一つです。トレーニングの状態もよかったので、今回は竹重にさせてもらいました。それは鳥取戦で先発出場した(猪瀬)康介にもちゃんと伝えて。評価は変わらないし、信頼も変わらないけど、(スタメンを竹重にする)理由はこうだよと。
--スタートの並びを5-4-1から4-2-3-1にしたのは、どのような狙いがあったのでしょうか。
システムというよりは「状態」で決めています。今日のように相手が3バックで、ウイングバックがいて、2トップがいるチームに対して、4バックでやるのはかなり挑戦的だなとは思います。だから、自分たちがボールを持って(相手を)押し下げてプレスをする回数をどれだけ抑えられるか、プレスを行った時にどれだけ相手の攻撃を止められるかが試合の後半になってから影響してくるだろうなと。鳥取戦でも前に出る姿勢は示して、ゴールに迫る場面は作れたので、それを大前提にして、どのメンバーだったらできそうかということで、並べてみたら4-2-3-1になったということです。
--松澤彰選手へのポストプレーから、右サイドのデューク・カルロスが相手の背後をとるシーンが何度もありました。
相手がどうプレスをしてくるから、どこにフリーマン(フリーの状態の選手)を作るとかはありますし、トレーニングでも準備はします。ただ、それよりも相手が向かってくる瞬間に、前進しない局面と捉えるのか、向かってきたから、相手の背後にスペースができると考えるのかで全部は変わります。フリーマンを使わないと前進できないということは、僕からすると何かが足りないということです。相手が向かってきた瞬間に、背中をとれるチャンスがあるという。
僕は今日のカルロスはすごく良かったと思っています。彼が開幕戦でスタートから出なかった理由は、彼には伝えていて、今日はそこを変えようという気持ちが見えました。要は、相手(のライン)を越えていくということです。背後をとるための手段はドリブルもランニングもありますが、それをどれだけ発揮できるかを求めてきました。
(松澤)彰のポストプレーからの(デュークの)3人目の動きもありましたが、センターバックの脇がとれた時に、うまくコントロールが決まらなくて侵入できないシーンなども何度かありました。ただ、今の我々としてできるのは、背後をとって、侵入をしていく。それができるように努力することだと思っています。
--前節のシステム(5-4-1)のままであれば、今日の福島とミラーになって、マークをハメやすくなったと思うのですが、あえて4-2-3-1にして、ダイナミックにサイドバックがスライドしながらプレスをかけようとした理由を教えてください。
後ろを5枚にして、ミラーにしたほうが、確かに走らなくて良いかもしれません。ただ、当てはめ方によってはボールを十分に奪えると思っていましたし、それをしようとずっとやってきましたから。相手を把握して、どう戦うかは一生懸命考えられます。システムありきりではなく、スタイルとコンセプトと状態で決めているので、最後まで悩みました。
(プレスに行くためには)ダイナミックに動かなければいけないので、どう動くかは選手たちは頭で考えながらやってくれました。ボールを奪った後の質は上げなければいけないのですが、今の取り組みの中で質を上げながら続けていかない限り、僕たちと選手が上に行くことはないので。今日の相手にも力のある選手はいたんですけど、それをリスペクトしてずっと下がってワンチャンスを狙うようなことをもしもやったら、勝つ負けるじゃなく、先に進まない。選手が自分の未来を切り開くようなことになりません。
今日も選手たちが何人か足をつっていて、彼らはそれだけやってくれている。僕はそれがうれしいし、それでいいと思うし、その上でできることをどんどんレベルを上げていかないといけない。このシステムで成立させるためには、これをしなければいけないから、やろうぜと。体力的にはきつかったと思うんですけど、その先に楽しさを感じられればいいなと思っていて。ハーフタイムにも「楽しくない?」と話をして。全員で戦ってくれたなと思います。
--最終ラインは相手の2トップと、相模原の2センターバックが2対2になる場面も多かったですが、加藤大育と山下諒時の評価については。
福島のFWにはタレントを持った選手がいましたが、僕は大育に言ったのは、「大育、ここは能力で勝つぞ」と。(右サイドバックの)綿引(康)を自分の近くに置くんじゃなくて、前に出せと。なんでそうするかというと、それをしないと上には行けないし、十分にできると思っているし、戦術的に無理があるとも思っていないからです。
プレシーズンとは本気度もスピード感もいろいろなものが違う中で、2センターバックはよくやってくれたなと思いつつ、僕は要求度が高いので、攻撃面についてはハーフタイムにも話しました。もっと落ち着かなきゃいけないし、ドリブルで運んでいかなきゃいけないと。山下は大学を出たばかりですし、大育も関東リーグ(ブリオベッカ浦安)でプレーしていた、いわば“ひよっこ”です。でも、どこまでも行くんじゃないかと期待しているからこそ、僕は目一杯要求していきます。毎試合毎試合、選手が成長するのを見るのが僕は好きです。
--昨年まで九州リーグでプレーしていた吉武莉央選手が素晴らしいゴールを決めましたが、この2試合での彼の評価を教えてください。
ゴールは本当に素晴らしかったです。あんなシュートはなかなか決められませんから。彼は社会人で3年間、酒屋さんで勤務しながらプレーしていた選手です。その中でも夢を持って、ずっと努力してきたんだと思います。トップ下やサイドハーフが主戦場でしたが、今は一列低い位置(ボランチ)でプレーしてもらっています。ボールを非保持のところも、もっと苦労するかなと思いましたが、よくできています。
ただ、本人には開幕戦の後に「吉武莉央はこんなものじゃない」「もっとプレーできる」と伝えました。昨年の地域チャンピオンズリーグで初めて見た時に見えた姿は、まだこれじゃありません。よく走ってくれているし、ボールもとってくれる。でも、もっと“プレー”できる。もちろん、「ありがとう」とは言います。でも、みんなに「もっと、もっと」という気持ちでやっていってほしいと思っています。
GK/21 竹重安希彦
--竹重選手が公式戦のピッチに立つのは、2021年10月の京都サンガF.C.戦以来、1年5カ月ぶりでしたが。
試合前、監督が「とりあえず楽しんでこい」と言って送り出してくれたので、変にプレッシャーを感じることなく、楽しむことができました。個人的にはまだまだ納得はできてないませんが、チームが勝ったことは良かったです。
--前半35分過ぎにファーの上に飛んできたミドルシュートを右腕一本で弾いたシーンがなければ、今日の勝利はなかったのでは。
遠目からのシュートでしたけど、慌てることはなく、対応することができました。
--今季から松本拓也GKコーチと吉川脩人アシスタントGKコーチが就任しましたが、GK同士のトレーニングに充実感はありますか?
2人が来て、充実しすぎなくらいのいいトレーニングができていますし、他の3人のGKともいい競争ができています。今日メンバーに入っていなかった2人(川島康暉、古賀貴大)も盛り上げてくれるし、だからこそGKチームがうまくまとまれているのだと思います。
--戸田和幸監督からはGKがビルドアップに参加する役割もかなり求められているように見えます。そのあたりは今日、プレーしてみていかがですか?
今日は(個人的に)初めての公式戦でしたし、ピッチも乾いていたので、難しかった部分はありました。GKのビルドアップについてももっともっと出せるようにしていければと思います。
--竹重選手は最年長選手ですが、チーム内での役割はどのように意識していますか?
自分から年齢差は感じさせないようにしているつもりで、後輩もイジってくれることもあります(笑)。サッカー選手としては僕の方が少しだけ経験がありますし、戸田監督からも「後ろから声をどんどん出してほしい」と言われているので、試合中に落ち着かせたり、うまくいかない時は助けてあげられるような声かけを意識してやっています。
--「復帰おめでとうございます。ずっとずっと待っていました!」というサガミスタからのメッセージがあったように、竹重選手の復帰を心待ちにしている人は本当に多かったと思います。
1年半以上待ってもらえて、そういう言葉は励みになりますし、ここから少しでもチームやサガミスタの皆さんに恩返しをしていきたいと思います。
MF/13 吉武莉央
--初勝利おめでとうございます。Jリーグ初ゴールとなる先制点を決めて、どんな気持ちでしょうか?
できるだけ早く初ゴールを決めたいと思っていたので、決められて良かったです。その前にも惜しいシュートがあって、今日は「いけるな」という感覚があったので、何も考えずに打ちました。
--得点力については自信を持っている方ですか?
そんなには……(笑)。どちらかと言えばスルーパスを出したりアシストをすることの方が多いです。
--ゴールを決めた後は、そのままゴール裏へと向かっていきましたが。
ベンチに走って行こうと思ったのですが、サポーターの方へ行こうかと思ってゴール裏に走りましたが、全く覚えていないです(笑)。
--これだけの応援を受けながらプレーする経験は初めてだと思いますが。
試合中、僕は応援席の方をよく見るのですが、ずっと声を出してくれるなと思います。しんどい時とかは「もっとやらないとな」と。
--開幕戦は敗れてしまいましたけど、暖かい拍手が起きていました。
僕のイメージですけど、負けた後はブーイングが飛んでくると思っていましたが、サガミスタはそうじゃなくて「次だぞ」と言ってくれて、選手は今週の最初の練習から気持ちを切り替えていたので、そういう声もあって今日は勝てたのかなと思います。
--去年は九州リーグでプレーしていましたが、今年はJリーグのピッチに立ってゴールも決めました。その姿を1年前は想像できましたか?
全く……。今までずっと(Jリーグを)画面越しで見ていて、「なにしてるんだろう」と悔しい思いをずっと持っていました。こうしてゴールを決めてホッとしていますけど、まだこれからだと思っています。
--九州リーグでアルバイトをしながら「プロになるんだ」と腐らずに続けていたからこそ、戸田監督に見つけてもらい華開いたのだと思いますが、どんな気持ちで過ごしていたのでしょうか?
大学を卒業した時に一度「サッカーを辞める」を決断したのですが、(知り合いとの)つながりで宮崎県のFC延岡AGATAに呼んでもらって、そこから3年かかりましたが、自分の中では「3年目が最後の年だな」と思っていました。それで戸田さんに呼んでもらえたのですが、仕事をしながらサッカーをプレーするのは、メンタル的にも体的にもギリギリで、「上に行きたい」と思いながらも「行けるのかな?」という不安の方が大きかったです。
--戸田監督は会見で「もっとできる」と言ってましたが、自分の中ではどこまでの選手になることをイメージしてプレーしていきたいですか?
この2試合プレーしていても「もっといけるな」と自分でも感じますし、今季は僕がリーグ優勝させてJ2へ昇格したいと思っています。
MF/14 安藤翼
--開幕戦はメンバーから外れてしまいましたが、どんな気持ちで試合を見ていましたか?
メンバーに入ってピッチで貢献したい気持ちがあったので、それができず悔しい気持ちでいました。開幕戦は、チームとしては勢いのあるゲームができていて、その中で自分がピッチに立てないことが本当に悔しかったです。でも、「これが今の自分の実力」と噛み締めて、やることは特に変えずやってきました。それで今週はメンバーに選んでもらえて、「なんとかしたい」という気持ちでゲームに入りました。
--ピッチに立つまでは0-0という状況でした。監督からはどんな指示を受けましたか?
(前線で)タメを作ることと背後に抜けてくれということ、一番前で守備のスイッチを入れて流れを作ってほしいといつも言われているので、そういうことを意識してピッチに入りました。
--安藤選手らしいプレーが随所に見られましたが、自分がチームに何かを与えたいという思いがあったのでしょうか?
そうですね。0-0という状況でしたし、なにより勢いを与えたかった。この前の試合はメンバー外で、メンバー外だった選手はみんな悔しい思いもある中で、今回メンバーに入って、そのメンバーの思いを背負っているという気持ちも自分の中では大きくありました。
今はチーム全体で戦っていますし、監督もそういうことを口酸っぱく言ってくれています。メンバーから外れてしまった選手にも可能性は全然残っていますし、誰が出ても大丈夫なくらい全員戦えると思います。今回、こうしてチャンスをもらったら「絶対、ピッチで証明できるんだよ」ということを伝えたかったので、そういう思いを少しは伝えられたのかなと思います。
勝てたことは良かったですけど、個人的には点が取れなかったので、そういうところをもっと突き詰めてやるべきだと思います。そこはしっかり自分を見つめ直して、やっていきたいと思います。
--相手ディフェンダーがクリアしようとしたボールに対して頭で突っ込んでファウルをもらうプレーもあり、そういったプレーは記録には残らないですが、強烈な印象に残ったと思います。
ああいうプレーは見ている人に伝わるものがあると思いますし、あそこで頑張れるか頑張れないかでチームの雰囲気は大きく変わると思います。(松澤)彰もそうですけど、あれだけ体を張って前半頑張ってくれたので、そういうのを見ていると、こちらも生半可なプレーはできません。その気持ちをピッチで表現したいと思っていたので、それを自分のプレーで表現できたことは良かったです。
自分たちはもっとできると思っているので、そういう(泥臭い)プレーもそうですけど、技術的な部分も含めてもっと向上して、会場を盛り上げていけるようにしたいと思っています。
--戸田和幸監督が就任して初勝利を挙げて、サガミスタの皆さんともかなり喜んでいましたが、どんな感想ですか?
プレーしていて楽しいですし、毎日成長できている感覚があります。逆に自分にできないことも見えて、そこでの歯痒さもありますが、チームの中で自分がどんな役回りをするかがこれから大事になると思います。結果でもそうですけど、チームに対しての見えない部分での貢献ももっと大事にしてやっていきたいです。
--安藤選手の「翼」コールも歌われていましたが。
アップの時に聴いてすごく嬉しくて……。開幕戦ではピッチに立てませんでしたけど、今季から声出し応援が解禁されて気持ちが高まりました。応援が勝たせてくれたとも思っていますし、気持ちを入れて、もっともっと上を目指して、次の試合は連勝できるようにやっていきたいです。
MF/24 牧山晃政
--勝利おめでとうございます。初勝利を挙げた率直な気持ちを教えてください。
うれしいのと、ホッとした気持ちでいます。前節、自分の良さを何も出せず、チームにいい影響を与えられず、本当に悔しさしかなかったですが、今日はチームに貢献できたという気持ちがあります。
--開幕戦の試合後、特に悔しそうな表情をしているのが印象的でした。この1週間、どんな気持ちでトレーニングに臨んでいましたか?
正直、スタメンから落ちるだろうなという気持ちでいましたが、ここで落ち込んでいたら始まらないというか、毎日の練習で必死に積み重ねようと意識していました。
--前節は敗れてしまったものの、チームとしてはいい部分があったと思います。そのなかで今日、勝ち点3を得たことはチームとして自信につながるのではないでしょうか?
間違いなく自信につながると思います。「もっといいプレーができるんじゃないか」という感覚も感じたので、そこは練習で突き詰めていきたいです。
--Jリーグで初めてプレーする牧山選手にとって、サガミスタはどんな存在でしょうか?
本当に支えになっていますし、心強いなと思っています。開幕戦の試合後は応援してくれたサガミスタの皆さんのことを思うと悔しくて、涙が出てきたので、今日は勝てて本当に良かったです。
--ここからアウェイでの2連戦が続きます。
アウェイ2連戦でもしっかり勝って、ギオンスタジアムに勝ち点を持ち帰ってサガミスタの皆さんと会いたいです。