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12-23-2022

 お知らせ 

戸田和幸新監督就任記者会見レポート 

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2022年12月22日に戸田和幸新監督就任記者会見を実施しました。 来シーズン代表取締役社長に就任予定の西谷義久(現:取締役COO兼スポーツダイレクター)と戸田和幸新監督の挨拶および質疑応答の内容をお伝えします。


西谷義久 取締役COO兼スポーツダイレクター 挨拶

※2023年2月1日に代表取締役社長に就任予定

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先日、当クラブは来年2月から株式会社ディー・エヌ・エーの連結子会社化と、新たな経営体制についてお伝えさせていただきました。そのような変革期をスタートするべく、トップチームの新監督として戸田和幸さんをお迎えすることができました。

選手としても素晴らしいキャリアをお持ちの戸田さんは、現役引退後も解説者として国内トップレベルのキャリアを築いたのは、みなさんご認識の通りだと思いますが、解説業も指導者キャリアを大きく成功させるための一つとしてこれまで取り組まれつつ、大学、社会人カテゴリーでの指導者としてのキャリアも進めてこられていました。戸田さんと出会って、いろいろなお話をさせていただく中で、多くの情熱と時間を注ぎ、緻密に大変なご準備を進めてこられたことを知りました。新たなクラブが監督に求めるものとして、戸田さんの備えている資質、ビジョンが合致しているものと考え、この度オファーをさせていただきました。

サッカーファンの方々にとっても、戸田さんが監督としてどこまでのキャリアを築いていけるか、期待されている方がとても多いことを私自身も知っていますし、私もその内の一人です。監督としての成功が最も期待される戸田さんを、新たなスタートを切るSC相模原の野心的なプロジェクトの顔であり、重要なリーダーとしてお迎えすることができたことをとても嬉しく思っています。

ここまでの経緯を、想いを含めながら振り返っていくと、あまりに時間が足りないので、またの機会として、お話をさせていただきたいと思いますが、戸田さんの成功がなによりこのクラブの成功と同じ意味だということを理解していますので、共に進む仲間として、可能な限りのサポートを尽くして参りたいです。

戸田和幸 新監督 挨拶

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2023シーズンからSC相模原の新たなプロジェクトの担い手として、監督という重責を任せていただくことになりました、戸田和幸です。

選手を36歳まで自分なりに追求しながら務めましたが、恐らくみなさんの自分に対する認識は解説者の方がすごく強く、それ自体は僕もある意味人生を懸けて、キャリアを懸けて取り組んできた8年でした。一方で選手を務めている間に自分が進む先というのは、フィールドに指導者やコーチといった違う立場として戻ってくるものなんだろうな、と早い時期に感じたこともありました。もちろん、解説業にも自分なりに真摯に取り組んできましたが、欲張りな話ですが、引退してから8年間、コーチとしても勉強し、実戦の場も作りながらここまで務めてきました。

その中で運と縁だといつも考えて生きていますが、僕の横に座っている西谷さんに自分のことをすごく関心を持っていただいたことが始まりで、そこから来季の新しい野心的なプロジェクトに監督という立場で関わらせてもらうことになりました。プロカテゴリーの指導者の立場に就くクラブが、僕の生まれ育った相模原のクラブだということにも運命的なものを感じます。

こだわりを持って色々なことに取り組んできたので、プロジェクトの見栄えがよいとか、自分が生まれ育った土地だからという理由で決めたわけではありません。キチンと人間関係が構築できたり、この人たちと一緒に目指せることに魅力を感じて、自分と一緒にプロジェクトを進めて、夢に向かって仕事をしてくれるコーチングスタッフも参加してくれることになりました。なによりクラブが決断をして、若くてポテンシャルのある選手を集めてくれたことも非常に重要なファクターになります。

前を見て、野心を持って、向上心を持って突き進んで新しいものづくりをみんなでおこなって、成長し続けて発展し続けるクラブの力に僕もなりたいですし、「このチャンスを逃すわけにはいかない」と思わせてくれたプロジェクトであり、オファーでした。

2008年の2月にこのクラブが誕生して、そこから着実に上のステージまでに引き上げてくれた望月重良さんがいて、ここまでクラブを支えてきてくれた選手がいて、応援してくれる方たちがいて、僕らがこの場にいることをしっかり自覚しているつもりです。これまでを大切にしながら、これまでの良いものを残して、今の時代にマッチした僕らの目指すものに強烈な意欲を持って突き進んでいく。新しいプロジェクトのど真ん中にいる自覚をしっかり持って、チャレンジを楽しんで、できる限り大胆にプレーする選手とチームを作れるように一生懸命努力していくつもりですので、よろしくお願いします。

質疑応答

--新加入選手の契約年数がリリースで明かされていますが、新監督の契約年数は何年間の契約年数なのでしょうか?

西谷:戸田さんを含めたコーチングスタッフはみなさん、原則3年の契約からスタートしていきたいと思います。クラブがこれから色々なプロジェクトを前へ進めていきますし、必ず成功できるものだと信じています。そうなった時はもっと長く一緒にやりたいと思っています。
とはいえ、3年というのが今の日本のサッカーの指導者の方々との契約年数において、決して短いものではないというのも理解しています。これから成長して、向上していって高みを目指していくプロジェクトなので、そこには短期的な成果だけではなく、着実にチームとして、クラブとして、成長していくには時間が必要です。「そのための時間を」という考えでいます。
監督、コーチのところは準備ができず(就任リリースには)書けなかったですけど、選手のところは契約年数を出させてもらっています。伝えたかったこととしては、今までいろいろな選手が変わってきた歴史がある中、それは意義があることだと思いますが、これからDeNAとして腰を据えて色々な取り組みを進めていく中で、選手を頻繁に変えていくよりは、チームとして組織的に、個人の成長も時間をかけてやっていきたいからです。そのことで得られるものを優先したいという考えと、サガミスタを含めたサポートしてくださる方々にとっても、「来季またいなくなるかもしれない」というよりかは、少しでも長く応援できる方が愛着を持ってもらえると思いますので、その過程をお伝えした形になっています。

--2017年にS級指導者ライセンスを取得して、そこからライセンス上はJリーグの監督を務めることができたと思います。ですが2023年までJリーグでは監督をせずに様々なカテゴリーで指導をしてきた理由、このタイミングでJリーグの監督を引き受ける決断をした理由を教えてください。

戸田:元々、プロフェッショナルのカテゴリーで今の立場を志していたのは事実です。36歳まで現役を務めた時に、同じフットボールの中でもプレーヤーとコーチというのは、立場が全く違うものなので、自分が選手としてたくさんの監督・コーチと仕事をしたのは事実です。自分が実際にその立場になった時、そういった心構えを持って、ある程度の実戦を積んで、ある程度の積み重ねが必要だと思っていました。
これはライセンスを取るタイミングと自分が次のステージにどのタイミングで行くかというのは、自分の思い描いていたものと違う場合も多いです。いわゆるこのプロフェッショナルのカテゴリーに「飛び込んでチャレンジしよう」とは全く考えていませんでした。自分のことはすごく期待していますけど、その一方で自分に対してすごく心配している部分もあります。その立場に立って、自分としてできることを見つけていきました。場所が変われば自分の在り方が変わるというのは、選手の時に色々なクラブでプレーしたので、これはよく分かっています。集団を束ねる立場として、僕はどれだけのことを実践しながら作っていけるかを考えたので、トップカテゴリーに力を入れて大学から始めさせていただきました。今季はプロ選手もいますし、「プロになりたい」という選手もいた中で指導させてもらいました。
あとは、先ほども言いましたが、ずっと運と縁だと思っていました。大学からそのままジャンプアップするというよりは、今季社会人カテゴリーでプロキャリアのある人たちと一緒に僕の立場で関わってものを作った時に、自分がどれだけのことをチームと選手に対して提供できるのか、サポートできるかというのを感じながらやってきたところもありました。その中で今回、このプロジェクトが来季から始まるというタイミングでお話をいただきました。
僕が生まれ育った土地ですし、お付き合いのある方たちと目指していける場所が見えました。自分がS級を取る時に自分の中で思い描いていたものを考えても、ここで飛び込まないと嘘になるなというくらいの素晴らしいお話でした。監督業というのは、就任した瞬間にクラブから去ることに向かって仕事をするので、自分が関わらせてもらう間に、いかに残せるか。クラブの求める方向性に対して、より良いものを作って残せるかということを心に持って、「相模原だからゆっくり」ということは考えていないですが、信頼を僕に寄せていただいたことに感謝をしながら目一杯チャレンジする、そこをすごく意識してこれから取り組みたいと思います。

--昨季のSC相模原の印象と改善点は?

戸田:全部の試合は当然見ていないので、細かいところまでは言えないですが、競った試合が多かったと思います。ボールもしっかりと持っていた。あとは実際にゴールを奪うための進入の部分と進入をする中での切り替えの部分も出てくる。あくまで外から見ていた人間なので、過ぎたことに対して批評的なことを言える立場ではないですけど、ボールを持った中でどれくらい点が取れそうな場面を継続して作れるかというところと、相手がボールを持った局面でもう一度奪い返すとか、ゴールに向かうためにボールを奪う作業が他のチームと比べると少し足りなかった部分があるのかもしれません。そういった小さなところで勝負は分かれますから、これはこれから自分が仕事をしていく上で重要なことだと思っています。
足りない部分とか足りている部分というのは、逆に言えば中にしっかり入った上で、つぶさに観察しないと言えないことでもあると思っていますので、そこは控えさせていただきたいです。僕が目指すものに対して、相模原というチームに必要なものを理解した上で、見ている人に伝わるものを一生懸命作っていきたいです。常にゴールを目指した中ですべてのアクションを起こすということを補足でお伝えさせてください。

--J2、J1への昇格なのか、目指していきたい具体的なものを教えてください。

西谷:成績とか、その先のことに向かって期待されていることもクリアしていかないと、成功とは言えませんし、そこを目指していきたいので、それを脇に置くことはできません。ある意味DeNAのスポーツとしても、野球、バスケットと取り組んできて、われわれが高揚感のある観戦体験を安定的に供給できるようになることが、フットボールでも重要なことだと思っています。まずお願いしているのは、われわれは「エナジーフットボール」と表現していますが、そこに向かって、お客さんがワッと盛り上がって、高揚感を感じられるような、ゴールを奪う可能性のあるシチュエーションを多く作るために守備も攻撃もより多くチームとして形作って、表現してもらうことを戸田さんにお願いしています。その先に成績やディビジョンのことがついてくると思いますので、そこに向かって取り組んでいきたいです。

戸田:土台を作りながら、継続して勝ち続けられるチームを発展できる形で構築できるようにすることが一つです。フットボールは得点が入る回数が多くないスポーツですけども、見に来てくださる方たちと画面越しに見る人たちに高揚感を与えたい。感情の起伏を感じてもらうには、ゴール前の場面が必要だというのは、当然ながらのことです。
物事を確実に安定しておこなおうとすると、フットボールというのは難しさや怖さが出てきます。目の前の対戦相手がGKを含めたら11人います。最後の一人を越えて相手のゴールに押し込むためにどれだけのものが必要かというのをメンタリティの部分からしっかりと持つ。要は相手を越えていくために、勇敢さが必要になります。もちろん緻密なものも必要ですけど、エラーが起こり得るものなので、より前に進んでいくとか、相手より先に出るとか、1点でも多く取って試合に勝っていく気持ちの部分を全体に伝えていく。あとはチームとしての枠組みがあるので、それを選手に見せながらやっていく。
ただ選手個人の成長によって、チームはどんどん変わっていきます。個人とチームはつながった上で、すべてをおこなうことも必要だと思います。だからと言って個人は組織の奴隷ではありませんし、枠組みと方向性に乗った上で、個人にフォーカスして、どんどん成長してもらって、できることを増やしていけば、チームはどんどん先に進んでいく認識でいます。常にチャレンジングなマインドを持って、ものづくりにしっかり励んでいきたいです。目先の結果は当然重要ですが、自分たちが目指すものの中で右肩上がりにいきたいです。必ず躓く時期や難しい時があるので、だからこそ自分たちの中に目指すスタイルを含めて共有した中で、ピッチでパフォーマンスを発揮できるチームを作りたいです。

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--新加入選手が多い中、どんなチーム編成にしていきたいと考えていますか?

戸田:エナジーフットボールというキャッチフレーズからイメージされるものを考えて、そこにしっかり乗ることが重要だと思っています。ただそれが選手の可能性を狭めるものであってはいけないと思っています。やはりフットボールは、プレーすることが一番の喜びです。プロフェッショナルのカテゴリーでボールを持たない局面がどれだけ重要かというのは、今回のW杯をご覧になっても認識したと思います。
いついかなる状況でも、相手に立ち向かって、ボールを持ってない局面でも常にボールに向かえるようなチームを作る。ざっくりしたイメージですけど、ボールは一つしかないですから、一つのボールをお互い奪い合う中で、ゴールになんとか押し込むのがこのスポーツです。一つのボールをどのように捉えて、個人としても自信を持って勇敢に、という部分がグループに繋がる形で、すべてをおこなえたらと思います。
そういう意味では、フィジカル的なポテンシャルが重要な時代でもあります。全体的な部分だけでなく、身体的な部分で伸びしろがあるような選手を、クラブに頑張って集めていただきました。あとは、自分を中心としたコーチングスタッフがどれだけ選手個人に必要なサポートができるかで、すべてが決まってくると思います。人間関係はしっかり構築されて、長く時間を過ごしてきたコーチに入ってもらっていますけど、僕の頭の中にあるものをしっかりさらけ出してみんなに伝えたいと思い、コンセプトを毎日作って、共有できるように、その中でより良いものができるような議論をおこなってシーズンに入りたいと考えていて、できればクリスマスまでには終わりたいと思っています。

--指導者としては今までJリーグクラブには行かず、あえて大学と東京都リーグで指導されていましたが、ここまで積み上げてきた経験を今後どのように生かしていきたいと考えているか教えてください。

戸田:どの組織に入ることができるかというのは、運であったり縁だと思っています。現役を終えた後にそういう話をいただいたことはありますけど、現役が長かったので、広く見ながら自分に必要だと思われる経験と学びを得なければいけないと思いました。引退をして、フリーの立場になって、解説業というものも戦略的にと言ったらそれに該当するかもしれませんが、自分というものをある意味、再提示させていただくことも含めて関わらせていただきました。
また、何人もの指導者に自分から向かっていって、定期的にトレーニングを見させていただいたり、お話を聞かせてもらうこともありました。吉田達磨さんもそうですし、ロティーナさんとイバンコーチもそうですが、自分の時間と足を使って色々なものを学ばせてもらいながら、自分としてどういう指導者像を作れるかを同時進行でやってきました。その中で自分が入れる場所は限られるのかなと思っていました。あとは、運ですね。そういった話が出た時に、僕はあまりレベルとかカテゴリーではなく、そこにいる選手たちがフットボールに対して「真剣に取り組むんだ」という意図があれば、その人たちに対して自分が何をできるかというのを自分が探って、自分の中で新しい発見があったり、チームに対して自分ができることを見つける作業が指導的立場に就く者として必要な経験かと思いました。
そういった意味では、慶應大学ソッカー部のCチームから一橋大学で2年指導をして、最終的には社会人の都リーグでSHIBUYA CITY FCにコーチとして関わらせてもらいました。少しずつ競技レベルが上がるのか、監督の立場を務めさせてもらったので、全体をマネジメントする中で、自分としてテーマを持って取り組みました。
最終的にプロカテゴリーでトップとして仕事をするという時に、プロ選手はある意味特殊な生き物ですから、個人勝負なところもあります。自分の日々のパフォーマンスで立場や契約が変わってくるという厳しい世界で生きる人たちです。やってみなければ分からない部分もありますけど、自分もその時間が長かったことも思い出しつつ、コーチの力を借りながら、自分でいろいろ場所に行って関わらせてもらって、やってきたものを、クラブにもコーチングスタッフにも共有させてもらいながら、みんなの力を借りて、その時々の最適なものを導き出しながら、進む方向性に対した仕事ができたらと思います。

--UEFAチャンピオンズリーグをはじめ、世界最高峰の試合をこれまで解説されてきましたが、これからはJ3で指揮を執ります。カテゴリーを超越した魅力やピッチ上での醍醐味は?

戸田:解説者として仕事をさせていただく中で、確かに本当にレベルの高い大きな試合を担当させてもらえたことは自分にとってすごくありがたかったです。そのもの自体を僕自身がキチンと読み解きつつ、みなさんに必要な情報を届けられるかという意味での経験になりました。それと現場での指導は違うなと感じさせてもらい、リアルなものを目の当たりにしながら、その人達とそこにあるものを大切にしつつ、目指す目標を作りながら、集団としての目標もそうですけど、個人の目標も重要になってくるので、そこをしっかりリンクさせながらどういったサポートができるかがコーチの仕事だと思いました。
そういう意味ではカテゴリーは関係ありません。ただトップカテゴリーに近いところの大学から始めたのですが、選手によってサポートの仕方は全然変わってきますし、個人的なフィードバックを渡す方ですが、それ自体が必ずしも効果的になるものではないというのも変わってくると、色々学びながらここまで来ました。SC相模原であれば、チームはもう構成されて、選手が集められて、みんなで突き進むのですが、それも一つのものづくりであります。その中でいろいろなことがありながら、挑戦的に物事に取り組み、日々のトレーニングでおこなってきたことを踏まえて、試合でパフォーマンスを発揮した時に、そこで見られる自然発生的な現象も含めて、選手の成長をすごく感じられたり、トレーニングでやってきことを踏まえてこんなことをできるようになってきたとか、その最終的な結果として「勝利」というものを手にできた時に喜びを感じられる。
選手より自分が前に出て、喜びを爆発させようと思ったことはないですけど、選手の時に自分が感じていた喜びとはまた違うものが今の僕の立場にはあると、4シーズンいくつかのチームで仕事をして感じてきました。選手たちが自発的に物事に取り組めるような場所の中で、フットボールは難しい状況が発生しますから、そこをできる限りサポートしつつ、選手たちが日々おこなってきているものの中で挑戦して、ものごとを作っていったり、困難を乗り越える姿を見られるのは、この立場に就いて一番喜びを感じられる瞬間です。来季からは自分をサポートしてくれるコーチングスタッフもしっかり揃ったので、すべてのパワーを一つに結集させて作っていける確信があります。その先にあるものが何かを創造すると、今からすごくワクワクしていますし、今まで以上に勝利の喜びを感じられるんじゃないかと思いますし、そういったものをみんなで作っていけるのが今の僕の立場の醍醐味ですね。

--理想とする監督像は?

戸田:いません(笑)。誰にもなることはできないですから。ただ、自分はどういった人間かというのと、どういった強みと弱みがあるのかというのをずっと探しながらここまで来ました。だからこそ自分が学びたいと思う人に自分から近づいて、時間をいただいたりしてきました。自分は自分でしかないというところをすごく感じてきた4年でした。これからも変化しながら進んでいくと思いますけど、これが自分だというものをみなさんに伝えられるような指導者になっていけたらと思います。1月10日から新しい活動が始まりますが、選手に最初に伝えるのは、志を長く持とうということと、勇敢に大胆にプレーしようということを伝えると思うので、そういったものを自分からしっかりと表現したい。そういった取り組みを恐れなくサポートできる指導者になりたいです。そして、新しいものづくりをしていきたいです。

--ピッチ内外でルールを決めたり、色を出すために考えているプランは?

戸田:プロフェッショナルな大人なので、オフザピッチのところを細かく管理しようとは思っていません。自分も含めて地域や子どもたちに対して、憧れになっていきたいし、そうなっていかなければいけない立場です。そう考えた時に、どういったあり方が相応しいのか、どういった立ち振る舞いが望まれるのかというのは、自然と見えてくるものがあると思います。クラブと一緒にそういったものは見つけていきたいです。ただ、自分らしさは失ってほしくないですし、個性は重要です。簡単に言えば、髪の毛の色を変えちゃいけないとか、そういうのはないです。僕がそれをやっていたので、そういうのは言えないです(笑)。ただ、スポンサーの方もファン・サポーターもそうですが、いろいろなところでSC相模原の人間として出向いた時に、相手に気持ち良く挨拶ができたり、そこから繋がりが出るような人であることはすごく重要です。その土地土地でいろいろな人と会うこと自体がクラブを広めていく重要な役割を担っている自覚をみんなで持つ。そういった人間の集まりとしてすべてに向かっていくとじわじわ広がるものがあると思います。

--新たに加わる選手が多く、これから白いキャンバスに描いていくような方向性を感じます。どんなコンセプトで取り組んでいくのか。

戸田:まずはビジョンが一番重要です。その上にプロジェクトがあって、エナジーフットボールがある。そこに対しての選手を見つけていく作業があります。自分が関わると決断するまでに、クラブは時間をかけて未来ある選手を集めてくださっていました。あとは残りの枠の選択に僕も入らせてもらい、地域リーグの試合を見に行ったり、獲得を希望する選手とオンライン面談させていただいて、プランや期待していることを伝えました。逆に選手が期待することも伝えてもらいながら、加入していただくところまで持っていきました。クラブには、自分の考えは最大限採用する形で進めていただきました。非常にありがたく思いますし、それは当たり前なことではないなと、責任をしっかり感じて一生懸命取り組んできました。

--ほとんどの選手が20代前半の選手ですが、どんなチームを見せられると感じていますか?

戸田:エネルギッシュなものを目指すという、大きなものがあったとすると、フットボールにおいてエネルギッシュとは何かという話になりますが、それはずっとところ構わず走り回るということではないです。自分たちのプレースタイルは、試合の展開に応じて必要な時に必要なアクションを最高の強度と連続性でおこなうことが重要になってきます。
あとはテクニックの部分も、グループアクションのところも必要になりますが、身体的な部分だけを見て獲得しているわけではないです。年齢に関しては、クラブにある程度決めていただいた部分はありますけど、その中で目指すものが心にあるかどうかが重要です。それを確認させてもらった上で、選手に声をかけたり、面談した時に決めてもらうところに至っています。
ボール保持も当たり前にしますし、今回のW杯を見ても、モロッコ代表はボールを持ってもしっかりプレーできていました。フランス代表やクロアチア代表と対戦する時に、非保持の割合が大きくなるのなら、まず非保持からしっかりゲームを作るとか、何のためにそれをおこなうかと言えば、ボールをゴールに送り届けるためです。最終的にはプレーをするわけで、その中でどういった内容を目指すかというだけなので、そういう意味ではきちんとプレーをする前提で、魅力的に常にゴールを目指せる選手とチームを作る。それが一言で言えば、エネルギッシュなんでしょうし、鋭さが出るだろうと思います。それを身体的にもメンタル的にもたくましくおこない続けることのできるチームを目指したいと思います。

--開幕までに選手が増える可能性はあるのでしょうか?

西谷:あと数名、メディカルチェックなど契約書のサインが済んでいない選手がいますが、編成は基本的には終えています。23人のフィールドプレーヤーにプラスしてユースの選手と4名のGKで来季はスタートします。

--地域リーグ時代から応援している地元の方が多く、新シーズンに向けての期待感が高まっていますが、サガミスタの皆さんへ向けてメッセージをお願いします。

戸田:大それたことを言うのは、あまり得意じゃないので、期待をしていただいて非常に嬉しく思いますし、期待を裏切らない努力をする約束はさせていただいた上で、スタジアムに来て、その場所にいる時間がその人たちにとって、日常の何かを忘れさせてくれたり、次に向かう活力を与えられるような空間にしたいというのが一つです。チームの中の細かい話とは別のところで、チームを見ていたらわくわくして、選手個人の顔が見えて、誰がプレーしているか分かるようなチームにしたいです。これまでのチームにも素晴らしいキャリアを持った選手はたくさんいたと思いますが、これからのチームは、これからの選手がたくさん揃っています。 サガミスタのみなさんにとって顔と名前が一致しない選手がたくさんいると思いますが、そういう選手たちがどんな形で成長して、チームがどう変わっていくかをぜひ楽しみにしていただけたらと思います。対戦相手やピッチ上で起こる小さなエラーや大きなエラーを恐れず、ゴールに向かって野心的に、たくましくプレーできるようなチームを目指します。ホームタウンの方たちにもSC相模原の存在が常に頭の片隅にあったり、メディアの方たちにもSC相模原の話題を取り上げてもらえるような存在になっていきたい。僕は現場の人間なので、現場を通して良いものを作るというのが、一番の仕事ですが、そういったものをクラブにうまく発信してもらいながら、地域に対しての存在感を出していって、ある意味シンボルのような存在となれるようにチャレンジをしていきたいです。