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07-28-2020

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KITAKEN MATCHREPORT Vol.32 『未来を変えろ』

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KITAKEN MATCHREPORT Vol.32
vs いわてグルージャ盛岡
『未来を変えろ』


0-1。

接戦だったとか、惜しかったとか、前向きな言葉は当てはまらない。ここまで勝ち点1、最下位だったいわてグルージャ盛岡に、あろうことかホームで初勝利を献上してしまったのだ。あえて言うが、痛恨の敗戦だった。

第6節でSC相模原はヴァンラーレ八戸から今季2勝目を挙げた。和田昌士のゴールで幸先よく先制しながらハーフタイムを目前に追いつかれてしまう。それでも後半から出場したホムロが決めて勝ち越す。終盤は猛攻を受けながらも、体を張って守り抜いた。

6節を戦い終えて2勝3分で勝ち点9の4位。順調に勝ち点を積み上げていくブラウブリッツ秋田、ロアッソ熊本、ガイナーレ鳥取に食らいつくには、八戸戦、岩手戦では2連勝して勝ち点6がどうしてもほしかった。

三浦文丈監督は八戸戦でベンチスタートだった3人を戻して、現時点でのベストメンバーで岩手戦に臨む。GKはビクトル、DFは夛田凌輔、田村友、富澤清太郎、星広太、ダブルボランチは梅鉢貴秀、鹿沼直生、サイドは右が松田詠太郎、和田昌士、2トップはユーリとホムロ。

記者席から見ていた僕は、いつもの試合と同じように、両チームのスタメンの配置をノートに書き始めた。「おかしいな」と感じたのは、相模原のスタメンを書き終えて、岩手のシステムを書き始めた時だった。

4-4-2、じゃない……。

試合前に配られた岩手のメンバーリストにはDF4人、MF4人、FW2人と記されていた。これまで5試合で採用してきた4-4-2だ。しかし、実際の並びは今までと違っていた。秋田豊監督は3-4-3へシステム変更を行なってきた。

三浦監督は「少し面食らった」と正直な感想を漏らしている。

「相手が4−4−2で来ることを予想していたのですが、始まってみたら3−4−3じゃないかなというふうになって、そのバタつき感というのはちょっと出てしまったかなと思います。それが、ゲームの入りが若干悪くなってしまった原因かなと」

それでも、最初にチャンスをつかんだのは相模原だった。13分、DFラインの背後に飛び出したユーリがGK飛び出してきたGKに引っ掛けられてPKを獲得したのだ。だが、キッカーのユーリから見て右に蹴ったボールはGKに完全に読まれてしまう。

この日の岩手は最下位のチームとは思えないぐらい積極的なプレーが目立った。16分、19分と立て続けに狙ってきたミドルシュートは、どちらもGKビクトルのビッグセーブがなかったら失点してもおかしくはなかった。

それでも42分、相模原に再び決定的なチャンスが訪れる。ユーリのスルーパスにオフサイドラインをかいくぐった松田がGKと1対1に。しかし、シュートはGKに当たってしまい、右ポストを叩いて外れる。2度の大きなチャンスを逃し、前半をスコアレスで折り返す。

「90分終わったときに勝っていればいい」

三浦監督がハーフタイムにかけた言葉は、前半が決して満足のいくものでなかったことを表している。

後半、相模原がボールを保持する時間が増えた。前半は攻撃参加が少なかった夛田と星が高い位置をとって、相手を押し込んでいく。だが、ゴールが生まれたのは相模原ではなく岩手だった。

54分、岩手の選手がクリアしたボールを田村が足を伸ばしてカットしようとするが触りきれず、前線に走り込んだ岸田和人につながってしまう。岸田は戻ってきた富澤をかわしてシュート。ここまで再三のビッグセーブで救ってきたGKビクトルでも止めることはできなかった。

「自分たちがゴールをしようと前がかりになっていたところで、良いクリアができずに相手のボールになってしまいました。前がかりになっていた分、どうしても守る人間も少ない中で、相手のFWが良いアクションを起こせたのかなと思います」(ビクトル)

1点をとったことで岩手は完全に引いて守りを固めてきた。スペースがない状態では、ユーリや松田といったアタッカーのタレントが生きにくい。有効な攻め手を繰り出せないまま、じりじりと時間が過ぎていく。

相手が引いて守ってきたのであれば、ターゲットマンの三島康平を早めに投入して、クロスボールを放り込むというオプションがあってもよかったかもしれない。だが、Jリーグ通算200試合出場となったストライカーがピッチに入ったのは90分+2分だった。

0-1。

三浦監督は試合後のロッカールームでは選手たちにこう伝えたという。

「まだ6節だし、下を向いている時間はないよ。このあとすぐに秋田戦があるし、首位のチームなので、引きずり下ろそう」

中3日で迎えるアウェイのブラウブリッツ秋田戦。昨年まで相模原で活躍したGK田中雄大が移籍したチームは6連勝で首位を独走中だ。6試合連続クリーンシート(無失点)という結果が示すように鉄壁の守備を誇る。

お互いに堅守速攻型。それだけに、どちらが1点を先にとるかが命運を分けるだろう。この試合のようにPKや1対1といった決定的なチャンスを外してしまっては勝利は遠のいてしまう。

どんなに後悔しても、過去は変えられない。だが、未来は自分たちで変えることができる。相模原の選手たちは、この敗戦を糧にして、どんな未来をつくっていくのか。



取材・文 北健一郎(SC相模原オフィシャルライター)