2011シーズンがいよいよスタートした。東日本大震災による延期で前期4節からの開幕となった第45回関東サッカーリーグ。 SC相模原は、アウェイ扱いながら、本拠地である相模原麻溝公園競技場で、ACアルマレッザと対戦した。 記念すべき開幕戦に先発したのは、GK佐藤、DF天野、中川、金澤、八田。中盤は中央を坂井とクリスティアーノが務め、右サイドには村野が先発した。 左サイドには、古賀が1月に行われたKSL入替戦で退場処分となり、今節、次節ともに出場停止ということもあり、吉岡が先発に抜擢された。前線では齋藤と新加入の松本が2トップを組む。 先制点は16分だった。それは戸塚監督が掲げるサッカーの真骨頂が表れた瞬間だった。自陣から中川が縦パスを入れる。FWの齋藤が中盤まで下がって、左サイドの天野へと経由する。攻撃参加した天野はドリブルすると、前線にスルーパスを送った。それに呼応したのが吉岡だった。吉岡はディフェンスラインの裏に抜け出すと、GKを交わすように、鮮やかにゴールへと流し込んだ。 40分にもゴールは生まれた。天野のロングボールが前線でバウンド。松本がオフサイドの位置にいたかに見えたが、審判が流すと、これを村野が拾う。そのまま村野はゴール前までドリブルしてシュート。2点目を奪取した。 ただし、前半はこれで終わらなかった。この日の会場は、後半に強い雨がピッチを叩きつけたように、強風が吹き荒れていた。その風がGK佐藤の判断を狂わせる。前半ロスタイム、ACアルマレッザが左サイドから入れたクロスの目測を誤ってしまう。風の影響でGK佐藤はキャッチミスすると、そのままゴールへ。2-1で後半を迎えることになってしまった。 ところが、僅差という状況が、リズムを狂わせたのか、SC相模原はミスにより自滅した。指揮官は言う。 「まだ指導をはじめて2カ月だけど、選手たちに僕の言葉がきちんと届いていないのではないかと思ってしまった。それほど、今日はミスが多かった。確かに風は強かったけど、それでもこのくらいの環境ならば、狙いどおりのサッカーをしてほしかった。それくらいのレベルになってもらわないと……」 環境のせいなのか、それとも焦りなのか。選手たちはミスを繰り返していく。縦パスを入れるのだが、それを途中でカットされ、あわや逆襲を食らいそうになる。前線でボールが収まらず、攻撃しようにも連動性がない。先制したようなシーンが作りだされる場面は減っていった。 59分、戸塚監督は松本に代えて森谷を、村野に代えて鈴木を投入する。先発した松本は、「ゴールを決めたいという気持ちが強すぎて空回りしてしまったかもしれません」と、開幕戦を振り返った。 その後もなかなか試合を決めることはできずにいたが、74分にようやくゴールは生まれた。決めたのは途中出場した森谷だった。坂井が自らドリブルで中央を駆け上がると、左サイドに流れる。そして、吉岡とのワンツーから、ゴール前でフリーになっている森谷へパス。森谷はそれを胸でトラップすると、反転して鮮やかにゴール右に決めた。 さらに森谷は82分にも追加点を決め、結果的に4-1で試合を終える。「スタートとしては最高です」と、2得点に喜んでいるものの、チームの攻撃に関しては、「リズムに乗れない時間帯もあった。縦に急ぐのもいいけど、状況を見極めて、つなぐときはつなぐ、縦へ入れるときは入れる。チームとして判断していかなければ……」と、課題を実感していた。 後半相手にシュートを1本も打たせなかったが、それでもミスから攻撃に打って出られ、危ない場面もあった。勝利の喜びというよりも、次節に向けて、課題が露呈する試合となった。
原田 大輔