
2016年7月3日15:00KICK OFF@相模原ギオンスタジアム
SC相模原 0−2 栃木SC
[得点]
相模原:
栃 木:53分大石治寿、58分西澤代志也
|猛暑の中行われた試合に敗れ、リーグ戦4連敗
「こんなところでバラバラになっているようではダメだと思う」
——深井正樹
「もし、サッカーを変えなければならないなら、それは監督のせいではなく自分たちの実力不足」
——曽我部慶太
「悔しい。何度も言っているかもしれないですけど自滅ですよね」
——佐藤健
「もう少し、一人ひとりが戦わないと、この連敗は脱出できない」
——工藤祐生
7月3日に行われたJ3リーグ第15節、SC相模原は0−2で栃木SCに敗れた。この黒星により、リーグ戦4連敗。なかなかトンネルを抜け出せない状況に、いつもは明るく振る舞う薩川了洋監督も、さすがに落胆の色を隠せなかった。
「今いる選手たちの中で、勝てる何かを見出さなければならないということを考えたら、今やっているサッカーを貫くということは少し考えなければならないのかなって、自分の中で少し揺れ動いているよね」
試合後の記者会見では少しばかり弱気になり、チームの方向転換をも匂わせるコメントを発した。
|ミスが多かった前半を無失点で乗り切ったが……。
リーグ戦3連敗を喫していた薩川監督は、メンバーを変更して栃木戦に臨んだ。主なテコ入れは失点が増えていた守備である。GKに佐藤健、CBに安藝正俊を先発で抜擢すると、これまで2列目やボランチでの起用が多かった岩渕良太を右SBで起用した。
対戦相手の横山雄次監督も「勝ったからと言って、全部が良かったわけではない」と振り返ったように、決して試合展開が一方的だったわけではない。むしろ、ピッチコンディションが、試合前に約36℃を記録した猛暑の中では、甲乙付けがたいほどに、どちらも内容に乏しく、試合は停滞していた。
とにかく、相手のミスも多ければ、SC相模原のミスも多かった。後方でボールを回して、攻めようと縦パスを狙えば、それが相手の足に引っ掛かり逆襲をくらう。相手のプレスをかいくぐり、何とかサイドへと展開したかと思えば、スペースに走り込んできた選手へのパスが合わない。
まさに自滅である。ボールを保持してはミスにより失い。失っては慌てて奪い返す。その繰り返しの中では、チームが意図する形で、相手ゴールに迫れるはずもなかった。
それでも猛暑によりクーリングブレイクが適用され、3分間の中断があった前半を0−0で終えられたのだから、SC相模原ペースと見ることもできただろう。
|勝負と考えていた後半立ち上がりに失点
だが、迎えた53分、栃木に右CKを与えると、そのクロスからFW大石治寿に綺麗なヘディングシュートを許し、痛恨の失点を喫する。
記者には後半が始まると、両チームの監督が指示したハーフタイムコメントなるものが配られるのだが、SC相模原の欄には「先に1点取ろう」と記されていた。その用紙が手元に届くよりも先に、SC相模原は失点したのである。さらにMF飯田涼に代えてDF天野恒太を投入した直後の58分には、勢いづいた相手に再び押し込まれると、最終ラインのクリアが甘く、MF西澤代志也に鮮やかなミドルシュートを右上に決められて万事休す。
劣勢時のパターンであるかのように、FW服部康平を投入してパワープレーに打って出たが、ゴールを奪うことはできず、SC相模原は0−2で敗戦した。
「課題はいくらでもあります」と深井が話したように、あまりに散在しすぎていて書ききれない。薩川監督も自分の哲学に迷いが生じるほど、ポゼッションサッカーをピッチで体現することはできなかった。さらに相手を自陣に引き込むことで効果を発揮するショートカウンターも、結果的にフィニッシュするところまでは辿りつかず、この試合のシュート数はわずか4本。それでは0−2を跳ね返すどころか、追いつくことすらできるはずもなかった。
また、守備で言えば、またしてもセットプレーから失点したように、個々の意識が明らかに欠如している。ゾーンではなくマンツーマンで守っているだけに、責任の所在ははっきりしている。チームとして苦しい時間帯を耐え、相手が疲弊してきたところで勝負を懸けようとするならば、なおさら安い失点は減らさなければならない。
|それでも今シーズンのチームに期待する理由
もはや、あそこが悪い、ここが悪いと羅列している次元にはない。今一度、チームの方向性を見つめ直さなければならないだろう。自分たちのサッカーとは何か。苦しいときこそ、チームとして立ち返る場所をはっきりさせる必要がある。
ここで踏みとどまるのか、それともこれまでのシーズンと同じく、暗いトンネルを歩いていくのか。チームは瀬戸際に立たされている。
4連敗という今シーズン最大の苦難に直面し、チームには様々な意見が出てくる。実際、曽我部も「失点した後は、前は点を取りに行こうと攻めに行くし、後ろは苦しいから下がる。そうなることで全体がどうしても間延びしてしまった」と、攻守の言い分を感じてもいた。
ただ、今シーズンのチームには、どこか今までとは違う期待感がある。弱気な発言も見られた指揮官だが、最後はしっかりとこう締めてくれた。
「ただ、指導者であるオレが揺れ動いたらダメ。押し通すか、変えるかでは選手が揺らいでしまうので、こっちもクビを懸けてやっているし、代表に何を言われようと押し通そうかなと。自分の中でもこの4連敗は重く受け止めている。自分の中でしっかりと整理して、やっていきたいと思います」
チームには川口能活を筆頭に経験者も多い。むしろこの窮地をどう乗り越えていくのか楽しみでもある。だからこそ、冒頭に記した深井の言葉を信じたい。