10月 14 2017

13/J3第27節秋田戦マッチレポート

投稿者: at PM 10:54  記事カテゴリー: 試合結果



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2017明治安田生命J3リーグ第27節

2017.10.14 13:33KICKOFF@相模原ギオンスタジアム

SC相模原1−1ブラウブリッツ秋田

[得点]相模原:13分梅井大輝/秋田:66分前山恭平

|梅井のヘディングシュートには伏線があった

まるで続編というか、前節のマッチレポートの続きを書いているような錯覚に陥る。13分に、DF梅井大輝が決めた今季初得点には、実は伏線があったからだ。

ホームにブラウブリッツ秋田を迎えたSC相模原は、13分にこの試合2本目のCKを獲得した。キッカーの辻尾真二がニアにクロスを上げると、194cmの長身を誇る梅井が、打点の高いヘディングでボールを叩き付ける。まるでバスケットボールのダンク、もしくはバレーボールのアタックを思わせるような強烈なシュートは、GKが反応するよりも早くゴールに飛ぶと、ネットを揺らした。

ただ、このとき、歓喜する選手たちの輪を横目に、筆者の頭には疑問符が浮かんでいた。

話はキックオフ1時間前に遡る。ピッチレベルでは、選手たちが入念にストレッチを行い身体をほぐしていた。その様子を眺めていた安永聡太郎監督と目が合うと、指揮官が近づいてくる。今日は「4バックですか? 3バックですか?」と声を掛けると、自然と試合の話になった。その流れから、たまたまセットプレーについての話題に及ぶと、指揮官は冗談ぽくこう言ったのだ。

「あまりにセットプレーから得点できていないから、ウメ(梅井大輝)には、『今日はお前、全部おとりだからな』って言ったんだよね」

その発言を聞いていたらから、なおさら梅井がCKからゴールを決めた事実が不思議だったのである。だから試合後、梅井をつかまえると、開口一番にそのことを聞いた。

「試合前に、今日はおとりになれって言われていました。実際、他の選手はセットプレーから得点を決めているという事実もありますし、自分は得点できていなかったので、そう言われても仕方がないとも思いました。でも、ヘディングには誰にも負けない自信があったし、自分が勝負したいと思っているプレーに対して、そう言われたことが悔しかったんです。だから、自分は(守備だけでなく)セットプレーでも得点できるんだぞということを、監督にもう一度、アピールしたいという思いがあったんですよね」

だから、梅井は試合前に、キッカーである辻尾にお願いしていた。

「1本でいいから、自分のところにクロスをあげてほしい」

その梅井の悔しさであり、心情が理解できたからこそ、辻尾は思いに応えたのだろう。梅井が続ける。

「そう伝えていたら、真二くんから良いボールが来た。本当にボールが良かったので、ドンピシャで合わせられました。ジャンプすれば勝てると思っていたので、あとは相手のマークと駆け引きすればいいだけだったんです」

その伏線を知り、映像を見返せば、得点を決めてガッツポーズをした梅井が、キッカーの辻尾と抱き合うときに、はにかんでいたのも頷ける。まさに秋田から奪った1得点は、反骨心を、悔しさを、パワーに変えた気迫のゴールだった。

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|セットした前向きの守備が奏功した前半

結果的に、引き分けに終わった試合は、リードして折り返した順調な前半と、失点しただけでなく押し込まれた後半という課題を浮き彫りにした。

前節の琉球戦で4得点を奪った4−4−2システムを継続した前半は、まさに完璧ともいえる守備を披露した。2トップを務める久保裕一とジョン・ガブリエルが、前線から果敢にプレスを掛けてプレッシャーを与えると、苦しくなった相手が出した縦パスを、千明聖典とサムエル・アウベスのダブルボランチが奪い切る。背後を狙われても梅井と工藤祐生のCBが確実に弾き返す。そこから攻撃に転じると、回数こそ多くないものの、相手ゴールに迫った。

29分にはロングボールのこぼれ球を拾ったジョンのパスから、左サイドの新井瑞希が中へと切り込み、シュートを放つ。33分にもサムエルが味方とうまくパス交換しながらゴール前に迫ると、最後は久保が粘って、ジョンがシュート。前半アディショナルタイムにも、右サイドの普光院から展開されたパスを、駆け上がった左SBの保﨑淳が狙った。

敵将である杉山弘一監督も、前半について「縦にパスを入れられず、横パスが増えた」と振り返ったように、SC相模原のセットした前向きな守備は奏功していた。その守備が効果的な攻撃をも生み出していた。

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|運動量が落ちてからの戦い方、巻き返し方

一方で、押し込まれて2失点した前節に続き、今節も後半の戦い方が課題となった。特に顕著なのが、運動量である。途中交代した久保裕一、サムエルに限ったことではなく、60分を過ぎると、全体的に足が止まりはじめるのだ。安永監督もそこを指摘する。

「どうしてもガクンと(運動量が)落ちてしまうので、それが体力という理由がひとつと、我々の(ボールを保持している)時間帯があまりにも少ないというところがある」

失点したのはまさに指揮官が、運動量の低下を懸念して、菊岡拓朗の交代を準備しようかというタイミングで起こった。

66分、最終ラインからボールをつながれ、左サイドを突破されると、その折り返しを前山恭平に決められた。特筆すべきは、CBがゴール前を固めたやや後ろで、前山が完全にフリーになっていたことである。一気にサイドを突破されたことで、本来、ケアしなければならないはずの選手たちが戻りきれずにいた。それは、前半からハードなプレスを掛け続けてきた弊害とも言えるだろう。前半から相手の縦パスをインターセプトし、かつ60分には自ら駆け上がると惜しいミドルシュートを放った千明が言う。

「前半は相手のスピード感であったり、攻撃の狙いもはっきりしているから守備がやりやすい感じはあったんです。でも、普通ならばあれくらいやれるというか、あれがベースにしなきゃいけない。そのベースができつつ、どこかでボールを奪い切るという作業が今のの感じ。守備のスタートが掛かるタイミングもスイッチが入っているけど、ラインを下げられたらもう一度、守備のやり直しみたいな状況がずっと続いてしまう。これをもう少し早くボールを奪えれば、体力の消耗度も変わってくると思うんですよね」

チームとして“どこから”、“どこで”“どのように”奪い切るかをより明確にすることで、無駄に体力が削られる状況を避ける。それによって今は60分しか持たないチームとしての運動量を70分、80分と増やしていく必要がある。チームとしての守備戦術であり、チームとしての攻撃の形が見えてきたからこそ、勝ち切るにはベースを守りつつ、さらにクオリティーを上げていく必要がある。

キープ力のある菊岡を投入してボールを保持する時間を増やそうと試みたが、全体的にラインが下がった中、再び押し上げられるまで、一人でキープするのは酷というものである。テクニックに長ける菊岡といえども、数人に囲まれれば、ボールを保持するのは難しい。追加点を奪う、チャンスを決めきることも当然ながら、60分過ぎの戦い方であり、後半の巻き返し方は、前節から引き続き、再考すべきポイントであろう。

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|引き分けても守護神・川口がポジティブだった理由

後半立ち上がりに迎えた窮地を好セーブで救うなど、逆転されていてもおかしくはなかったピンチを防いだGK川口能活が、その課題について言及する。

「以前はどこを修正すればいいかが分からなかったですけど、今は後半になって運動量が落ちてきたときの戦い方とマイナスのクロスに対する守備。課題ははっきりしているので、そこさえ修正できれば、チームは立て直せると思います」

アウェイでの藤枝MYFC戦を挟み、ホームに戻ってくるのはドリームマッチが行われる10月29日、第29節のカターレ富山戦となる。それまでに浮き彫りとなっている課題を克服・修正し、よりチームとして成熟できるか。

川口の言葉どおり、今シーズンの流れを振り返れば、この傾向すら喜ばしいことなのかもしれない。チームは何を改善し、どこに向き合えばいいかがはっきりとしている。