4月 01 2017

02/J3第4節北九州戦マッチレポート

投稿者: at PM 11:50  記事カテゴリー: 試合結果



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2017明治安田生命J3リーグ第4節

2017.04.01 13:00KICKOFF@相模原ギオンスタジアム

SC相模原1−0ギラヴァンツ北九州

[得点]相模原:13分オウンゴール/北九州:ー

|連敗の不安を払拭してくれる一戦

正直なことを言うと、かなり心配していた。いや、心配というよりも不安だった。

第2節のガンバ大阪U-23に1−0で勝利したものの、退場者をふたり出した相手に攻めあぐねていた。続く第3節のFC東京U-23戦は0−1で敗戦。システム変更を行った後半は、相手に主導権を握られ、選手たちが混乱している様子も見られた。心配だったからこそ、天皇杯県予選準決勝も取材に赴いた。その桐蔭横浜大学戦にも1−2で敗れ、今季も天皇杯本戦出場を逃していただけに、さらに不安は増していた。

そうした状況のなかで迎えたJ3第4節、ギラヴァンツ北九州戦は、筆者が抱いていた懸念を払拭してくれる一戦となった。

天皇杯を含めた今季の4試合を経て、安永聡太郎監督が選手たちに落とし込んだのは、まさに原点回帰——安永監督の言葉を借りれば「整理」ということになる。

採用する4−1−4−1システムには、前節と全く同じメンバーが先発した。メンバーもシステムも変わらない中で、SC相模原は劇的とも感じられるほどの変化を見せるのだが、違ったのはシンプルな指示だった。

試合後に指揮官はこう説明してくれた。

「U-23チームや大学生との試合では、ボールを握る時間のほうが多いと思っていたので、握り方の練習をやり続けていた。でも、僕がやりたいのは、ポゼッションではなくポジションプレー。だから、どのようにポジションを取ってボールを動かすか(が大事になる)」

指揮官の言葉を言い換えれば、U-23チームを相手に戦った過去2戦は、ボールを保持できる状況にあったため、選手たちが良いサッカーをしようと、色気であり、欲を出してしまっていたという。そのため、プレーであり事態を複雑にしてしまっていたというのだ。

だから、天皇杯県予選から中2日しかない状況で、指揮官は主にふたつのことを選手たちに意識させた。

「距離感の整理とボールを持ったときの統一感」

工藤祐生や梅井大輝といった最終ラインの選手には、前線の久保裕一にボールを当てることを徹底させた。

「後ろからつないで行くのではなく、開幕戦のときみたいに、シンプルに前線に蹴るというか当てる。そのセカンドボールを(菊岡)拓朗くんと千明(聖典)が拾えれば、あのふたりはパスも出せるのでマイボールにできる。チームとして、前と後ろの距離感を意識してできていたから、特に前半はセカンドボールも拾えていたし、ダイム(呉大陸)も自分が好きなゾーンでプレーすることができていたと思う」(工藤)

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|全体がコンパクトになったことで先制点は生まれた

4−4−2を用いる北九州に対して、相模原はまず前線にボールを供給し、久保が身体を張ってそれを落とした。ここまでは確かに開幕戦でも見られた動きだが、さらに異なっていたのは、ゲームを作る役割を求められる菊岡と千明の動きである。安永監督はふたりに「今日に限ってはランニングマンになってくれと言いました」と、狙いを明かした。

ふたりがセカンドボールを拾おうと走ったことで、久保が競ったボールをことごとく拾った。2列目のワイドを担った普光院誠もその効果を実感していた。

「千明さんとキクさん(菊岡)がボールを拾うポジションもよくて、そのおかげで、久保くんが競ったときに、オレとダイムが前に行けて、後ろを(ふたりに)任せられた」

菊岡と千明がまさに黒子と言わんばかりの働きを見せたことで、前線から最終ラインまで、全体がコンパクトになった。かつ普光院と呉という仕掛けられる選手が前を向いてプレーできる局面が圧倒的に増えたのである。試合後、呉は「自分がやりやすいフォーメーションにしてくれて、自分の持ち味を少しずつ出せてきている」と語ったが、過去の試合よりも、呉がやや後方でボールを持ち、自らドリブルで打開する場面が増えたのも、チームとしての意図があったからだ。

まさに先制点はその状況から生まれた。12分、前向きな守備により工藤が相手のボールをクリアすると、呉へとわたる。呉は左サイドをドリブルで持ち上がると、そのままペナルティーエリアに侵入。ファーに久保が走り込んでいる状況で、呉は「(シュートでもクロスでも)どっちでもいいといえるようなボールを蹴った。ファーのほうでどうにかなってくれと思って入れたら、相手が足を出してくれたので良かったですよね」と語ったように、結果的にオウンゴールにはなったが先制点を奪取した。

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|悪い流れを断ち切り、ホームで勝ちたかった

1−0で折り返した後半も、全体の距離感が乱れることはなかった。52分に菊岡が負傷交代する不運に見舞われたが、ここでピッチに送り込まれた川戸大樹が、「槍」(安永監督)の役目を担ったのである。普光院が中央にポジションを移し、川戸がサイドに入ったことで、運動量を武器とするこのふたりが、前線から相手を追い続けた。

「自分の特徴としては裏に抜け出して走るということろが持ち味。後ろの状況も見ながらでしたけど、ひとつ追ってダメでもふたつ目も追うことができるので、そこは相手と駆け引きしながら、相手の嫌がるポジションを取って追いかけていた。キクさんや千明さんはボールを配球することはできますけど、僕はやっぱり走ることですからね」(川戸)

決定機で言えば、北九州にも35分に左サイドからのクロスを茂平に落とされ、小松塁のシュートミスに救われることもあったし、60分にも左サイドを突破されると、茂にドリブルで運ばれてシュートされる場面もあった。FWジョン・ガブリエル、DF米原祐を投入して3バックにシステム変更していた試合終了間際にも、強烈なミドルシュートを浴び、GK藤吉皆二朗のファインセーブで助かったシーンもある。だが、最後のところではやはり今季のチームを象徴する身体を張った守備で1点を守り切って勝利をつかんだ。

そこには選手たちにもホームで初勝利を挙げたいという思いがあったのだろう。

「一番はホームで勝ちたいという気持ちがみんなの中にありましたし、みんな、声掛けも含めて、ポジティブな声が多かった。天皇杯で負けていましたし、この悪い流れを断ち切りたかった」(普光院)

「後半は勝っていることもあって、展開的にもきつい時間帯が多く、ラインが下がってしまったところもありましたけど、身体は張れていた。今季も勝つときって、きっと、こんな感じなのかなって思う」(工藤)

「ピンチもありましたけど、それも多くは自分たちのミスからだった。4試合終わってこういうロースコアの試合運びになってくるんだろうとは思いますけど、手応えをつかめただけに、来週もう1試合やって勝てたら波に乗れたと思うので、そこは残念ですね」(岡根直哉)

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|相手の分析をも凌駕した勝利。大事なのは次の試合

北九州の原田武男監督は「相模原さんも前回のゲームから改善されていた部分がありましたので、私たちが分析した以上のパフォーマンスが出たんじゃないかなというふうには感じています」と、試合を振り返ったが、SC相模原は、まさに前節の状況を大きく改善させたことになる。

考えを整理することで、チームとしても個々としても、やるべきことが明確になった。それにより全体がコンパクトになり、守備においても、攻撃においても、選手たちは前を向いてプレーする時間帯であり局面が圧倒的に増えた。

ただし、その手応えもまだ1試合である。持ち前の運動量で攻撃を活性化させ続けた普光院はこう語った。

「次の試合が大事になってくる」

少しずつ持ち味を発揮できるようになってきている呉も表情を引き締めた。

「守備をゼロで抑えれたというのは自信になる。あとは攻撃陣が2点目を取って、がんばっている守備を助けることができれば。この勝利を良いきっかけというか、これからの材料にしていきたい」

2点目に関して言えば、先制後の17分に呉が再びドリブルでゴール前に持ち運びシュートする好機を迎えていた。また、63分には途中出場した川戸も得点チャンスを作り出していた。だが、試合を有利にする2点目が遠く、自分たちで苦しくなる状況に陥ってしまったのも事実である。

J2昇格を目標にしている北九州に勝利したことで、広げた掌の中にぼんやりと形が見えつつある。その形状をより具体的なモノへと浮かび上がらせるには、次の試合、すなわち連勝が重要となる。SC相模原は自信を確信へと変えられるか。

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