9月 12 2016

Vol.12 J3第21節大分戦マッチレポート

投稿者: at AM 12:32  記事カテゴリー: 試合結果



20160911_MR_J321_012016年9月11日15:00KICK OFF@相模原ギオンスタジアム

SC相模原 0−3 大分トリニータ

[得点]

相模原:—

大 分:45+4分、61分清本拓己、47分三平和司

 

|前回対戦したときとは明らかに違う実感

記者会見場に現れた安永聡太郎監督の第一声は「悔しい」のひと言だった。

SC相模原は、大分トリニータをホームに迎えたJ3リーグ第21節で0−3と敗戦した。就任当初より日焼けして精悍さを増した若き指揮官は、記者の質問に一つひとつ丁寧に答えながら初采配を振り返った。その時間は約14分。大分の片野坂知宏監督の会見が約5分だったことを考えれば、その注目度と熱量は推し量ることができるだろう。

0−3という数字だけを見れば、確かに一方的に感じられもする。だが、前日に安永監督からゲームキャプテンに指名されたDF工藤祐生の言葉を聞けば、手応えを実感できた。

「終わって見れば確かに0−3という結果ですけど、アウェイで対戦したときの0−3とは全く違う内容だったと思います。アウェイのときは本当に手も足も出ないという感じで、相手の圧力に屈して、雰囲気にも飲まれて負けたけど、今日は違った。だからこそ余計に負けたのが悔しい」

J3リーグ第11節でアウェイに乗り込んだときも、SC相模原は0−3で大分に敗れている。GK川口能活が「チームとして全く歯が立たなかった」と、その試合を表現したように、多くの選手が大人と子どもくらいの実力差を痛感させられたと話していた。だが、安永新監督の初陣となった第21節では、結果こそ0−3だったが、未来への可能性を感じさせる内容を示してくれた。

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|テーマである前向きの守備で前半は優位に進める

「チームの基本は4−1−4−1」とシステムについて話す安永監督だが、いきなり相手を驚かせた。初采配とあって、もともと相手にSC相模原の情報が少ないという状況を利用して、3−1−4−2システムを採用したのである。しかも3バックのセンターには、本来MFの坂井洋平を起用。両サイドの曽我部慶太と牧内慶太の“ダブルケイタ”が高い位置を取り、前線から相手に圧力を掛ける姿は、まさに奇襲そのものだった。

全体的に高いライン設定をすることで、6分にはパスミスから相手にミドルシュートを、13分にはDFの背後を突かれてゴール前に侵入されたが、GKを含めた最終ラインの踏ん張りでしのぐ。そして、15分が過ぎようかというとき、システムを4−1−4−1に変更。3バックのセンターを務めていた坂井は左SBになり、牧内が右SBに入る。井上平と岩渕良太の2トップは、岩渕が右サイドMFに落ちることで、スムーズにシステム変更を行ったのである。

3−1−4−2を採用した15分間に得点が奪えなかったことに関しては「甘かった」と安永監督は話したが、少なからず相手が動揺したのは事実だった。シュートは、25分にMF普光院誠が放ったミドルシュートまで待たなければならなかったが、相手よりもボールを保持し、優位に試合を進めていた。

際立っていたのは、安永監督もテーマとしていたように、選手たちが前線から積極的にプレスを掛け、“前向きな守備”をしていたことだった。アンカーに入った飯田涼も「少しは相手の攻撃を潰せたところもあったと思いましたし、うちのペースでもあった。前からボールを奪いに行く中で、CBの2枚とシャドーの2枚との距離感を意識してプレーした」と振り返る。攻撃も同サイド、例えば、岩渕と牧内の縦の関係で崩したり、36分にはその牧内のアーリークロスからFW井上平が惜しいシュートを放つなど、見せ場を作った。

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|前半終了間際、後半の立ち上がりに失点

ただし、前半終了間際の45+4分に、DFルーカスが冒したファウルから、MF清本拓己に直接FKを決められてしまう。さらに後半開始早々の47分にもFW後藤優介に裏へと走られて1対2の状況になると、最後はFW三平和司にゴールを許して0−2とされた。さらに61分、カウンターを許し、後藤、MF鈴木義宜と繋がれると、最後は清本に3点目を決められてしまった。

「前から守備をはめたかった」と話した安永監督は、55分に送り込んだ深井正樹に続き、61分にトロを投入。システムも再び3−4−2−1に変更するなど試行錯誤したが、前掛かりになった結果、決定機をより多く作ったのは大分で、得点を奪えぬまま敗れた。

確かにゴール数、シュート数、決定機の数でも上回ったのは大分だった。彼らはチャンスを確実に決めただけでなく、67分に服部康平を投入した後には、大分もメンバー変更を行い3バックにシステムを変えて対策を講じてくるなど、試合巧者でもあった。だが、前述した前向きな守備に加え、随所で選手たちに追い越す動きやスペースで受ける動きなどが生まれていたように、精度が高まってくれば、この試合では生まれることのなかったゴールが近いことを実感させてくれた。

守備に関しては、チーム全体として前掛かりになる中でリスクマネジメントをしなければならないという課題を露呈したものの、安永監督は「点が入らなかったから、3失点してしまったからといって、後ろに人数を掛けるということはやらない」と、はっきりとした意思を示した。

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|次の試合ではいかなる成長曲線を描くのか

また、0−3で迎えた67分に服部を送り込み、パワープレーに打って出たように見えた攻撃にも明確な意図があった。前線でターゲットになった服部自身がそれを教えてくれた。

「DFから逃げるように指示された。右サイドで持ったら左へ。左サイドで持ったら右へ。そこから折り返したり、周りに仲間が集まってきて展開しようと練習でもやっていた。ただ、ヘディングで競り勝った後、どこでボールを拾うかという共通意識がまだ完全にできていなかった。そこを話し合えれば、もっとボールを拾える確率は上がると思う」

大分と対戦したこの1試合の中でも、システムは3−4−2−1と4−1−4−1を使い分け、攻撃はサイドもあれば中央からの崩しもある。また、状況に応じてはロングボールも多用する。さまざまな攻撃を見せながら得点を奪うことはできず、結果だけを見れば完敗ではある。だが、それでもなおワクワクしているのは筆者だけだろうか。早く次のゲームが見たいという気持ちを掻き立てられる試合だった。次節はどのように課題を克服し、どのような成長曲線を描いてくれるのか。そして、そのベースにあるのは、選手たちが90分間ですべてを出し切る姿にある。

指揮官はこう言って会見を締めくくった。

「90分終わったときにみんながぶっ倒れるくらいになっていてほしい。それで、たとえ結果がついてこなかったとしても、見に来てくれた人たちに何かを与えられるとは思っています。プロなので結果にこだわらなければいけないと思いますし、それを追求していかなければとは思いますが、今日終わったときにぶった倒れた選手がゼロだったので、練習の中でもっと走って、試合の中で出せるようにしていきたい」

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