11月 15 2015

第19回11月15日「J3第38節vs長野戦マッチレポート」

投稿者: at PM 10:38  記事カテゴリー: その他



2015明治安田生命J3リーグ第38節

2015年11月15日 13:00KICK OFF@相模原ギオンスタジアム

SC相模原2−0AC長野パルセイロ

[得点]

相模原:14分樋口寛規、22分高原直泰

長 野:

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|ホーム最終戦で完封勝利という最高の結果

降っていた雨が止むと、試合前には陽の光が差してくる。気がつけば、スタジアム上空には青空が広がっていた。それはまるで、試合が進むにつれて期待感を増していくサポーターたちの心境を表すようだった。

11月15日、SC相模原は相模原ギオンスタジアムにAC長野パルセイロを迎え、今シーズンのホーム最終戦を戦った。14分にFW樋口寛規が先制点を奪取すると、22分にはFW高原直泰が追加点を奪ってリードを広げる。後半こそ押し込まれる時間帯もあったが、GK佐藤健のファインセーブと集中した守備により無失点で切り抜け、2−0で勝利した。

ホームでの勝利は9月20日に行われた第29節のJリーグ・アンダー22選抜戦以来となる4試合ぶり。無失点で終えた試合と言えば、前回、長野と対戦した第23節以来13試合ぶり(スコアは0−0)で、完封勝利に限って言えば第19節のY.S.C.C.横浜戦まで遡らなければならなかった。

しかも、3位・長野はこの試合に勝利しなければJ2昇格が断たれる重要な一戦。その相手をホームに迎え、SC相模原は完全なる勝利を収め、ホーム最終戦を白星で終えた。

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|就任わずか12日での劇的な意識改革

チームを劇的に変えたのは、就任からわずか12日の新指揮官・松原良香監督と、選手たち一人ひとりの意識だった。前節のFC琉球戦に続き、ホーム最終戦にも勝利した松原監督は、安堵した表情でこうコメントした。

「このチームを最初に見たときはもう本当にバラバラでした。一番大事なのは、個の部分なのですが、まず変えたのは意識改革のところです。選手たちが動けない要因としては、自信をなくしてしまっていたところと、(SC相模原に)J2ライセンスがないというところ。特にこの時期の選手たちはナイーブになりますからね。そのところを踏まえて、自分たちが何をモチベーションにしていくかということを取り組んできました」

松原監督が選手たちに訴えたのは、戦う意識であり——すなわちハードワークすることだった。近年、ハードワークという漠然とした言葉だけが一人歩きしている嫌いがあるが、松原監督は具体的にそれを選手たちに落とし込んでいった。

「絶対に諦めないことですよね。1分、1秒も絶対に逃してはいけないということ。具体的にはまず走ること、優先順位を決めること。例えば、自分のマークを見ていて、こっちが危ないのであれば、そこに行く。それは優先順位ですよね。すなわち、人のためにプレーするということです」

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|選手の距離間が改善されたことで生まれた得点

前半からアグレッシブに戦うSC相模原の選手たちは、J2昇格に望みを懸ける長野を飲み込むほどのモチベーションで戦った。高原、樋口が前線から積極的にプレスを掛けると、2列目、3列目が連動した守備でボールを奪取していく。指揮官が明確に提示したハードワークと、「良香さんからは縦横30mと言われている」(安藝正俊)というコンパクトなサッカーで主導権を握っていく。

14分には中央で須藤右介、曽我部慶太とつなぐと、井上平から縦パスが出る。これに「DFの裏へ走るようにという約束事がある」という樋口が、見事に抜け出して、2試合連続となるゴールを決めた。

「ファーストタッチでうまくボールを置けたので、後はファーサイドを狙って蹴りました」(樋口)

先制点を奪取した樋口は「前よりは選手同士の距離が近く感じる。特に前線4人の距離が。取られても誰かが必ず近くにいてくれる」と話す。

全体をコンパクトに保つことによる効果は攻撃にも如実に現れていた。樋口も強調する互いの距離間がプラスに作用していたのが、22分に高原が奪った追加点である。ペナルティーエリア内の混戦で高原が仕掛けると、混戦から樋口や曽我部が絡み、そのこぼれを、再び後ろから走り込んできた高原がゴール右スミに決めた。まさに距離感が近いからこそ、波状攻撃が繰り出せる。樋口がつぶれても、曽我部がつぶれても、高原が……それが追加点を生んだ。

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|DFだけでなく、チームとして守る意識

守備にも安定感が生まれた。2点のビハインドを追う長野は当然、後半に入りシステム変更や選手交代など、さまざまな策を講じて巻き返そうとしてきた。

だが、相手の圧力に屈することなく、SC相模原の選手たちは落ち着いた対応を見せた。さすがに試合終盤の89分と90分には、立て続けにシュートを浴び、GK佐藤健の好セーブで難を逃れるという窮地もあったが、それでも無失点に抑え切れたのは、守備に対する個々の責任や役割が明確になったからだ。

CBとして最終ラインを統率する安藝はチームの変化をこう言葉にする。

「スライドとかチャレンジ&カバーとか、特に言われているのは、ラインのアップダウン。良香さんは練習中でも止めて、細かく指示してくれる。前線の選手がどこからプレスを掛けるかもはっきりしているので、その瞬間に全体がぱっと意識して動き出していく。だから、迷いがない」

、CBだけでなくサイドMFとも連動した動きを求められている右SBの寺田洋介も自信に満ちあふれている。

「以前は曖昧なままだったところが、いまは細かく指導してくれるので、チームとして何が良くて、何がいけないのかがはっきりしている。全員で守備というものを考えることができている」

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|SC相模原の未来、自分たちの未来につながる勝利

試合後の選手たちの表情を見れば、充実感が手に取るように分かる。たまたま攻撃がはまってゴールできたのではなく、自分たちで意図して奪えている。たまたまピンチを凌いだというのではなく、チームとして組織的に抑えることができている。

今シーズンもアウェイで戦うブラウブリッツ秋田との最終節を残すのみだが、SC相模原の選手たちは、自分たちもこれだけやれるという手応えを感じている。そこには3試合の暫定ながら指揮を引き受けた松原監督の「自分たちの未来に、相模原の未来につながる勝利」という思いがある。

だからこそ、最後は、今シーズン限りで現役を引退し、新たなる道へと進むことを決意した須藤の言葉で締めたい。

「勝利は未来のSC相模原につながっていくし、僕もそこで貢献できれば、次の道に進むときの糧になっていく。最後、残り1つ、今日までやってきたことを無駄にしないためにも勝ちたい。秋田でSC相模原はまだ1回も勝ったことがないと聞いたので、最後、結果を出して終わりたいですね」

SC相模原の未来へつながる、自分たちの未来を切り開く勝利を——。