SC相模原

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10-09-2017

 試合結果 

12/J3第26節琉球戦マッチレポート

20171008_MR_J326_01 2017明治安田生命J3リーグ第26節 2017.10.08 13:30KICKOFF@相模原ギオンスタジアム SC相模原4−2FC琉球 [得点]相模原:31分、34分ジョン ガブリエル、45+1分、66分普光院誠 琉球:75分増谷幸祐、83分田中恵太 |アクシデントによるシステム変更が奏功 4−2−3−1ではなく3−4−2−1、3バックを採用して臨んだSC相模原にアクシデントが起こったのは、試合開始4分のことだった。ペナルティーエリア手前で放った相手のシュートを、DF岡根直哉がもろに顔面で受けてしまう。ピッチにうずくまった岡根はしばらくして立ち上がる。その後も走れていたし、ボールも蹴れていたが、どこか足下がふらついているように見えた。 岡根の横でプレーしていたDF梅井大輝が状況を振り返る。 「目がふわっとしている感じがして、頭だったので、ちょっと危ないかなと思った。そのあとのプレーが悪かったわけではないんですけど、目を見て話してみても、どこかおかしいなと感じた」 積極的にコミュニケーションを取っていた梅井の判断も良かったのだろう。前半16分を過ぎたところで、岡根は自らピッチを後にした。予期せぬアクシデントにより、早くも交代カードを使うことになった安永聡太郎監督は、岡根の代わりに、そのままDFを投入するのではなく、FWの久保裕一を送り込む。潔く3バックを諦めると、「この形はぶっつけ本番だった」(安永監督)と言うように、システムを4−4−2に変更したのである。 ただ、これが奏功した。 スムーズにシステム変更に対応し、最終ラインを統率した梅井が説明する。 「今週ずっと3バックで準備してきましたけど、今季は4バックをメインでやってきたので、(CBでコンビを組む工藤)祐生くんとも4バックになってからは、特に声を出し合って、中を閉じて引き締めようと話していた」 SC相模原は後半、FC琉球の怒涛の攻撃に晒されることになるのだが、運動量のあった前半は、サムエル・アウベスと千明聖典のダブルボランチによって、相手からボールを奪い返すと、反撃に出ることができていた。もちろん、相手の攻撃を食らうこともあったし、シュートも打たれたが、組織的な守備で最後のところではやらせなかった。 20171008_MR_J326_02 |上出来ともいえる4得点のゴールラッシュ そんな状況で生まれた先制点だった。「結局は個…だよね」と安永監督が試合後に語ったように、ゴールをこじ開けたのは9試合ぶりに先発起用されたジョンだった。 31分、スローインの流れから、ジョンはこぼれ球を拾うと、長い足を活かして相手DFを次々に交わし、左足でシュートを決めた。さらに34分にもジョンは追加点を挙げる。 高い位置でMF普光院誠がボールを奪い返したプレーがきっかけだった。普光院は駆け上がる左SBの保﨑淳につなぐと、前線の新井瑞希が受ける。新井が切り返してファーサイドに挙げたクロスに、飛び込んだジョンが頭で決めたのである。立て続けに2得点を奪ったジョンが回想する。 「1点目はこぼれ球が自分のところに来て、前に仕掛けられる状況だったので、さらに前に侵入した。そこからパスの選択肢がなったので、シュートを選んだんです。2点目は、展開的にファーにクロスが来るかなと思っていたので、外にポジションを取った。そうしたら、自分の考えどおりに新井から良いクロスが来たので、ゴールを奪うことができましたよね」 今季の展開を考えれば上出来である。41分に与えたPKでは、FW富所悠がGK川口能活の気迫に押されたのか、シュートを外してくれるツキもあった。それ以上に、今日のSC相模原は、これだけでは終わらなかった。 前半終了間際の45+1分だった。中央でこぼれ球を拾った千明が、左前方を走る新井へロングボールを供給する。諦めずに新井がDFと競ると、バックパスに対応しようとしたGKのミスを誘発。詰めていた久保が粘って右にパスを出し、走り込んだ普光院がフリーでシュートを決めた。 3−0で折り返した66分には、保﨑淳のクロスから普光院はヘディングでダメ押しのゴールを決める。ジョンと同じく2得点の普光院が振り返る。 「1点目のほうが緊張しましたね。ふかさないように意識して決めました。2点目はジョンがファーにいたので、被らないようにジョンを基準にして動きました。そうしたら(保﨑)淳くんと目があって、良いところに上げてくれたので、あれは綺麗に決められたと思います」 20171008_MR_J326_03 |3連敗に悔しさを滲ませていた梅井大輝の思い 1点奪うことが苦しかったチームが今季初の4得点。ただし、運動量が落ちたその後は、琉球の反撃に苦しんだ。前線から広範囲に渡って守備をしてきた久保とジョン、さらに中盤の底を担うサムエルに疲れが見え始めると、相手の攻撃を食い止めることができなくなる。許した2得点がいずれも綺麗なミドルシュートだったように、簡単にバイタルエリアで前を向かせると、フィニッシュまで持ち込まれた。 結果、矢のようなシュートを浴び、後半だけで22本。前後半合わせて34本も打たれれば、4−2で勝利したとはいえ、課題も出る試合となった。梅井が勝利を喜びつつも、厳しいコメントを残したのはそのためだ。 「疲れて、中盤から前のスライドができなくなってからは、ほとんど防戦一方になってしまった。あそこで、自分たちがボールを持てるように工夫していかなければいけないですよね。僕ら後ろとしても、クリアするときは大きく蹴って、ラインを上げて、相手コートでプレーする必要があったと思う。(川口)能活さんとも久々にゼロで抑えたいよなって話していた中で、2失点してしまったのは、課題ですけど、なかなか得点できなかった中で、4得点奪えたことはポジティブに考えたい」 そう言うと、不甲斐なかったここ最近の試合について言及した。 「YS横浜戦では(自分のところで)ああいう失点をしてしまって、気持ち的にも悔しい思いはあって、(前節の)北九州戦も含めてプレーに迷いもあった。でも、今日は自分の原点に返って、自分の良さは何かと考えたときに、ヘディングだと思ったし、身体を張ってプレーするところだと思った。だから今日はそこを意識してシンプルにプレーしようとした。結果的に失点はしたけど、防げた場面もあったので、そこは自信になるかなと」 20171008_MR_J326_04 |それぞれの悔しさがパワーになった勝利 勝因は多々ある。システム変更した4−4−2がはまったこと。前半に得点できたこと。さらには、いずれのゴールも、追求してきたペナルティーエリアの角を取れたこともひとつだろう。だが、梅井が話してくれたように、選手それぞれの悔しさが、結果となって表れたように思えてならない。 2得点を奪ったジョンは、第7節の沼津戦でも2得点を挙げたが、第15節のC大阪U−23戦を最後にゴールから見放され、さらにはケガで戦列を離れなければならない時期もあった。そのジョンが語る。 「ケガをしていたにもかかわらず、戻って来てすぐに監督がチャンスをくれた。そこにはゴールを期待してくれていたと思うし、結果を出すことができたかなと思っています。FWとしてはこれに満足することなく、毎試合ゴールを奪うことを考えて、チームのためにゴールを決めたいと思います」 普光院にしても同様だ。第22節の長野戦ではPKを外し、チームが0−1で負けた責任を感じていた。 「ずっと得点できず、はがゆかったところはありました。でも、(今季初ゴールを記録した)鹿児島戦がそうだったように、良いところにいたから(今日は)得点できたんだと思います。だから貪欲にそこは狙っていきたい」 一度、プレーすると、その後が止まってしまう。普光院が指揮官から指摘されてきたことだ。琉球戦で彼が決めた2点目は、自身が右から挙げたクロスが流れて、折り返したところに走り込んでの得点だった。まさに動き直したからこそ決まった得点だった。 開幕戦以来となる先発出場を果たしたサムエルが言う。 「自分のサッカー人生において、これだけ長い間、試合に出られなかった経験はなかった。その中でケガをしてしまったこともありますけど、自分自身を見つめ直して、ポジションニングやインテンシティなど、いろいろなことを考えた。ときには午後に一人でトレーニングをしたこともある。神様を信じて努力してきた積み重ねが、こうしてまたチャンスにつながったのかなと思います」 梅井、ジョン、普光院、サムエルだけではない。計34本のシュートを浴びながらも、2失点に抑えたGK川口能活も、出場機会を失っていた千明や保﨑らも、その悔しさを糧にして、自分自身のパワーに変えて、再びピッチに立っている。 選手ひとりひとりにドラマであり、ストーリーがある。今季初の大量得点による勝利は、それぞれの思いが、彼らを前へと突き動かした1勝のような気がした。