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09-10-2018

 お知らせ 

KITAKEN MATCHREPORT vol.6『奇跡的な0-1』

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KITAKEN MATCHREPORT Vol.6
vs ブラウブリッツ秋田
“奇跡的な0-1”

 最後の最後で勝ち点はこぼれ落ちていった。

 アディショナルタイムは表示の3分を経過し、残り時間は1分ほど。ブラウブリッツ秋田の久富賢が左足で放ったシュートがゴールネットに吸い込まれた。

「90分まではしっかりやれていたというか、前回のゲームよりも集中力を持って行うことができていたと思います。ただ、最後の、残りワンプレーのところは個人のミスというか、チームとして上に行くために、真摯に受け止めて、やらなければいけないと思っています」(西ヶ谷隆之監督)

 前節、ガイナーレ鳥取にアウェイで0-7の大敗を喫しているSC相模原にとって、重要な試合だった。「僕だけじゃなく、今日にかける思いはみんな強かった」というのが千明聖典だ。22分、26分、38分と3連続で失点を重ねて、後半は点を取りに行こうと前がかりになった裏を突かれて4点を追加された。

「大人と子供のようなゲームになってしまった」(西ヶ谷監督)

 ホームで同じような試合をするわけにはいかない--。「さがみはらドリームマッチ2018」のお祭りの余韻が残る中でキックオフされた秋田戦は、SC相模原の選手にとってプロの意地をかけた一戦だった。

 西ヶ谷監督はボランチに成岡翔と千明聖典を並べた。技術の高い2人の同時起用には「中盤に落ち着きをもたらしてほしい」という狙いがあったはずだ。しかし、千明は「うまくできなかった」と悔やむ。「もうちょっと僕と翔くんでボールを引き出したかった」。

 前半はワンサイドといっても良いほど、SC相模原陣内でゲームが行われた。秋田に攻められる、なんとか跳ね返す、パスをつなごうとするが失う、また攻められる……。「前半、松本(孝平)のところでおさまらなかったり、マイボールのスローインが相手ボールになったり、セカンド(ボール)を回収できなかったり、自分たちで苦しくしてしまっていた」(西ヶ谷監督)。

 それでも前半を無失点で乗り切れたのは、GK田中雄大のファインセーブがあったからだ。スタメンに復帰した22歳の守護神は、何度かあった決定的なピンチを止めて後半に希望をつないだ。

 後半も秋田が攻めて、相模原が守るという試合の構図は変わらない。53分、ペナルティーエリア内で前山恭平が放ったシュートがポストに当たって内側に跳ね返るも、ゴールライン上でGK田中が何とか抑える。

 SC相模原は後半の55分より、名古屋グランパスから育成型期限付き移籍した梶山幹太を投入。167cmのMFはキレのあるターンや、柔らかいタッチで果敢に仕掛けるも、試合の流れを変えるまでは至らなかった。

 最終的には後半のアディショナルタイムに失点を喫して敗れた。ただ、試合内容を考えれば2、3点差をつけられても不思議ではなかった。むしろ1失点で抑えられたのが奇跡的だったと言っていい。

「ビルドアップでも、守備の部分でも、うまく連動できていないですし、チームとして原点に帰って一からやらないと、このままズルズル行っちゃう可能性が高いので。もう1回みんなでやらないといけません」

 キャプテンの谷澤達也は「うまく連動できていないこと」をチームの課題として挙げている。

 7月8日のブラウブリッツ秋田戦(○2-1)、7月15日のグルージャ盛岡戦(○3-0)、7月21日の福島ユナイテッド戦(△1-1)という7月の3試合では、守備時の選手同士の距離感もよかったし、前線にボールを預けて全体を押し上げるという攻撃のイメージも共有できていた。

 ただ、1カ月の中断期間を挟んで、これまでに積み上げてきた連動性がリセットされてしまったように見える。

 惜しかった、もったいなかった、で済ませてはいけない。目の前にある課題と一人一人がしっかりと向き合い、本当の意味でチームにならなければ、上昇気流に乗ることはできない。

取材・文 北健一郎(SC相模原オフィシャルライター)