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03-20-2018

 お知らせ 

KITAKEN MATCHREPORT vol.1

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次の試合が楽しみで仕方がない


 これほどポジティブな引き分けも珍しい。Y.S.C.C.横浜との第1節はアディショナルタイムの同点弾で2-2に持ち込み、第2節のAC長野パルセイロ戦は2点をリードされた状況から追いついた。

「もったいなかった」

 西ヶ谷隆之監督ではなく、YS横浜の樋口靖洋監督、長野・浅野哲也監督が試合後の記者会見で漏らした言葉だ。対戦相手の指揮官に、勝ち点3を落としたことを悔しがらせる。SC相模原の開幕から2試合はそんな試合だった。

「ホーム開幕戦ということで多くのサポーターに来ていただいて、前節引き分けていたので勝ち点3をということで臨みましたけど、勝ち点1しかとれなかったのは残念です」(西ヶ谷監督)

 勝ち点3が欲しかったのは間違いない。ただ、YS横浜も長野も昨シーズンと同じ監督が指揮をとっていて、成熟度では相手に一日の長がある。そんな相手との引き分けを必要以上にネガティブに捉えることはないだろう。

 何よりも、この2試合のパフォーマンスは未来への期待感を抱かせるものだった。西ヶ谷監督からは選手の適性やキャリアは尊重しながらも、もっと伸びるために、あえて異なるポジションや今までにやったことのない役割に挑戦させている、そういう印象を受ける。

 例えば、左サイドバックで2試合連続出場中のサムエル・アウベスは、本来はボランチの選手だ。ビルドアップでの落ち着きなど中盤の選手らしさを発揮している一方で、ポジショニングのまずさや、周りの選手とのマークの受け渡しなどのミスも少なくない。なぜ、西ヶ谷監督はサムエルを左サイドバックに起用するのか。

「台所事情もある」と前置きした上で、指揮官は答える。「彼にとってプレーの幅を広げる部分でもある」と。サムエルに新たな適性を見出せれば、チームには「組み立てに長けたサイドバック」という選択肢ができる。現時点ではデメリットのほうが大きかったとしても、シーズンを通してみればメリットになる可能性は高い。

 谷澤達也の起用法にもそれは当てはまる。柏レイソルやジェフユナイテッド千葉で天才的なテクニックで観客を沸かせてきた攻撃的MFを、西ヶ谷監督は攻守の要となるボランチにコンバート。2試合連続フル出場を果たすのみならず、ゲームキャプテンの菊岡拓朗が負傷交代した第1節の途中からはキャプテンマークを腕に巻いてプレーしている。

 第1節終了後に谷澤が語っていた「球際のところで激しさを見せて、みんなのモチベーションを上げたい」という言葉からは、チームリーダーとしての自覚が十分に感じられた。

 思い出したのは、シーズン開幕前に西ヶ谷監督に行ったインタビューだ。成岡翔と谷澤に対して静岡の先輩でもある指揮官は「ハングリー精神を持ってやってほしい」と話していた。「まだまだサッカーがうまくなるはずだし、ここで実力を見せれば、また上でプレーできる実力はありますから」とも。

 ブラジルからやってきた助っ人外国人であろうと、Jリーグで通算400試合以上に出場しているベテランであろうと、西ヶ谷監督のスタンスは変わらない。もっと伸びてほしい。もっと良くなってほしい。そのために練習中から一人一人に要求をしていくし、決して妥協はしない。

 西ヶ谷監督は言う。

「100%完璧な選手だったらこのチームにはいない。みんなで補い合いながら、やっていかないといけない。我々もそこに向き合って、トレーニングして、ゲームをやって、修正して、また成長していくというシーズンにしていかないといけない」

 次の試合で、相模原の選手たちがどんな成長した姿を遂げているのか。それが楽しみで仕方がない。



取材・文 北健一郎(SC相模原オフィシャルライター)


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